大匙屋

健康第一

「s o l a」 最終回  

何もかもがすべて綺麗に解明された内容でもないのに
不思議と後味が爽やかなのは、最終的に不幸になった者がいないからだろうか。

蒼乃…「弟依人の死」を受け入れ、人間に戻る
紙依人…蒼乃を立ち直らせ、茉莉と再会の約束をして消失
茉莉…蒼乃によって「人の心」を与えられ蒼乃を人間に戻す

こより…蒼乃との友情を取り戻す
真名…依人の空への感情を受け継ぎ蒼乃と関係修復

繭子…剛史が「傍にいてくれる」という確約を得る
剛史…繭子が人間に戻るのを拒否したことで繭子とようやく向き合えるようになる


一見「3人で仲良く暮らせばいいじゃないか」という見方をしたくなるが
紙依人が弟依人でない以上、その暮らしは幻想だ。

蒼乃は弟依人の死を受け入れられないままに
夜禍となり代替物として人形を作り出した。
蒼乃の思いが強かったため新依人はほとんど旧依人そのものだったが
「空へのこだわり」(茉莉に空を見せたいという強い思い)まで再現してしまった。

「船首を掴んでいたはずなのに、目を開けると帆を掴まされている」

劇中の重要なシーンに何度か登場するこの「帆掛け舟」の折り紙は
俗に「だまし船」とも呼ばれるが、蒼乃はまさにこの単純なトリックに
はまった状態だった。
このような小物を暗喩的に用いる演出は本当に冴え渡っている。
蒼乃が自分だけのために、完全無欠な依人を作ろうとしたばっかりに
出来上がった依人はあろうことか茉莉と再会し惹かれ合ってしまう。


しかし紙依人自身は、実は一面において旧依人以上に依人であり
愛する姉との何事もない暮らしが、姉にとっての幻想でしかないことを見抜く。
依代(よりしろ)として存在する自分の価値は、蒼乃に正気を取り戻させ、
不幸な事故によりこの世を去った旧依人の死を受け入れた上で
陽の光に怯えることのない、人としての真の生を取り戻させることだと悟る。
その紙依人の決意が、茉莉をして為すべき使命へと導いていくのだ。

結果依人と茉莉だけは世界から姿を消すことになるが、
誰一人何も失っていないという奇跡のエンディング。これは見事

記憶を失くし、行き場所を失った真名の依人への思いが
空へ向かって「告白」させるシーンは白眉。
これほど美しくも物悲しい情景は久しく見なかった。


OVAも出るそうですが番外編温泉回でしょうか。
スポンサーサイト

category: アニメ

tb: 0   cm: 0

コメント

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://sajiya.blog89.fc2.com/tb.php/62-b0fce7a1
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)