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3回ドカン研究 (2019)その1  


■アイカツフレンズ #23 (2018) 京極回

3年ぶり?の継続記事で、お客さんも入れ替わっているので、そもそも3回ドカンとは何かという話から。

これは同一アクションを複数回繰り返す編集テクニックのことです。時間が巻き戻されているのに、大まかにアクションが一致していればアングルが変わろうが時間延びようが多少内容が変わろうが観客は混乱しない。

調べてみるとこの編集テクには案外歴史があって、そして(ここが肝心)映像表現においてあまり重要じゃないテクニックであるため、体系化して語られることもなく名称も統一されていない。マルチアングルと呼ばれたり、リピートカット、マルチテイク、トリプルアクション等、複数の呼称が混在している。そこで僕は勝手に「3回ドカン」と呼ぶことにした。とくに定着はしていない。

英語圏のフォーラムを漁っていると、ここ数年は「Overlapping Editing」「Overlap Edit」という呼び方を一番よく見かけます。「オーバーラップ編集」と訳していいのかな。「時間やカットを重複させた編集」という意味になると思う。いわゆる「3回ドカン」だけでなく、遅延ACつなぎを含む広い意味で使用される編集用語という印象です。撮影用語のOLと被るので、この呼び方も将来的に定着はしないでしょう。





■ポプテピピック#02/ブラッククローバー#59/はたらく細胞#05 (2018)


この編集テクには案外歴史があると書きました。
「ハード・ターゲット」のバトルシーンを見てみましょう。香港でカンフー映画を撮っていたジョン・ウーという監督が1993年にハリウッド進出した最初の作品です。



ほとんどのカットのつなぎで、数コマからコンマ数秒にわたり動作(アクション)の重複が見られるのがわかるでしょうか。



推察されるカメラ位置から、全カット別テイクであることは想像がつくと思う

8702019001009_030290120.jpg

一体どういう意図で挿入されているのか全くわからないジャンクロの髪を振り乱すターンを含め、映像を見ている間、アクションが重複し時間軸が前後して揺らいでいるカットつなぎに違和感を感じる人は少ない、いたとしても脳内で「別にいいや」と勝手に補完される。これがオーバーラップ編集。
この編集のルーツとされるのが――

■戦艦ポチョムキン (1925)

絵皿のスローガンを読んで帝政への怒りを爆発させる炊事兵、皿を叩きつけるカットをマルチアングル&細かいカット割りで。右に左に振りかぶったりで一連がどういう動作なのかわからないがインパクトは大きい



■續姿三四郎 (1945)

初期の黒澤作品、クライマックス雪山での死闘。月形龍之介扮する唐手家の繰り出す水平チョップ、三段寄り、これが世界初のトリプルアクションとされる。画面の中で一体何が起きたのか、本来なら理解されないはずなのにスルーされる、アクションやエモーションが対話やプロットを超越する瞬間であります


■怪傑紫頭巾 (1949) マキノ正博
悪徳奉行の罪状を敵陣にて暴露する口上シーン。オーバーラップ編集といえばこれも強烈。明らかに「普通につながない」を意識してカット編集してる。事象を時間軸に沿って正しく配置する「連続編集」では全然ないのに、脳みそがつなぎの違和感を勝手に修正する。前述のジョン・ウーもそうですがこういうことに気づいていた映像作家や監督は世界のあちこちにいたということになる。
このマキノ正博監督の弟子、勝間田具治さんの演出したサブ市のオーバーラップ編集


■佐武と市捕物控 #37 (1969) 勝間田回

2カットにわたり侍が崖から飛び降りて逃げる動作がダブルアクションになっていますね。国産TVアニメではまだACつなぎもろくに使われない時期にコレをやってるのはちょっとだけすごい
若手時代のりんたろう監督を中心とした数々の超演出で有名な佐武イチですが、この作品を見てると「アニメって動かさないほうがカッコいいんじゃないか?」と錯覚しそうになるので怖い。ただし脚本は大半クソ


ところで佐武市の勝間田回といえばついでにこれも。#46



奪われたお嬢さんを救うために単身敵陣に殴り込む源太。実写畑の演出家ならではの大胆さ、六回にわたりリピートされる障子開け作画。独特のタイトなリズムと、途中ではさまる短い流背が能く効いている。





3回ドカンとは何か、という話をしてたつもりが妙に長くなった。仕切り直して次回に続きます




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category: 3回ドカン

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コメント

ブラクロは60何話あるけど今からでも見るべき?

URL |  #-
2019/01/17 18:03 | edit

Re:

> ブラクロは60何話あるけど今からでも見るべき?

「ブラッククローバー」は「魔法の才能が出世や人生を決定する」世界で「魔法を持たない主人公」が格差や逆境を跳ねのけトップを目指すという物語です。
基本は精神力とド根性の王道的ファンタジーですが、強敵が現れてもチーム戦術で対処するところが新鮮で、変にしんどかったり胸糞悪い展開もなく、プロットには多少の欠陥はあるものの、総合的に評価すればとても見やすい作品です。何よりブラクロは実質15分アニメなので(笑)60話くらいあっても、見始めちゃったらあっという間に最新話まで追いつけてしまうでしょう。この作品の場合、多分100話でも余裕です。
結論は「見たかったら見るべき」です。
複雑だったり難しい作品ではないので、どこか適当に途中から見るのでも一向に構わないでしょう。

ちなみに僕は、延々と空回りしているノエルという少女に行動を促し物語に活かすためのライバルキャラ/エッチな美少女キャラが致命的に足らんと思ってます。このあたりを分厚くできていない原作者さんの力量不足は否定できない。

URL | 管理人 #pBoZlR9Y
2019/01/17 21:27 | edit

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