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大匙屋

健康第一

2017劇場版 魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女  

メールへの回答を公開で。(了承済)


(要約)
> アニメ「魔法科高校の劣等生」について、大匙屋さんの感想を聞かせてください。  
> 劇場版 が2017年に公開されヒットしましたが、見ましたか?
> 主人公があまりに強すぎて面白くないという意見をよく聞きます。どう思いますか? 



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そういや僕はこの作品について当ブログで言及したことないですね。
原作はなろう発のSFファンタジーラノベ、電撃文庫による初版は2008年。直近のパブリシティによると、2018年夏の現時点でシリーズ合計770万部を売ってるそうです。

簡単に書いていますが、770万というのはめまいを覚えるような大変な数字です。これはもう、本当に売れている。多くの読者に絶大な支持を受け大ヒットしている、長期間にわたり大勢の人を幸せにしている作品、ということになりますね。

売れている作品すなわち名作…とは限りませんが、これほどの支持を理由もなく得られるはずがありません。これは確実に面白い、必ず何か正当な受ける理由があって、売れるべくして売れているわけです。
主人公があまりに強すぎて面白くないという意見をよく聞く、とのことですが、事実として700万部も売れてるんだから、「主人公が強すぎて面白くないはずなのに、どういうわけか面白い」でいいんですよ。たぶん。

ていうかそもそも主人公が強すぎる作品は面白くないものなんでしょうか。
「暴れん坊将軍」は主人公が毎回無双するけど長寿番組でしたよね。
ガンバスターは無敵だったけど絶大な支持を受けたはず。
実は昔からあったものが一時姿を消していて最近復活した、というだけなんじゃないのかな。


■魔法科高校の劣等生 http://mahouka.jp/tv/# (2014春アニメ)
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圧倒的才能と規格外の実力を持ちながら魔法学校では劣等生の扱いを受ける主人公が、立ちはだかる敵をその秘められた力で完膚なきまでに叩きのめす痛快娯楽SF学園ファンタジー。すべては、愛してやまないたった一人の妹との穏やかな生活を守るため。そして自分と妹の人生を狂わせた実家・四葉家に逆襲するため。

というような話でした。

「さすおに」や「なかでき」といった非公式のキーワードに象徴される間口の広さが現代のヒット作品に適合するひとつの特徴です。バカバカしくて単純なストーリーだと思わせて気軽に誘い込み、作り込まれた複雑な設定と痛快無比な娯楽要素でお客さんを取り込んでいく手練手管には舌を巻きますね。誰でも入れて、どんな理解水準でも楽しめる。

よくいわれる主人公の無双が作品の持ち味と思われがちですが、いったん不遇や差別を受けてからのクールな逆転手、そのカタルシスこそが観客の願望の履行であり作品の大きな魅力のはずです。
それだけに、「入学編」に続く「九校戦編」という構成がちょっと早すぎたな、という印象が強いです。主人公が劣等生扱いを受け周囲から見下され侮られるといった<せっかくの美味しい状況>は、一部の理解者や平等主義者に支えられ早期に解消してしまうのでもったいない。このため「全然これ劣等生じゃないよね」という気分に必然的になってしまう。

生徒会などに懇意の者が多いおかげで段取りや展開がスピーディなのはよいのですが、達也が学校内で立場を徐々に確立していくエピソードがもう一段階ほど充実しているほうがよかった。せっかくのA組(森崎)との対立構図は未消化に終わり、三井ほのか&北山シズクとなじむ直接的な挿話もなく彼女らは最後まで無能な賛美者の域を出ない。



■劇場版 魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女 http://mahouka.jp/ (2017)
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2017年夏公開の劇場版。

春休みに南の島でバカンスを楽しんでいた主人公たちは、ある偶然から「九亜(ここあ)」という小さな少女を拾う。彼女は海軍施設からの逃亡者で、南洋で極秘裏に開発が進められる大量破壊兵器に生体部品として利用される調整体だった。九亜から残された仲間の助命を哀願された達也たちは、非人道兵器開発を叩き潰すため海軍に立ち向かうのだった。

というような話でした。
興行収入5.6億円/国内観客動員数39万人ということでそこそこの好成績(・・・であるものの、数字的には若干物足りない?)
SAO等に比べて肝心の公開規模が小さかった。TVシリーズから三年を経ての新作劇場版でもあり配給元も強気の勝負には出られなかったのでしょう。ファンの評価は高かったようです。MALスコアでも7.59。


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何が起きているのかまったく意味のわからないアバンからスタート。
このアバンは何度見ても本当に意味がわからない。この男は後半に出てくる「スターズ」の副隊長?

