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健康第一

2016冬アニメ ハルチカ  

■ハルチカ~ハルタとチカは青春する~ http://haruchika-anime.jp/




高校入学を機にキュートガールなフルート奏者へと転向するべく吹奏楽部に入部した元気娘のチカは
幼馴染のハルタと再会、顧問の草壁先生に心惹かれつつ、衰退していた部の立て直しと部員集めに
奔走するが、行く手には様々な謎とミステリーが待ち受ける。

というような話でした。
作品タイトルから、内容は高校の部活を中心とした青春ラブストーリーかと思いきや、
実体は謎解きメインの探偵もの/日常系ミステリーでした。
僕は予備知識ゼロの状態で拝見したので、少し戸惑った。


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部活動のシーンには演奏風景も出てきますが、最終話を除いて表現は抑制的です。
彼らが全国大会出場という高い目標を掲げ、視聴者がそれを普通に受け入れられるのは、
響けユーフォニアムのような先行作品に触れていることと
スポ根的な姿勢に対して自動的に共感を覚えてしまうからだと思う。

でもそこにはけっきょく齟齬があって
ガチ演奏してるシーンが物足りない、もっと見たいという欲求には
この作品は応えてくれない。
要するにそういう求道的な作品ではないということ

#01において「本気で全国を目指す」といったハルタの台詞があって
チカがいとも簡単にそれに乗っかるのは
実力のあるメンバーを次々と勧誘する進行上の動機が必要なためです。
(普通の勧誘ではなく、理由があって入部をしぶる相手を強引に口説く必要がある)


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理不尽や不公平、めぐり合わせ、行き違いによって立ち留まりを余儀なくされる人、
進退極まって動けなくなってしまう人に「大丈夫だよ」と言ってあげたい。
それが謎解きを通して語られる、この作品の主たるテーマだと思う。

芹沢さんがチカにデレていく過程は実に微笑ましい
ハルタが鍵屋さんで、チカが扉を蹴って踏み込む役回りで
この関係は好バランスです。


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みなまで語らない。

・草壁先生が卒業生の特定をはぐらかしたのは何故か
・盗撮犯の処遇は描かれない、ゴリラ先生はどう処理するつもりだったのか
・七賢者はなぜ急に番組をやめると言い出したのか
・カイユウの放送にチカが殴りこむ様子(カイユウと打ち解ける過程)は描かれない
・芹沢が入部するという選択が彼女の人生にとってどういう意味を持つのか

これらは察しがつく内容ではあるのですが、作中で直接描かれない。
まあ枯淡の趣といいますか、原作小説においてはスマートでエレガントな表現だとしても、
アニメでは減算的な演出を終始一貫して仕掛けているわけではないので、
各話の結末が尻切れトンボに見えてしまうかもしれない。

でもこの作品が本当に隠しているのは各話のくわしい結末などではなく、
ハルタのすなおな感情だと僕は思う。

#01
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「僕は本気で普門館を目指したいんだ」
「どんな弱小の吹奏楽部だって、挑戦する権利は持っているはずだ」

当たり前のことを言ってるだけなんですが
これは自分にとって世界が平等でない、公平でないと感じている人の言葉です。
ハルタはマイノリティとして社会から拒絶されてる(と本人は感じている)人。
さかしいところを見せてトリックや謎をいくら解明しても、彼が得られるものは何もない。
(だから変なヘイトもたまらない。)


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チカちゃんはハルタや皆を巻き込み、問題解決に向けた大きなうねりを作る人。
つねに前のめりで失敗を恐れず、明るく元気でひたむき。気づくといつも集団の中心にいる。

そしてハルタは、そのチカちゃんがいなければ輝けないわけです。
ハルタにはチカちゃん以外に、本音をぶつけられる友達もいない。
ハルタは何でも知っていて何でも一人でできるけど、
そもそもチカちゃんがいない場所ではトラブルも起きず、
冴えない青春をぼっちで食いつぶすしかない。

ハルタから見ればチカちゃんはまったくフェアじゃない、反則的な、チートな人。
ゆえにハルタは、彼女に愛憎入り混じった複雑な感情を抱くはずなんですよ。

そのハルタのもやもやとした感情、渦巻くような怨嗟をこの作品は隠蔽し、
さわやかで清々しい青春ストーリーに擬装してる。
吹奏楽というのも、爽やか擬装の一部に過ぎない。
これがこの作品が巧妙に隠している、よこしまで悪辣な部分じゃないかな。

要するにハルタはまるで聖人みたいに描かれている。僕にはそこが嘘っぽく見えます。
ハルタは必ずどこかで動けなくなってしかるべきと思う。






#02
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ルービックキューブ、異様な作り込み

#06
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ローアングル、パン


#01
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各所タイミング合わせるの大変そうな3D背堂
横壁や天井の照明と最奥の扉で尺変化のタイミングが違うのはどうやってるのかなこれ


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category: アニメ

tb: 0   cm: 2

コメント

この作品、つまらなくはないけどなんか違和感があって途中から見なくなってしまいましたが、そういうことなんですね。
ハルとチカの関係は、原作は知りませんが、中の良い犬と猫なんだと思います。だから永遠に交わらない。チカはネコのようなキャラとして描かれてますよね、動きやしぐさとか。瞳の妙な色合いも猫の目が由来なんじゃないかと思います。チシャ猫に引っ掛けたんでしょうか?

URL |  #-
2016/04/04 00:13 | edit

Re:

あーなんか面白い発想ですね
そういう見方があるのか。たしかにこの作品の女子はチカに限らず猫科っぽいというか、肉食獣っぽい

URL | 管理人 #pBoZlR9Y
2016/04/04 13:08 | edit

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