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CLANNAD #18 アイラインマッチ  

アイラインマッチを使った演出の良例を思い出したので紹介


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■CLANNAD #18 (2007)

Aパートのハーレムコメディから一転、Bパートで病欠から復帰したナギサが正妻力を発揮し朋也を連れ去り退場&全ヒロインが討死。作中の言葉で言えば「可能性」がつぶされた。


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こうなるとわかっていた、と自嘲気味に笑う双子姉・藤林 杏(ふじばやし きょう)に対して謝罪する妹・椋(りょう)。「お姉ちゃんごめんね、今まで、本当に」
椋(りょう)も応援してくれる姉の思いを理解し、形勢不利でも頑張っていた。


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呆然とする杏。杏には、妹がなぜ自分に謝るのかがわからない。
急な後頭部なめの引きでイマジナリー・ライン越え。
つなぎの違和感はおそらく意図されたもの。目線は引き続き椋へ


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カメラを切り返さず、杏のリアクションを先に見せる演出。杏はいつも強気で、人前で取り乱すような子ではないわけです。視聴者は何が起きたのかわからないまま、杏の目線と崩れていく表情に引きつけられる。


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ここで切り返しショット。杏の目線の先にあったのは声を殺し悲泣する妹。

椋は恋に破れても尚、姉を悲しませまいと気遣う。
一方で杏は自分が妹を傷心に追い込んだと気づいて泣き出した、というのがここでわかる。さらに憶測ですが杏は椋に「ごめんね」と謝られたことで、自分自身も朋也に恋をしていた、同時に失恋したことを理解したと


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アイライン・マッチとは何か  

先日のコメントでアイライン・マッチングの話が出たので、これを簡単に説明しておきます。
必須の用語ではないですが知っておいても損はありません。この概念は180度ルール、いわゆるイマジナリーラインの考え方にも関わってきます。


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■ロクでなし魔術講師と禁忌教典 #04

魔術競技祭、強面ジャイル君とルミアの対話シーン。

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ジャイル君の目線は右下へ。構図はローアングル。
それに続くカットでルミアのアップ。ここでルミアの目線は左上に向かう。構図はハイアングル。
身長差のある2人だがガタイのよいジャイル君のカットはミドルで、小さなルミアはアップにして構図のバランスが取られ、さらに目線の角度を一致させて2つのカットを連続させています。この目線の一致がアイライン・マッチング。


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ルミアが外側に目線を外す、次カットでⅡ組陣営が映されスタジアム内での位置関係を理解させる


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この子はウエンディだっけな。この目線も同じですね。陣営が右翼側にあるのが把握できる


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終盤でフィールドに降りたグレン、その左上からのハイアングルが最後に出てきて、そこで青髪2人が登場。これも構図と目線によって青髪2人が左翼側スタンドに立っていることが想像できる。

画面の中の人物が何かを見る⇔見られる対象、構図と目線に情報が付与される、これがアイラインマッチングです。わかるようなわからないような説明ですね。多分こういったものは、若い方なら感覚的に理解されてると思う。一昔前に流行した「外人四コマ」などもアイラインマッチを利用したものですよね。


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目線は想像以上に人を引きつけます。誰かが何かを見ている絵というものは常に、見られる対象を明らかにしない限り視聴者を落ち着かせることがない。これはもう人の習性のようなもので、これを利用すると、かなり無茶な構図やアングルでも成立させることができたりする


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■響け!ユーフォニアム2 #09 (2016)

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■オカルティック・ナイン #10 (2016)

連続するカットが無茶なダッチアングルであっても、アイラインのマッチ=目線の延長線上にそれを受け取る対象や別の目線があれば、わりと画面は安定します。「少なくともこの人はこれを見ている」という、不自然や違和感の中にもわずかな理解や安定感がある、演出家はそれを利用してるわけです。

これを踏まえて次回イマジナリーラインの話をちょっと


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進撃の巨人2#07ほか マッチカット  


■進撃の巨人 #32 [2期 07話]  (2017)

ヨロイにぶっとばされて派手に飛んでからの回想入りでポジションのマッチ。「進撃の巨人」は時制の演出や前提の変更など回想を多用する作品なので、こういう繋ぎかたは演出的妙味に加えてストレス軽減にも効果的だと思う。

このカット、原作マンガでは43話と44話の境目にあたる

#43「鎧の巨人」(別冊少年マガジン2013年4月号)最終ページ
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#44「打・投・極」(同2013年5月号)トビラ ※#43が合わせて再掲載された
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背面ダイブは共通しててコミックス(11巻)では連続してるエピソードだけど、雑誌掲載では2話にまたがっているとさすがにマッチとまでは言い難い。これはアニメスタッフの構成が上手かったというべきかもしれない。


ポジションのマッチカットで思い出すのがこれ
よく引用する「卒業」、プールのシーンからのベッドシーン


■卒業 (1967)



ものはついでなので今年見た良マッチを紹介しておきます。


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■幼女戦記 #03 (2017)

ゼートゥアの開き戸と列車の引き戸がどちらも左方向なのがポイントですね。廊下と車両の透視図法もか。
背後に長い廊下、アオリ、ゼートゥアの手元にカメラが寄った直後に遷移、デグレチャフのアクション途中でポン引き、フカンで客車の手前空間を見せ、場所の違いを際立たせる。このあとクロスカッティングに入るので、その始まりにマッチカットを配置するのはたしかに意味があると思います。


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■幼女戦記 #11 (2017)

書箱落とし→スイッシュパン、ビーチへの遷移。あまり手間がかからないわりにお洒落なトランジション。これもアオリからフカン、そして薄暗い執務室から陽光差すビーチ、というギャップが効いている。


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■亜人ちゃんは語りたい #01 (2017)

大変珍しいシンメトリーのマッチ。反転ワイプで上下手の逆転、現在(昼)から過去(夜)へ。鮮やかです。



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