「リーナ」「スターズ」関連が何もわからない。リーナはレギュラー全員と知り合いみたいだけどTVシリーズには出てなかったはず。
(「スターズ」についてはTVシリーズの横浜騒乱編で吉祥寺真紅郎による言及がある。米軍の部隊らしい)
映画はTVシリーズから半年後位の春休みの話?だと思うが多分途中のエピソードが飛んでいる。そして話が飛んでいることに後半になって気づく。十文字先輩の参戦はまあアリとしても、彼も普通に「飛行魔法」で現場に登場していた。

まあ初見で一部よくわからなくても、気にせず見ていけばよいと思います。たいした問題ではないので。


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「九亜ちゃんを助けたいというのは無謀だったのでしょうか?」という深雪のセリフは重要なはずだが何も機能してない。九亜を助けると全員合意してから実際に行動を起こすまでに、取り立てて障害が何もないため、無謀もくそもない。敵の小隊クラスが九亜奪還目的でシズク別荘を襲撃する、といった程度の危機イベントが最低限必要だったのでは。

そもそもこの作品の場合ヒロインは深雪のみなので、達也が深雪以外の――九亜に心を動かされて主体的に助ける、という話は作りづらいのです。だから「仲間全員が救出に合意する」「調整体に過度の同情してる」などの設定が必要になってしまう。


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さらに全員でコミットしてる、せっかく救出への決意を固めているのに、必要な者以外東京に帰される。

九亜を乗せた七草所有機が海軍機に襲われるんだから、あそこで全員拉致させりゃいい。あるいは島で民間人が攻撃を受けて被害にあってるわけだから、その救出や避難誘導に全員で当たらせるとか。七草先輩にしろシズク・ホノカにしろ全員大金持ちなんでしょうし、避難民救助に自家用フェリーを手配するとか、何かしら劇中での活かしようはあったはず・・・と思ったけどそれは横浜騒乱編でやっちゃってますね。しかし、ただ何もせず帰京させるというのは、何とも芸がない。
まあせっかくの映画なので出すだけは出したけど、戦闘配置では使い勝手が悪くて、思うように活かせないんですね、彼女ら。


ところで上のカットでエリカが一人憮然としているのは、そこに彼女の嫌いな渡辺摩利がいるからなんですね。摩利への対抗心が手伝い、彼女のセリフを受けるかたちで「自分は足手まといにはならない」と達也に同行を認めさせる。こういうところは演出さんや監督がさすがに作品を理解してると感じます。


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同様に、海軍が隕石爆弾開発を急いだ原因が「灼熱のハロウィン」にあることが盛永によって語られた上で、達也の行動目的が「九亜の仲間救出」から「施設破壊」へと途中変更されている。

ここはちょっとわかりにくいですが、この時の盛永との対話によって、達也はこの件に関して少なからず自分の責任を感じたわけです。こういう丁寧な段取りやロジックの部分は脚本家=作者さんの細やかな性格のなせる技なんでしょう。上手く言えませんが、こうした作りを見るとこの映画はちゃんと作られている、少なくともちゃんと作ろうとしている姿勢がうかがえて、このスタッフは信頼できると感じます。まあ、一部にひどい説明台詞もありましたけれども。


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同じシーンでヘルメットのシールド部に映る鏡像。少々見づらいですが、この動きちょっと面白かった


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T.Bで手前人物やbookを途中からボケIN。これ前に「ACCA13区監察課」でもありましたね。


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TVシリーズから引き続き、アクションシーンに富岡隆司さんの参加。独特のタイトなタイミングの動き。


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