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健康第一のはずが・・・

マネ「草上の昼食」、それとCMNF  

さて前回マネの「草上の昼食」の話が出たので、ついでといっては何だけどこの機会に。

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■マネ「草上の昼食」(1863)

その年の官展(サロンドパリ、国立展覧会)が大荒れで、ナポレオン三世の指示で官展落選作品を集めた「落選展」が特別開催されたまではいいが、その落選展を大混乱に陥れたのがこの作品。それまで女性のヌードは女神など神話や伝説の文脈にて神聖にして必然性をもって描かれるべきものだったが、この作品は通俗的な現代の若者たちのピクニックの風景に女性のヌードを配置していた。この非常識な所業に閲覧者は大騒ぎ。批評家達は「エッチでけしからん」と激怒、一方で若手画家たちは「エッチでけしからん」と歓迎、すっかり炎上商法となって落選展には観客が殺到。後年この絵に啓蒙された若手画家たちが「印象派」を立ち上げることになる。

よく見りゃヘンな絵なのです。パース狂って消失点もわからないしアングル傾いて不安定、カゲもついてるんだかよくわからない。男二人は着衣なのになんで女は脱いでるの?なんでこっちを見てるの?脱いだ衣服の上にお弁当のバスケットが載ってるけど、この姉ちゃんは真っ裸でメシ食ってたの?ていうか姉ちゃんなの?おばさんなの?この人たち何なの?
というように、くわしく見ればみるほどアンバランスで、非現実的で、違和感がすごい。この違和感が、人の目をとらえて離さないわけです。(ちなみに裸婦モデルのヴィクトリーヌ・ムーランは当時20歳くらい。でもこの絵でエドゥアール・マネが裸にしたのはヴィクトリーヌ嬢ではなく閲覧者の見識や覚悟かもしれない。)
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この作品がモネやピカソなど数多の芸術家に強い影響を与えたという話も前回書きましたが、アニメファンである貴方には山村浩二先生も絶賛するエストニアの巨匠プリート・パルンの作品「草上の昼食」(1987)を知って欲しい。とある男女四人のそれぞれの人生がマネの「草上の昼食」に集約されていく物語。難解かもしれませんが一見の価値ありです。

■Eine murul (Breakfast on the Grass, 1987) https://www.youtube.com/watch?v=4PS5NP-eP1s
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ところで話は戻りますが「男は着衣なのになんで女は脱いでる」 という、この状況を CMNF といいます。
CMNFは「Clothed Male and Naked Female」(着衣の男性と裸の女性)の略。一方のみが裸であることで他方との支配関係や従属関係が強調され、バランスの取れた人間関係・配置よりもエロティシズムが増大する。マネの「草上の昼食」は近代美術史において重要作品ですが、発表当時やはりCMNFが極めてショッキングだったということで、ティピカルな説明事例としてもよく取り上げられます。

このCMNFというのは、実はみんな好きだと思うんですよ。健康的で開放的な全員ヌード状態よりも、一方が無理無体に虐げられたり羞恥に塗れているほうが好奇心や想像力を刺激され、より強く感情を揺さぶられる。倫理的なことは置いといて、わりと根源的な欲求に直結した嗜癖だと思う。

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これらはジャン・レオン・ジェローム (1824 - 1904) ですけど、この方はけっこうな奴隷市場モチーフ好き、CMNFを繰り返し描いてる気がしますね。
一番下はピグマリオンとガラテア、ピグマリオンは人類最初のキモオタ。つまりピグマリオン先輩

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■00学園スパイ大作戦 (1980) 永井豪&安田達矢

同じ奴隷市場CMNFを描くんでもジェロームだと芸術になるけど永井豪だと低俗なエロマンガ扱いされてしまう。この作品は安田達矢作品といったほうがいいかもしれないけど

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■T・Pぼん (1978) 藤子・F・不二雄

永井豪それから藤子Fといった大作家のCMNF嗜好が昭和の子供たちの感性に深く突き刺さった事実はおそらく否定できない


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■時計じかけのオレンジ (1971) 監督: スタンリー・キューブリック

映画でCMNF作品だと思いつくのはやっぱりこれ。それなりにバイオレンスなこの作品が忌避されず人を惹きつけ語り継がれてるのはエロみがあるからじゃないのかなー


■スプラッシュ (1984) 監督:ロン・ハワード

ディズニーの大人向けレーベル:タッチストーンの第一回作品にしてトム・ハンクスの実質デビュー作。
これも当該シーンがやたら記憶に残ってます。可憐だった女優ダリル・ハンナは今やシーシェパードに参加し環境テロリストの仲間入り


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