大匙屋

健康第一

Quand J’ai Remplacé Camille (字幕)  


Quand J’ai Remplacé Camille, (2017)

英語題「When I Replaced Camille」/これは「私がカミーユと交代した時」と訳していいのかな。
なんか連続だとアレなんですが「あの水泳のやつも訳せよ」との要望があり、せっかくなんで訳して紹介しますね。水作画好きやし。
死亡した選手の交代要員としてトップチームに参加した選手の苦悩と憔悴を描いた作品。これもフランスのアニメーション学校ゴブラン(GOBELINS l’école de l’image)の学生さんたちによるもの。

未確認なんですが、作品をご覧になった井上俊之さんがイベントか何かで?絶賛なさったそうで。カリスマに褒められるなんて凄いじゃないですか。僕は絵柄や各処理が若干好みじゃないせいもあり正直そこまで?という気がしなくもないんですけど。当然ながらこれはプロの評価のほうが圧倒的に優先でしょう。

でもクライマックスの緊張感や夜のプールを襲う色彩イメージは強烈。3コマ作画、カラーパレット少な目で塗りもフラット、しかし受ける印象はスピード感あり立体的でダイナミック、一方でこれは繊細な心理ドラマでもあり、人が極限のプレッシャーに追い込まれる過程を数分に詰め込む演出力と、見る者の精神を揺さぶる共感力は大したものと思いますね。これを学生さんが作るのか。すげえなフランス。


21731075_280884082428686_7676744153200142330_n.jpg21731075_28088408242868.jpg

①ネイサン・オタノ Nathan Otaño 共同監督 (メインキャラクター作画)
②アルチュ・デアレイン Arthur Dairaine BGM作曲
③レミ・クラーク Rémy Clarke、共同監督 (作画、ペインティング)
④レイラ・コーチロン Leïla Courtillon、共同監督 (美術、デザイン、レイアウト、脚本)
⑤ロマン・ゴティエ Romain Gauthier、EDモーションデザイン

画像はFBより拝借 https://www.facebook.com/QJRCamille/


category: アニメ

tb: 0   cm: 0

Burn Out (字幕)  


BURN OUT (2017) from JK on Vimeo.


フランス人の学生さんが作ったという、TAAFのアレ。日本語訳してみた。
英語版は普通にWEB公開されてるんで、まあいいかなと。怒られたら消す(弱)。
髪揺れ綺麗ですね。眉毛と目線の芝居。色指定も撮影もスバラシイ

9e8ca2126566155519a6b32a6b9.jpg
セシル・カル Cécile CARRE http://carrececile.blogspot.jp/

工業系の学校を卒業しエネルギー分野で1年間働いたのちアニメーターとして再度勉強し直すことを決意。
フランスのアニメーション学校ゴブラン(GOBELINS l’école de l’image)で、4年課程のキャラクターアニメーションおよびアニメーション映画制作を専攻する。
ゴブランでの4年目と、その後のカルアーツ※での交換プログラムにおいて、自身の卒業作品を監督・制作した。

※カルアーツ=カリフォルニア芸術大学

category: アニメ

tb: 0   cm: 0

藤田春香演出、アイラインキャプチャ  

■ヴァイオレット・エヴァーガーデン #02 (2018) /絵コンテ・演出 藤田春香
8552018003009_190420bc06.gif
8552018003009_190420bc06b.gif

石原立也さんをはじめ京アニの演出陣は手ブレ効果を多用するが、最近台頭しつつある若手の藤田春香さんは手ブレ感とともに少々特殊な付けパン的カメラムーブを好んで採用してるように見える。上のカットでは腕を取られ振り回される男性の身体に合わせるようにカメラが円を描いていますね。

■響け!ユーフォニアム2 #11 (2016) /絵コンテ 藤田春香
8552018003009_190420bc01.gif
8552018003009_190420bc01b.gif

ユーフォ2期11話でもちょっと面白いカメラムーブ。 小柄なサファイアがコンバスを抱えたまま回り込む、そのちょこちょことした動きを久美子が目で追うカット。サファイアとコンバスの動きにカメラが同調、背景の窓枠に注目するとカメラが微妙に斜めにPANしてるのがわかります。
キャラクターの動作開始に合わせてカメラが動き出し、動作終了に応じてカメラも静止する。


■響け!ユーフォニアム #08 (2015) /絵コンテ・演出 藤田春香
8552018003009_190420bc02.gif

デート前で緊張する葉月。その感情に呼応するように、下方向ティルト~左上に跳ねるような一瞬のムーブ


こういったキャラクターの動きにシンクロしたカメラムーブ、実写の世界では(人によって)アイラインキャプチャーと言ったりします。
世界中の映画科学生が憧れるデヴィッド・フィンチャーという映画監督の得意とする撮影テクニックです。



8552018003009_190420bc11.gif
8552018003009_190420bc12.gif

要するにどういうことかと言うと、あるキャラクターの動きを人が目で追う、その「目で追う」という動作をそのままカメラで再現するわけですね。だからキャラクターが動き出すタイミングでカメラも動き出し、キャラクターが止まるとカメラも静止する。
これだけだとアニメでは付けパンに相当するわけですが、フィンチャーの場合カメラの動きが感情の揺らぎに呼応しており、カメラが動くときにキャラクターの感情も変化する。

8552018003009_190420bc21.gif

誰かの動作を、逐一目で追ってしまう時というのは一体どういうときか?
恋愛の相手であったり、心配事を抱えた家族、悩める友人、大切な相手・重要な関係の場合が多いですよね。そういう相手が振る舞いの中で自分だけに見せるわずかな感情の変化から、人は往々にして目が離せない。

フィンチャーはそれを逆利用します。カメラムーブでキャラクターのわずかな動作を執拗に追い、目を離させない状態を先に作り上げて観客の意識を奪いにくる。観客は無意識のうちにその場にいる誰か(キャラクター)の目線に「閉じ込められてしまう」、画面の中の「感情」の動きに注意を奪われ、没入させられる。

8552018003025_190420bc09.gif8552018003009_190420bc06.gif8552018003011_150290570.jpg

無論フィンチャーは構図タイミング照明など駆使して最適解を割り出している、そこが芸であり技術ですが、藤田春香さんもそういったキャラクターの目線を基にしたムーブで印象強化したり感情表現ができるんじゃないかと目下試行錯誤しているように見えます。
冒頭のカットでいえば、カメラがfixだった場合に作画だけではなかなか描きづらい体重差と遠心力を利用した体術が、カメラムーブで効果的に表現されているわけですね。この時観客が受け取る驚きや狼狽は、目線の主であるエリカブラウンと一致しています。

というわけで藤田回のPANやティルトに注目してみてください。


8552018003009_190420bc04.gif
8552018003009_190420bc03.gif
8552018003009_190420bc01c.gif


category: アニメ

tb: 0   cm: 0