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3回ドカン研究 (2019)その2  

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■Gone in 60 Seconds (1974 )  邦題「バニシングin 60″」
伝説のスタントマンH・B・ハリッキーが製作、監督、脚本、主演、スタントをこなしたカーチェイス映画
その、クライマックスのジャンプシーン、横転したクルマのホイールベース(前後輪の間)をジャンプ台にして走り抜けるっていうかなり危険なスタント (まぁ今見ると絵的には地味)

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ダブルアクションになってますね。しかも多重露光ストップモーションみたいなこともやっていて、音響にも凝っている。
これはつまり、この映画が公開された1974年当時、ダブルアクションが映画のクライマックスで一番盛り上がるスタントのシーンを担うに足る編集テクニックであると認識されていたってことになる。お客さんがまだ見飽きていない、洗練された、最先端の映像表現だったわけです。

そしてバニシング in 60” から2年後、1976年に公開された世界的大ヒットホラー「オーメン」

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この映画のクライマックスにも、映画史上最も注目されたマルチアングルショットがありました。
ちょっと残酷なので閲覧注意なんですけれども。


■オーメン (1976) 監督リチャード・ドナー

1974~1976年ごろ、オーバーラップ編集、マルチテイク、・・・つまり「3回ドカン」が洋画の世界で「非常に使える先端的なテクニック」であったことがここでも証明されています。
この時期のこうしたハリウッド採用実績をもとに三回ドカンは映画・ドラマ・アニメにどんどん広がっていたのかなと考えて差し支えない気がしますね。ここに起源があるわけではないけど、このあたりが主要な感染源にはなっていそう。



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■やさぐれ姐御伝 総括リンチ/予告編 (1973) https://www.youtube.com/watch?v=0Va_85IoJMM


ではこの、3回振り返りは一体何なのでしょう? 一体何を参考にして作られたのか?
これはどうも日本映画特有の表現のような気がします。洋画でこれをやってるのを見た記憶がない。
この話、もう少しだけ続くんじゃ




category: 3回ドカン

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3回ドカン研究 (2019)その1  


■アイカツフレンズ #23 (2018) 京極回

3年ぶり?の継続記事で、お客さんも入れ替わっているので、そもそも3回ドカンとは何かという話から。

これは同一アクションを複数回繰り返す編集テクニックのことです。時間が巻き戻されているのに、大まかにアクションが一致していればアングルが変わろうが時間延びようが多少内容が変わろうが観客は混乱しない。

調べてみるとこの編集テクには案外歴史があって、そして(ここが肝心)映像表現においてあまり重要じゃないテクニックであるため、体系化して語られることもなく名称も統一されていない。マルチアングルと呼ばれたり、リピートカット、マルチテイク、トリプルアクション等、複数の呼称が混在している。そこで僕は勝手に「3回ドカン」と呼ぶことにした。とくに定着はしていない。

英語圏のフォーラムを漁っていると、ここ数年は「Overlapping Editing」「Overlap Edit」という呼び方を一番よく見かけます。「オーバーラップ編集」と訳していいのかな。「時間やカットを重複させた編集」という意味になると思う。いわゆる「3回ドカン」だけでなく、遅延ACつなぎを含む広い意味で使用される編集用語という印象です。撮影用語のOLと被るので、この呼び方も将来的に定着はしないでしょう。





■ポプテピピック#02/ブラッククローバー#59/はたらく細胞#05 (2018)


この編集テクには案外歴史があると書きました。
「ハード・ターゲット」のバトルシーンを見てみましょう。香港でカンフー映画を撮っていたジョン・ウーという監督が1993年にハリウッド進出した最初の作品です。



ほとんどのカットのつなぎで、数コマからコンマ数秒にわたり動作(アクション)の重複が見られるのがわかるでしょうか。



推察されるカメラ位置から、全カット別テイクであることは想像がつくと思う

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一体どういう意図で挿入されているのか全くわからないジャンクロの髪を振り乱すターンを含め、映像を見ている間、アクションが重複し時間軸が前後して揺らいでいるカットつなぎに違和感を感じる人は少ない、いたとしても脳内で「別にいいや」と勝手に補完される。これがオーバーラップ編集。
この編集のルーツとされるのが――

■戦艦ポチョムキン (1925)

絵皿のスローガンを読んで帝政への怒りを爆発させる炊事兵、皿を叩きつけるカットをマルチアングル&細かいカット割りで。右に左に振りかぶったりで一連がどういう動作なのかわからないがインパクトは大きい



■續姿三四郎 (1945)

初期の黒澤作品、クライマックス雪山での死闘。月形龍之介扮する唐手家の繰り出す水平チョップ、三段寄り、これが世界初のトリプルアクションとされる。画面の中で一体何が起きたのか、本来なら理解されないはずなのにスルーされる、アクションやエモーションが対話やプロットを超越する瞬間であります


■怪傑紫頭巾 (1949) マキノ正博
悪徳奉行の罪状を敵陣にて暴露する口上シーン。オーバーラップ編集といえばこれも強烈。明らかに「普通につながない」を意識してカット編集してる。事象を時間軸に沿って正しく配置する「連続編集」では全然ないのに、脳みそがつなぎの違和感を勝手に修正する。前述のジョン・ウーもそうですがこういうことに気づいていた映像作家や監督は世界のあちこちにいたということになる。
このマキノ正博監督の弟子、勝間田具治さんの演出したサブ市のオーバーラップ編集


■佐武と市捕物控 #37 (1969) 勝間田回

2カットにわたり侍が崖から飛び降りて逃げる動作がダブルアクションになっていますね。国産TVアニメではまだACつなぎもろくに使われない時期にコレをやってるのはちょっとだけすごい
若手時代のりんたろう監督を中心とした数々の超演出で有名な佐武イチですが、この作品を見てると「アニメって動かさないほうがカッコいいんじゃないか?」と錯覚しそうになるので怖い。ただし脚本は大半クソ


ところで佐武市の勝間田回といえばついでにこれも。#46



奪われたお嬢さんを救うために単身敵陣に殴り込む源太。実写畑の演出家ならではの大胆さ、六回にわたりリピートされる障子開け作画。独特のタイトなリズムと、途中ではさまる短い流背が能く効いている。





3回ドカンとは何か、という話をしてたつもりが妙に長くなった。仕切り直して次回に続きます




category: 3回ドカン

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わかってるわかってる。わかってるんだけどね
「わずか3行程度」の1つのセンテンスをね、これを今より少し自信を持って書くために
「喜八の初期作品10本ほど見ねば」
ってなるのがブロガーなんですよ。

いや、まったく意味がわからないと思いますが
もう少しだけお待ちください。数日中になんとか

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