FC2ブログ

大匙屋

健康第一

2018春アニメ されど罪人は竜と踊る  

■されど罪人は竜と踊る http://www.tbs.co.jp/anime/sareryu/



「咒式」(じゅしき)と呼ばれる魔法科学が一般化した世界で、掃き溜めの町エリダナに事務所を構える咒式士・ガユスは、敏腕で浪費家の相棒・ギギナとともに人助けや化け物退治に日々忙殺されていた。役所の依頼により果たした大型のドラゴン退治をきっかけに、二人は国家最重要人物モルディーン枢機卿長の策謀に巻き込まれる。

というような話でした。
原作は浅井ラボ執筆の人気ラノベ、イラスト担当は宮城(「六花の勇者」等)。角川のスニーカー文庫から小学館ガガガ文庫に移籍しリブートされた企画で、しばしば「暗黒ライトノベルの元祖」と称される有名作(らしい)。

暗黒ライトノベルというと怖そうだけど、残酷描写や鬱展開といった類型は後発にあたる進撃のブレイク以降すでに定着した観があり、免疫を得ている人も多いはず。この作品のそれも多くの観客にとって、さほどショッキングな内容でない気がします。幕間に挟まれるジョークや軽妙なやり取りが効いていて、必要以上に話が重くならないところも作品の魅力といえるでしょう。


8622018008031_230430490.jpg8622018008031_230430290.jpg

主人公ガユス、見た目に華がないというか率直にいって地味、そのへんのショップ店員みたいに見える。よくわからない異世界で魔法みたいな謎の力を振るう物語なので、地味な見た目によって強引に地に足をつけてさせている、のかもしれない。

モルディーン枢機卿長はガユスとの対話の中で「事実から目をそらしてはいけない」というセリフを吐く。このセリフがガユスの本質を端的に言い表していると思う。ガユスの地味な風貌と、重要な選択を常にためらう優柔不断さがこの奇妙な作品を「僕らの物語」たらしめています。

#08
8622018008031_230300370.jpg

ラルゴンキンにジブとの結婚を勧められて苛立つガユス。
ラルゴンキンに「クエロ(過去の恋人)のことは忘れろ」と言われて即切れするガユス。

生活が不安定で結婚に踏み切れないというがそれは当然建前であり、赤字の事務所を必死で維持してるのも、去ってしまった女の帰りを待つためであることは疑う余地がない。クエロと寄りを戻したいわけではなく、上手に過去と決別できない、納得する理由がないと次の選択ができない、何も捨てられないのがガユス。


8622018009001_000220360.jpg8622018009001_000200210.jpg8622018009001_000250220.jpg

ジブという女性は苦悩を抱え忍従する、古風なタイプとして描かれる。ヒロインポジションにこういう何も落ち度のない女を用意するあたり、作者はわりと保守的な人なのかもしれない。

彼女を最終的に地獄に落とす予定なら、それまで彼女をもっと夢見がちに幸せいっぱいに描くはずです。なのでジブが不幸になる未来は想像できない。ゆえにこの二人の関係、この先も大きな進展はない気がする。
ただガユスがよく使う仮面の情報屋の正体がジブである可能性は残されている。どうなるかわからない。


8622018009001_080400310.jpg 8622018008031_220500150.jpg

モルディーンとゼノビア。
こういう重厚な悪役は久しぶりに見た気がする。ゼノビアのほうは武器商人パルムウェイ暗殺に関連して悔恨というか彼女なりの懊悩があったり(#08Cパート)でまだ人間味を残してるけど、モルディーンは酷薄で無慈悲で、ついでに茶目っ気もあってすばらしい。土師孝也さんの声もいい。往年の家弓家正さんがやりそうなキャラ。

パルムウェイって殺す必要あったんでしょうかね。ズオルーの正体に気づいちゃったからかな。

#05
8622018008031_230100170.jpg 8622018008031_230100510.jpg

06話よりシリーズ後半、夜会編。
ウルムン国の革命組織「曙光の鉄槌」の物語と、「マガツ式」がエリダナで暴れる「夜会」の物語とが並行しつつ交錯するマルチプロット。非常に難しい脚本に挑んでいます。成否はともかく、困難へのチャレンジに敬意を表したい。

上の画像は05話Cパート、曙光の戦線の頭首が背信により処されるシーン。夜会編はこのシーンから始まる、こういう結果や経過を先に見せる演出を循環的演出、サーキュラーナラティブ(circular narrative)と言ったりします。

サーキュラーナラティブでは、結果として何が起きたのかを先に見せる分、そこに至るまでのキャラクターの変容に物語の焦点が当たります。この場合はズオルーという男がいかにしてズオルーになっていったのか、という部分ですね。


この「過去と現在が絡まり合い、複雑に交差する演出」を最大限活かすため、換言すれば「後半で観客をいい感じに混乱させたい」ために「場所はここ」「時間はいつ」といった具体的なテロップ表示がこの作品では当初から一切省かれている。
なのでお客さんにとってはシリーズの最初から見ていても「リュウ王国というのが本国の名前?」「リュウ族ってのがいるの?リュウ王国とは別に?」といった本来必要のない混乱がどうしても生じてしまう点は痛しかゆしですね。


8622018008031_230220230.jpg8622018008031_230390280.jpg8622018008031_230390490.jpg

ズオルー。何もない、悲しいまでにからっぽの男。高い知能を持ちながら、生涯を通じて自らの意志で選択をした経験がなく、強引に過去に縛りつけられ、誰かに言われるまま最期まで生きてしまった人。過去のできごとに落とし前はつけられるが、未来は描けないし作れもしない。


8622018008031_230450390.jpg8622018009001_000090090.jpg

待つ女ジブと好対照に、一切待たなかった女がナリシア。愛する男に呪いを掛けて去った点はむしろクエロに近い。
ナリシア自害シーン周辺は演出がぬるく、彼女が何を本当に願い、憎んだのかよくわからない。

#08
8622018009002_060050310.jpg8622018009002_060050530.jpg8622018009002_060060480.jpg

08話アバン。レメディウスに対し、なぜ我々の戦いに参加するのかと問うゼムン
ここ、すごく面白いですね。熱く語られるレメディウスの決意に神妙な面持ちで聞き入るゼムンは、感服すらしているように見える。
でもこのシーン、すべての事情がわかった後で見返すと、ゼムンは「だめだこいつ。早くなんとかしないと」と思ってるんですよね。




#09
8622018009001_08040bc01.gif 8622018009001_08040bc02.gif

09話 コーヒーかき混ぜ作画


#07
8622018009001_08040bc03.gif
8622018009001_08040bc03b.gif

07話 毒ガス散布


スポンサーサイト

category: アニメ

tb: 0   cm: 0

コメント

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://sajiya.blog89.fc2.com/tb.php/617-c3aa19c1
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)