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健康第一

2015秋アニメ すべてがFになる -THE PERFECT INSIDER-   

■すべてがFになる -THE PERFECT INSIDER-  http://www.f-noitamina.com/
★ほしひとつ



准教授・犀川(さいかわ)と学生・西之園萌絵は、憧れの天才プログラマー・真賀田四季に会うべく
絶海の孤島にある「真賀田研究所」を訪れたが、二人はそこで真賀田四季の他殺死体に遭遇した。
最新システムで隔離された密室殺人の真相をあばく理系ミステリー。


といいうような話でした。
原作は森博嗣による有名な推理小説ですが発表はすでに20年も前であり
アニメ化にあたり続編小説の設定などを交えた再構築と現代化が行われています。

僕は基本的にアニメと原作はまったく別物と考えます、当該作の改変にも異存はありませんが
四季シリーズの内容を採用したことでミステリーとしては情報過多になっており、
というか多少わかりやすくし過ぎてしまったなという印象です。

しかし推理モノの体裁の裏側で男女の機微をうがつ作品の魅力は
アニメ化に際しても損なわれておらず、そこは監督の手腕冴え渡る部分と見て星をつけます。
まあ本当をいうと僕は神部作品とはどうも相性が良くないんですが。





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パンや俯瞰ショットは原則的に使わず、ローポジ・目線レベルを多用。
観客を全体が見渡せる神様の視点には立たせず、なるべく登場人物と同じ景色を見せ、
彼らの感情の変化を捉えやすいように配慮してある


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主観視点、カメラ目線もかなり多用してきます。
別にオズ調ということではなく
(画面内での赤色の配置や使い方など見るに監督は小津がお好きではあるのだろうと思う)

西之園萌絵のデザインは前髪で眉毛を隠しており
彼女の心情を推し量るには目元の微妙な変化に注目せざるを得ない
一種の力技ですが視聴者の意識を取り込むギミックになっている


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切り替えしやカット割も各所においてスピーディで強烈、イマジナリーライン越え上等、
ともすれば冗長になりがちな会話劇にリズムとテンポが生まれている。
やり過ぎてると感じるところもある、レクリェーションルームとか
カット割に気をとられ、会話内容が頭に入ってこない場合があり


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対話室モニターにおいて真賀田博士の描き方は
なかば宗教的意図を孕む、イコンとしての偶像的イメージを強調してるように見える。
二者間には明確なヒエラルキーが存在し、視聴者はその中間に。

真賀田博士は西之園を通して犀川を見ようとしてたんだけど
西之園もまた只の凡人ではなく、真賀田にわずかな動揺を与えると


#04
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ドリーズーム
最近こういう伸びてる絵を見かけますね、ノラガミにもあった

#07


プルバック、部分抜粋
プルバックには心理的離脱効果がある。これは古い記憶の、その周辺にあるものを想起しようとするカット

#09


副流煙と呼出煙
不定形なたばこの煙は犀川のつかみどころのなさをシンボライズしてるんでしょうかね
05話では煙にフォーカスして人物をぼかす絵があってそれも興味深かった

#10


ドリーイン&ズームアウト
演出も撮影もいい、印象的なカット。このgifでは細部台無し

#10
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くらげ。安定してるのに浮遊感がある





#OP
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OPだけはちょっと苦言を述べますよ。出来はともかく、これはもう、まんまライアン・ウッドワード。
関和亮をつれてきておいてこれか。意図がわからない、クリムトとどっちか選べとでも言ったのか。





以下内容について少し。
ミステリーの核心に関連する部分に触れざるを得ないので未見の方ご注意ください




真賀田博士がどうして人を殺したかという理由は分からない。
でも分からなくていいんだ!思考し続けることが大事だと博士は言ってるんだ!
というような結論に至る方が多いようなんですが
僕はこの作品はラブストーリーそのものであると考えます。

