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2019冬アニメ 私に天使が舞い降りた!  

■私に天使が舞い降りた! http://watatentv.com/

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最終話(#12)において披露されたミュージカル「天使のまなざし」は、シリーズ最後に持ってくる劇中劇として大変な力作であり完成度も高くこの最終盤にきてのスタッフ各位の頑張りには頭が下がる。これは本当にあちこち大変だったと思う。まずはその労をねぎらいたい。


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劇の脚本はこの妙に色っぽい山中先生のオリジナルという体で、この点は#11夏音の台詞を使って強調されている。
山中の音楽的才能、演出力や企画総合プロデュース能力の高さなどは「天使のまなざし」本編が事実上イメージカットのみで構成されるため、公平な判断はできない。

ただこの山中には「天使のまなざし」に仕込んだひとつの明確なメッセージがあり、そのことに主演の白咲 花がそれなりに強く反発の意志を示している点は指摘しておきたい。アニメ「私に天使が舞い降りた!」(全12話)について語るべき点は他にも幾つかあるが、この作品のキモを理解するためには重要なポイントと思う。


#12 
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終劇後、誰もが劇の余韻に浸り天使気分を満喫する中、ひとり先に着替えてしまっている白咲 花。このシーンはわずか数カットで花ちゃんの登場も少なく、その事実も目立たないように工夫/隠ぺいされているけれど、彼女の明確な意思表示がここにある。
実のところ、花ちゃんは主演として役を演じきったものの、もうアネモネの恰好ではいたくなかったのです。


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デイジーに拒絶されたアネモネは、神様の力を借り天使をやめてまでデイジーに寄り添おうとするが、そこまでしてもデイジーに再会することさえかなわない。
まるで呪詛のように作品は徹底して語りかける。「天使と人間は決して同じ時間を生きることはできない、何があろうと絶対にできない」
そして

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「みんなが幸せになるのは全員死んであの世に行ってから」


改めて小学生に味わわせるには、多少なりとも過酷な、毒気に満ちた内容。たかだか文化祭のクラス演劇で、こうも無慈悲なオリジナル劇をやる必要はそもそもない。適度にハッピーエンドで話がまとめられていても、観客は一向に構わないはず。脚本を書いた山中先生がこの展開にこだわったのには、彼女なりに表現したい何かがそこにあったからと考えるべきです。

つまりこれは山中先生が1年ごとに目の前を通り過ぎていくキラキラした小さな可愛い「天使たち」に日々抱いている裏返しの感情なわけです。長期的な視点で成長を見守っていくことが職務上できない虚しさ。私の前に毎年のように天使は舞い降りる、もっと君たちと一緒にいたい、でもそれは叶わない。私とみんなの間には断絶があるよ、私はこんな風にも感じるんだよっていう。
「天使のまなざし」の物語には、山中先生の抱える感傷というかペーソスのようなものが紛れ込んでいる。


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一方で白咲 花は、<デイジーに愛されるために天使をやめる選択をするアネモネ>に共感できない。
花ちゃんはお姉さんがいつか自分に飽きてしまうことをわりと極端に恐れている。お姉さんが自分の何を気に入り、可愛がってくれているのかがわからない。容赦なく時間は流れ自分も否応なく成長していく、もしいつかお姉さんに飽きられてしまった時、花ちゃんには「お姉さんに愛されるために天使(=今の自分)をやめる、変える」といった選択はできない。花ちゃんを天使と呼んで称揚するお姉さんが、天使でなくなった花ちゃんを引き続き愛するとは限らないから。

なので「天使と人間は同じ時間を生きることはできない」という劇をお姉さんに見せるのは、花ちゃんにとって実は大変都合が悪い。

花ちゃんは問う、無理をしてまで、そんなにお姉さんはあの劇が見たかったのかと。
自分が共感できないあの劇を、お姉さんはどう見たのか。
お姉さんはどんな私を求めているのか。どうすれば私はお姉さんに愛され続けるのか?

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そしてみゃー姉はいつも通りのみゃー姉でした。
花ちゃんは、まったく成長も変化も見せないみゃー姉の「抜群の安定感」に最後まで押し切られる。
この思惑のズレ、微妙な噛み合わなさこそが、「私に天使が舞い降りた!」の本質であります。


#12はミュージカルの完成度もさることながら、それを活かして白咲 花の微妙な感情の揺れに焦点を当てている点が本当に見事なのです。

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category: アニメ

tb: 0   cm: 3

コメント

はじめまして。Googleのサジェストからお邪魔しました。

私に天使が舞い降りた!はBDマラソンしたくらいには好きですが
それはあくまで萌豚目線。
この12話も普通に「凝ってるなあ」、「いいお話しだあ…」、で終わってました。

それがこういった構造を持っていたとは…。
中の人!?というくらい素晴らしい分析に感服です。
劇にあのような寓意性が込められていたとか気付きもしませんでした。
考察を頭に置いて、もう一度見てみたくなりますね。

作品を応援して良かったと思いました。
感謝です。

URL | michikusa #-
2019/05/22 01:31 | edit

初めまして。いつも楽しく拝見させていただいています。最近更新がなく、Twitterも沈黙されているのでとても心配しております。Twitterで一言でいいので呟いていただけると安心できます。

URL | カフィ #-
2019/05/27 21:38 | edit

Re:

上段の方>ありがとうございます!!
二段目の方>ありがとうございます!!

URL | 管理人 #pBoZlR9Y
2019/06/17 16:59 | edit

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