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大匙屋

聞かせてもらうぞこの世界の謎を

アメリカン・ポップ (1981年)  


知りませんでした!


dTVリンク
https://pc.video.dmkt-sp.jp/ti/10017533?campaign=sht10017533

アメリカでの劇場用ポスター
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このアートワークはウィルソン・マクリーンによる。小森誠を通して日本の80年代お洒落キッズに影響を与えた英国人イラストレーター。
上部キャッチには「すべての年月、すべての夢、息子たち、その中の1人がスターになる」

バクシの「アメリカン・ポップ」は忘れ去られた映画。今から40年前、1981年に作られた。19世紀末にユダヤ人母子がアメリカに移住しショービジネスに関わりながら代を重ね、やがて四代目がついにスターダムにのし上がる。その100年に渡る物語が、各時代を代表する大衆音楽によって絢爛豪華に彩られる一大叙事詩。
公開時のキャッチフレーズは「その才能が正しく評価されるまで四世代かかった」

劇伴に数々の大ヒット曲を使用し権利関係が煩雑になり、日本ではビデオ発売されませんでした。劇場公開もされず(イベント公開のほか、一度WOWWOWで放送された)、僕らには視聴する方法がなかった。
dTVのライセンス獲得はご英断。とはいえ、長くは見られない可能性もあります。



YouTubeで拾ったPVに字幕を付けてみました。インタレ解除できてないのは目をつぶってくdさい

評価としてはどうなのかとハイラン氏にも聞かれたけど答えるの難しい。ザルミ、ベニー、トニー、ピートという四人の主人公のしがらみを見ていくわけですが、四世代にわたる綿々としたロマンチシズムの一方で「コレ結局は優性思想」といった見方ができ返答に窮するところがある。僕らの世代が夢中になったアメリカの大衆文化もポピュラー音楽も今の日本の若者たちには日常的でそれほどでもないものかもしれない。今の若者はジーンズもあまり履きたがらないらしい!!

ただまあロトスコアニメの一里塚として、それこそ日本でも「花とアリス」や「悪の華」など、過去にも多くのアニメーターさんがリスペクトを奉げており「天国の扉」のOPは有名ですよね。湯浅さんや伸高さんへの影響は計り知れず、その彼らに触発された若手が今欧州で活躍しており、すっかり影響が循環してる今の時代、わりと最近でもカニエ・ウエストの「ハートレス」などに強いリスペクトが感じられ、





残るべき場所に残るべくして残っているこの作品、ゼヒ一般教養として見ておいていただきたい・・・と思いつつ日本では見る方法がないことにじれったさを感じ、僕は何度も訳そうとしてたのですが

しゅごく難しい😭

英語が難しいのですよ、これ。コレと「ラストユニコーン」は何度も訳そうと試み、そのたびに失敗してきた。やっと去年末に形になって、訳し終わったけどこれ公開するのはマズいのかなーと迷ってたら今日になってdTVで配信してますよって。知らなかったよ早く言ってヨ。苦労して訳す必要なかったじゃん笑



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天国の扉 (上 2001年)/ハートレス (下 2008年)

天国は沖浦さんで、ハートレスのほうはハイプ・ウィリアムス
まあそれで、どこらへんでバクシっぽいぞとニヤニヤすべきかというとコレです。一点透視法。
(ハートレスのほうは他にもバスの中とかネオン街とか色々とガチめなやつですが・・・)
一点透視がパーマネントなバクシの演出スタイルというわけではないので、バクシっぽいというより「アメリカンポップ」っぽい、と書くべきですね。

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「アメリカンポップ」は一点透視法を多用します。
私見ですが、このレイアウトにはロトスコープが大きく関係していると思う。要は実写をトレスする、3Dを2Dの影なし作画に落とし込むわけで、キャラクターは立体感の失われた平ぺったい絵になります。その平ぺったいキャラクターで奥行きのある世界を活き活きと描出するために、極端なパースやローアングル、そして奥行き感のある一点透視レイアウトを多用するに至ったのだと思いますね。


