FC2ブログ

大匙屋

健康第一のはずが・・・

3回ドカン研究 (2019)その4  


■かぐや様は告らせたい #07 (2019) https://kaguya.love/

「かぐや様~」は小俣監督本来の遊び心やシャフト要素&出崎リスペクトが炸裂した怪作/異色作でした。
作品の掲げる独特のテーマや存外にピュアな恋愛観には中年の感性では乗りきれなかったけど、やりたいことはよくわかったし、若い人を中心に人気があるのも理解できる。



といいつつ今回はかぐや様のレビューではなく、あまり人気のない三回ドカン研究シリーズ・2019年分の締めくくりとして
三回繰り返し等で現在においても使われる「リピートカット」について触れておきます。

リピートカット、すなわち繰り返しカット。同一のフッテージをただ繰り返す。機械的に。その効果と適用について。



■Report (1967年)  ブルース・コナー監督 短編映画 ‧ 13分
繰り返し繰り返し、何度も映されるケネディ夫妻暗殺前の映像

8802019006010_11027bg01.jpg
ブルース・コナー Bruce Conner(1933―2008) 前衛芸術家、映像作家
デビュー作『A MOVIE』(1958年)以降、既存フィルムの断片のモンタージュで、のちに「ファウンド・フッテージfound footage」と呼ばれる手法を開発し、後続の作家や1980年代に隆盛を極めるミュージックビデオ/MTVなどに絶大な影響を与えた。


上の動画は一部抜粋。全編はこちら(ロシアの動画サイト) <ポケモンショック注意>
※ブルース・コナーの映像作品は遺族の設立した財団の管理が厳しく、ネットにアップしてもすぐ消されることで有名

「ブルース・コナーの『レポート』では、ジョン・ケネディとジャクリーン・ケネディの夫妻がリムジンに乗ってダラスの街路を通過するニュース映画のショットが使われている。このショットは、一部あるいは全体が、何度も何度もシステマティックに繰り返されており、それが逃れられない暗殺の瞬間へと刻一刻と近づいているように感じさせ、その瞬間を待ち受ける観客の緊張感を高めている」
(デイヴィッド・ボードウェル&クリスティン・トンプソン著「フィルム・アート」)


この「システマティックに繰り返す」というのが重要なポイントだと僕は思うわけです。それこそ60~70年代、初期のアナログシンセサイザーに初めて触れた演奏家が音楽の未来を夢見たように、当時の若い映像作家たちは、コナーの作り出したシステマティックでオートマティックな映像の繰り返しに、舞台演劇や音楽ライブには真似のできない、映画にしかない、強烈な客観性を持つ映画・映像特有の表現やその可能性を見出したんじゃないか。





■Breakaway (1966)  主演・歌/トニー・バジル (ブルース・コナー監督)

1966年の作品。5分ほどの短編映画、曲は当時ダンサーとして活躍中だったバジルのデビュー曲。今でいうPVに近いかも。高速カット。そしてここでもリピートカットが多用されています。今見ても超カッコいいですよねこの映像。50年以上前の作品とは思えない





■Hold Me While I'm Naked (1966年) ジョージ・クーチャー監督 短編映画 ‧ 17分

日本では無名ですが、米国では故ヴィレッジ・ボイス紙による20世紀映画国際ベスト100の52位に選出された有名作品。チャーミングな雰囲気だけど一応ポルノ映画で、内容はいま僕らが見てもよくわからないけど伝統的ハリウッド映画のパロディ的なものらしい。恐らくアメリカ人には深く刺さる何かがきっとあるんですね。女優さんのオパーイが素晴らしいです。
8分15秒あたりから綺麗な3回繰り返し、リピートカットが使われています。

8802019006010_110270563.jpg
George Kuchar (1942~2011)
※クーチャーとブルース・コナーの関連性については今も調査中。


参考までにこれも

■ラジオスターの悲劇 Video Killed the Radio Star バグルス (1979)
1981年に開局したポピュラー音楽専門チャンネル「MTV」において放送された最初の音楽ビデオ。
ボーカルのメガネがトレヴァー・ホーン

8802019006010_110270552.jpg

後半いくつかのシーンでリピートカットが採用されてます。ブルースコナーの「ファウンド・フッテージ」が受け継がれているわけです。80年代、そしてMTVっていうとトレヴァーホーンとニューウェーブの時代だったなあと僕は思うんですよ。そしてこのビデオを監督してるのがラッセル・マルケイという人で、この方も当時、時代の中心にいた重要人物。大ヒット厨二映画「ハイランダー(1986)」の監督でもある。

8802019006010_110270558.jpg
Russell Mulcahy, (1953~)




■薔薇の葬列 (1969) 松本俊夫監督
16歳のピーター(池畑慎之介)を主役に起用した、松本俊夫監督の商業デビュー作、ATG映画。
エディ(ピーター)の身支度のカットに唐突に割り込むゲバラ(内山豊三郎)、クシャミをして付け髭が飛ぶ。ほぼ前後に脈絡のない繋ぎ方で、非常にシステマティックな3連のリピートカット。

松本俊夫監督は国内実験映画の先駆者の一人であり、60年代に怒涛のように流入したアメリカ発アンダーグラウンドシネマの洗礼を直接受けた世代。ブルース・コナーとは同年齢で、かなりの刺激を受けたはず。国際的ムーブメントの最先端を見ている、同時に走ってるわけだから、ダサいことは絶対やりたくないに決まってる。だからこそ、この3連リピートが1969年当時、先駆者松本俊夫的に「最高にイケていた」という風に想像がつく。

つまりはリピートカット、そして3回ドカンに至るオーバーラッピング編集といったテクニックが国内映画にもたらされた端緒も、どうやらこの時期あたりにあると考えて差し支えないように思いますね。




最近見た3回ドカン


■鬼滅の刃 #04 (2019) コンテ:白井俊行

エフェクトすばらしい・・・
3cut目の引きの絵でせっかくの迫力がそがれていると思うがどうか。


■狼と香辛料VR PV (2018) https://www.oculus.com/experiences/go/2360037144040771/

シンプルだけどしなやかでエレガントなダブルアクション


■Re:ゼロから始める異世界生活 Memory Snow
 (2018 OVA)

雪像除幕。まとわりつく白幕の質感を増補しつつ除幕への期待感をたくみに煽るカット割。
時間的拡張。配置に無理のある姉妹だが、むしろ晴れやかな表情が映える。
 
スポンサーサイト



category: 3回ドカン

tb: 0   cm: 0

コメント

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://sajiya.blog89.fc2.com/tb.php/639-91c4efed
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)