FC2ブログ

大匙屋

聞かせてもらうぞこの世界の謎を

FUNAN (2018年)  

激動のカンボジア描いたアニメ映画「FUNAN」に黒柳徹子、深田晃司らコメント
https://natalie.mu/eiga/news/407422
9112020012009_020130261.jpg

うーん。そうか。
最近ちょくちょくタイトルを目にすると思ったら、12月25日から日本全国劇場公開なのだそう。まあミニシアター限定のようだけど。吹替え版を用意せず字幕で対応、芸能人のコメントを集めてパブリシティにしてる感じか。

「なぜそんなことになったか、アニメーションで教えてくれる」
うーんそうか?。僕はコレ、美しくて悲しくて、良い作品ではあるけど、正直言ってヌルい作品だと感じました。一部マスコミによると「火垂るの墓以来の傑作戦争アニメ」とか。さすがにそれは?


9112020012009_020130260.jpg
この文字だらけの日本ならではの劇場ポスター。でもこれが日本では正解なのな。

そういえばこの作品は、今年の3月ごろ朝日によるインタビューで片渕監督が挙げていた「海外アニメーションの最近の潮流」3作品のうちのひとつですね。(朝日新聞といえば、彼らはポルポト政権を徹底的に擁護し、批判者を晒し上げて糾弾してたよな。忘れないよ。)

監督名は以前「デニス・ドウ」と表記してたと思うんですが、今回の劇場公開に合わせて「ドゥニ・ドー」に統一したようです。二年経ってから、わざわざの表記直し。ひょっとしたら監督が舞台挨拶とかで来日するのかもしれない?。

 監督のドーは「自然の前では人間が無力、または孤独であると感じます。ズームインやズームアウト、フレームの切り替えが自由なアニメーションならではの風景の雄弁さが映っていると思います」と伝えた。(記事)


美術は確かに美しくてとても高評価だったのだけど、監督も意図を織り込んでた感じで。僕はこれには少しガッカリです。テレンス・マリック的な、神の視点から人間の愚かさをあぶり出す~みたいな話だったらイヤだなあと思ってたので結局そうなの?と思っちゃう。ポルポト政権の残虐さはポルポト派が一方的に悪いんであって、そこで「人間は無力」「人間って愚かよね」「神が与えた試練」とか言われても困ってしまう気がする。美しい風景は確かに感動的だけど、夕陽に映える田園風景は強制労働が作り上げてるわけで、監督の意図をどう受け止めたらいいかわからないです。

9112020012009_070150160.jpg
9112020012009_070230540.jpg
9112020012009_020470050.jpg
9112020012009_020150190.jpg
9112020012009_010590220.jpg
9112020012009_020450240.jpg
9112020012009_020460480.jpg
9112020012009_020290390.jpg
9112020012009_070200590.jpg

いやあ、でも美しいですやっぱり。

「メコン・デルタ地帯」ってご存じでしょうか?インドシナ半島、メコン川下流域のデルタ・大三角洲、ここに世界有数の稲作地帯があるんですよ。社会科とか地理の授業で習ったかもしれません。この地域に今ベトナムとかカンボジアがあるんですが、かつてこのメコン川下流域に1世紀ごろから500年ほどの間、栄えに栄えていたクメール人の国家が今回のタイトルにもなっている「フナン国」(扶南)

9112020012009_020130266.jpg9112020012009_020130267.jpg


本作では、クメール・ルージュに支配された1975年以降のカンボジアを舞台に、息子と離ればなれになった母親チョウの激動の日々が描かれる。Netflixとの提携も発表されたアニメーションスクール“ゴブラン・レコール・ド・リマージュ”卒業生の監督ドゥニ・ドーが、自身の母親の体験をもとに制作。


監督はフランスで生まれ育った移民二世の方、ご自身のルーツが東南アジアにあることから、この作品の持つテーマに自然と取り組んでいかれたようです。ゴブラン卒業後、原画やコンテなどで他作品に参加する傍ら、数年の歳月を掛けて少しずつ作られたのが本作品。最初の長編監督作品です。第一作で世界的な評価を受けるなんて、本当に大したものです。

ポル・ポト政権下の状況は人類が語り継ぐべきレガシー。それを背景とする作品は、アニメーションとはいえその歴史の一端を窺い知ることができる点で有意義です。実際のところ実写による戦争ドキュメンタリーとかでは子供の興味をなかなか引かないですので、アニメーションを使ったこういう試みは教育的見地からもどんどんやるべきで公的機関からもっとカネを出すべきなんですが、儲からないからドコも出さないんですよね。