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いわゆる「ヒッピー」の語源となったとされる有名な一節

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トニーのパートが相対的に長尺なのはバクシや主要客層にとって同一または直近世代だからと思う。ギンズバーグの朗読は情熱的である一方で文章が入れ替わったりしており、この右側の少年を通してビート世代に対するバクシの冷めた見方と逆説的なあこがれのようなものが感じられます。

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カンザスでトニーはウェイトレスに「ここではすべてが最新ですか?」と尋ねます。
これは、ミュージカル「オクラホマ!」からロジャース&ハマースタインの曲「カンザスシティ」を参照しており、当時のアメリカ人なら誰でもわかる鉄板ネタなんだそう。https://www.youtube.com/watch?v=IklhXYNXX4E



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超有名なベニーのピアノ演奏シーン。アニメーションで人が死ぬ描写を見慣れていなかったアメリカ人たちは、この残酷なシーンにトラウマ級の衝撃を受けたそうな。
リリーマルレーンは元々ドイツの歌謡曲だったんですね。だからドイツ兵が陶酔している。僕はこの曲といえば飯島真理だな。
あとこれ、鍵十字のヘルメットがなぁ・・・

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ピアノ・マンとしてバクシ本人が声優参加

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ドアーズの「まぼろしの世界」の後に登場する「サイゴンの処刑」
ベトナム戦争に対するアメリカ国民の意識を大きく変えたと言われるエディ・アダムスのベイロップの写真

このカットをはじめ作中にはシーンによりまったく異なるテイストの絵柄が複数混在している。ロトスコープを見て「なぜ実写で撮らないのか」と尋ねたがる面倒な人々を、異なる絵柄とあらゆる手法はただいくつもある表現方法の中のひとつに過ぎないという解釈の中に放り込むスキーム。

人種的には違っても、情報をそぎ落としロトスコープにすると黒人以外は白人に見えてしまう。絵柄の混在は、大衆音楽が人種のるつぼをベースに発展してきた観点から多様性を様式化するひとつのアイデアと受け取れる。そもそも多様性なんて概念は世の中に必要ないんですよ。人間なんて多種多様なのが当たり前なんで。なのに昨今それが重視されがちなのは、文化も需要もなるべく画一的なほうが勝ち組企業が儲かりやすいグローバリゼーションに対するカウンターでしょう。

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トニーと妹たちのシーン最後。ここ翻訳ギブアップでした。文脈から台詞の意味が分かりません

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カリフォルニア、チャーリーとの対話。ここもギブアップ。Di Nobleの意味がわからなかった。人名?
そういえばチャーリーと呼ばれる人物が作中3~4人出てくる。何か意味があるんだろうけど

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あとは何だろ。やっぱりレイアウト素晴らしい!!
ここまでで気づいた方もおられるかと思いますがオリジナルは画面アスペクト比4:3です。今出回ってる映像は概ねビスタ、それも上下カットの貧乏ビスタ。海外ではブルーレイも発売されるようだけど、多分オリジナルのままでは作られない・・・

画面比はビスタよりスタンダードのほうが断然良いと僕は思います。人間が自分の目を通してみた風景、肉眼で見た光景に一番近いからですね。三角形レイアウトもスタンダードのほうが映える。

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映画「ストーミー・ウェザー(STORMY WEATHER)」(1943年)からのモーションキャプチャー
第二次大戦時、前線に送られる黒人部隊の慰問用に作られたとされる、黒人だけが出演するダンス、音楽&恋愛映画
圧巻のニコラスブラザーズ。驚異的身体能力
https://www.youtube.com/watch?v=m3uGnMtzOog



ここまでこの記事を読む人は興味のある人のみでしょうから、シレっとリンクを置いておきましょう・・・
まあ、怒られそうなんでそのうち消します。期間限定ということで。トニーの笑顔がキモいぞ。
[1/2]https://vimeo.com/495033250
[2/2]https://vimeo.com/499337249


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category: 海外アニメ翻訳

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