ラブストーリーであるということは、登場人物はロジックや趣意によって動くのでなく
パトスや衝動に突き動かされる。

#05
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口論。西之園という人は矛盾だらけで、
真賀田の犯行動機(自分が納得できる理由)を知りたいと思いつつ真賀田を自分の道徳観念で計る。
また犀川に心惹かれつつ、その一方で犀川の考え方を真っ向から否定します。
犀川から見れば、その内部に多くの矛盾を孕んだ西之園は「純粋な人」ということになります。


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西之園は飛行機事故以降、犀川の意味なしジョークに辟易しつつ、
一方で犀川の数々の指摘によって考え方の矛盾を適宜矯正され成長=現実に定着してきた。
(コーヒーはいつも熱すぎるわけじゃないよ~とか、考えてることを全部口にしなくていいよ~とか)

これは感情を常識や理性に合わせて上書き保存してきた歴史に他ならない、
上書きされたことで矛盾は消え、同時に犀川の助言も消えた。
ゆえに、西之園はなぜ自分が犀川に惹かれるのかが論理的に説明できない。
必要な情報が保存されてない。


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真賀田は犀川に矯正される前の西之園の本質を掘り起こそうとする。
両親を失って悲しい、一人ぼっちで苦しくてつらい、生きる意味がわからないという状態の記憶ですね。
死んだほうが楽じゃないか、あの時そう考えていたじゃないかという

真賀田は西之園を支配することで犀川から一番大事なものを奪おうとする。
西之園が犀川の最大の「しがらみ」だから。

アニメではそこまでは描いてなかったかも?でも、意味はそういうことですよね。
むしろ西之園はその純粋さゆえに、眼前で起きた死に魅せられたように自ら近づいていき、
過去に経験した肉親の死と絶望がフィードバックして情緒不安定に陥ったのかもしれない。

しがらみ=まとわりついて,引き止めるもの。関係を絶ちがたいもの。

#05
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「正しいかどうかはわからないけど真賀田四季は純粋」「真賀田四季ほど純粋な人はいないよ」
といって純粋であることの素晴らしさを犀川は賞賛するのだけど、
これは同時に西之園の純粋なところが好きだと犀川は言っている(に等しい)わけです。
けれども西之園は、犀川先生が真賀田博士を賞賛していると受け取る。
話は噛み合わず、こじれていく。

「今回のことがどうでもいいことだったら、僕はこんなところまで来たりしなかった」
「いくら真賀田四季に会えるかもしれないって言われてもね」

この台詞は「自分は西之園と海合宿に来たかった、楽しみにしてた」と言ってるんだと思うんですよ。
このしがらみは、自分にとって一番大事なんだと。西之園には通じてないですが。

同時に犀川は、西之園の矛盾を指摘することで西之園から長所である純粋さを奪い、
しがらみと不自由で彼女を縛ってしまう、そのことに葛藤や自己嫌悪があると。
だから彼女には直裁な物言いをせず、意味なしジョークを連発する。
また真賀田四季は犀川のこうした傾向を多重人格的なものと看破、指摘する。





最後におじさん

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おじさんは何故、真賀田四季に選ばれたのか。
これはもう、そういう人材だったからです。

#07
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「取り込まれる、姉の中にすっぽり包まれて一人の人間になってしまうような」
これは真賀田四季と相対した人間が見せる典型的な反応のひとつと考えられる。

つまりおじさんは、より高次元の存在=真賀田四季に取り込まれることをもっとも強く望んだ人。
四季に支配されることを強く望み、どこまでも彼女の言いなりになって動く存在。
そういう人だったからこそ選ばれた


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夫人がひどく従順で控えめな性格で鼻に特徴のある微妙な造形にデザインされてることが
実はおじさんの人生を象徴している。
つまりおじさんの人生は最悪ではなかったけど本人の思い描いた理想とに比して不完全だった。
人生が不完全なまま続いていくことを、おじさんは恐れていたわけです。



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category: アニメ

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コメント

ラムちゃんはなんか意味があったのでしょうかw
あれだけ気になってしまって…

URL |  #-
2016/03/06 04:28 | edit

Re:

先生のTシャツも良かったですねあそこ

URL | 管理人 #pBoZlR9Y
2016/03/06 07:30 | edit

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