この作品はフランス、ベルギー、ルクセンブルク、カンボジアの合作ということになってますが、つまり4つの国を駆け回って制作費をかき集めなければ作れなかったわけです。しかもパイロット版から大幅に絵柄をシンプル化している。線を減らし動きを減らし影ナシのバケツ塗り。作業工程をギリギリまで効率化する必要があったのでしょう。

監督は日本のアニメを頻繁にチェックしていて、効率的なシステムを参考に取り入れたと語っています。おそらく最近の仏アニメには珍しい3コマ打ちとかリミテッド作画のことを指してると思うんですが、日本人の僕らから見て「ACなどの見やすいタイミング」と感じる反面、作画的な見所はあまり無い、重厚なテーマに対して大作感の薄い、ライト&マイルドな作品になった印象。冒頭アバンの後オープニング曲に合わせてクレジットが出るんですが、他の作品とは違って延々と支援・後援企業団体名が表示され続ける。仕方がないとはいえ、ちょっと見たことのない異様さです。

9112020012009_030430030.jpg
9112020012009_030430560.jpg
9112020012009_030430570.jpg

フランスはコンテンツ輸出に力入れてますから、今回の劇場公開も政府機関が後援してます。上の画像にあるTV5MONDEはHulu(日テレ子会社)に参加することになって、リーグアン中継とかフランス製キッズアニメをアジアに持っていきたいわけです。コンテンツ輸出を先鋒とし欧風ライフスタイルを提案して最終的には日本・アジアでもっと仏車を売りたい。そういう総合的戦略の一環での劇場公開なんでしょう。Netflixとゴブランの提携もするようですし、若い世代の失業率に悩み続けているかの国は今後もコンテンツ産業に全力入れてくるでしょう。

オープニング曲紹介しておきたいな!



50年代から70年代にかけてカンボジアで活躍した同国ポピュラー音楽のレジェンド、シン・シサモット。持ち歌千曲を超えるシンガーソングライター。ゴメンなさい、僕も正直あんまり知らないです。リズムがタイト。キレがいいですねコレ。映像は残っていないんです。なぜ残っていないかは・・・まあ、わかりますよね。

OP曲を紹介したところでPVを貼る

コレは僕が訳したやつです。オイ公式見たら訳と違ってるぞとか言われても知らない。
そしてOPを聞いたらEDも聞いてください。



曲はティボルト・アジェマン (Thibault Kientz-Agyeman) という方、ミッシェルオスロの新作なんかにも参加されてるっぽい
歌はレベッカ・ファーガソンという在英のソウルシンガーの女性。トムクルーズの映画に出てる女優さんとは同姓同名の別人。
いい曲ですよねこれも。「お慈悲を・・・どうかお慈悲を・・・」っていう歌詞。

9112020012009_020130280.jpg
9112020012009_020380450.jpg

内容について全然触れてないな!だんだん人がおかしくなっていく感じがとてもよいです!
ギリギリのところで人間性を「失わない人」が、逆に悲劇に見舞われていく感じも素晴らしい!
毎度のことですが自分で自分用に訳してますので、映画で見たら台詞は違ってると思います!

9112020012009_020420160.jpg

あとこれはネタバレにはならないと思うが・・・最後にプーブと一緒にいたのはプーブの親父さんです。
わかりにくいから一応。

9112020012009_080000060.jpg
9112020012009_070590240.jpg

それで結論ですが、監督の母親の実体験を軸に展開する物語ということもあってポルポト政権のやらかしを俯瞰的に描く構造にはなっておらず、描写的にヌルいと感じる部分があるものの、美術は美しく、意義深いものをもたらしてくれる良作と思います。良い作品ですが、これをグランプリに選ぶアヌシーもヌルいなと僕は思います。あと公的機関や各国政府は資金の集まりにくい作品にカネをもっと出して・・・口は出さなくていいから・・・そんな感じです。


9112020012009_02013bc01.gif
9112020012009_02013bc02.gif
 遠景⇒
⇐近景

スポンサーサイト



category: 海外アニメ翻訳

tb: 0   cm: 0

コメント

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://sajiya.blog89.fc2.com/tb.php/683-478798fe
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)