大匙屋

健康第一

2013夏アニメ 銀の匙  

■銀の匙 http://www.ginsaji-anime.com/

#10
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とりあえず各話それほど強く印象に残らなかったんで
10話(豚丼の出荷回)についてだけ


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Aパート「常盤の誤解」の話からセミ→抜け殻


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そして豚丼出荷後、ふいに出てくる死骸
その後食肉の加工時。実習室に看板にまたセミ

この回は家畜の悲哀を中心に描くエピソードですが
人の営みとは無関係な場所で
生生流転のシンボルとしてセミを使ってる感じ

とくにこの死骸はタイミング的にも
豚丼のたどった運命にシンクロしてるんだろう


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この運転手、恐面ですが良い人風に注意深く描かれてますよね。
タマ子のギガファームの描き方なんかでも思いましたが
職責や立場、考え方の相違はあれど誰かが敵や悪として描かれることはない。

このことは八軒と、八軒の眼前にある事実との関係を
客観的に視聴者に見せ/判定させる効果を高めますが
八軒本人は(敵の不在により)自己の内なる矛盾に追い詰められていきます。

そして僕ら視聴者は、主人公の後ろではなく観客席に追いやられるせいで
八軒の抱える「モヤモヤ」を彼と共有することができない。
ひたすら「面倒くさい奴だな」という印象ばかりが浮き上がる。

僕らは主人公に寄り添うのではなく、彼の少し前を歩かされるわけです。


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影は闇、死の臭いに通じているけど
差し込む光を机の上に落とすことで視聴覚室との差別化をはかりバランスも取る
「豚をいかに美味く食うか」というミニ講義
このシーンの影には強欲や怠惰、憂鬱、虚飾、傲慢といった
七罪のようなイメージが大量に盛り込まれてる

光は本来なら希望や喜び、命の輝きを象徴するものだけど
この光と地続きな別の場所でセミは生命の営みを繰り返し
育まれた子豚の命もまた光の中で理不尽に奪われ消えていく
八軒はその境界で平静を保つために感情を排除してるように見える

こうした現実における矛盾や理不尽に向き合わされた結果として
過去の彼はこの場所に逃げてきたわけで。


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視聴覚室、より深い闇。
屠蓄ビデオによって、豚丼に何が起きたのかが説明される。
そこに映し出された実際には眼前に無いはずの死。
衝撃を受け、乗り越えようとする級友の苦悩を描くことで
八軒の感情をここでは吐き出させない


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食肉が届く
一転して明るい空間。死臭の排除された清潔感。


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八軒にとって多くの情報量を持つ(はずの)肉塊。
予想していた感情が、予想通りにわき上がってきて思わず安堵するような。
僕ら視聴者は「命と食物」というテーマに直接向き合わされるのではなく
命と食物というテーマに向き合わされた少年を見ている。
「家畜は可哀想か」という話ではなく
八軒がこの問題をちゃんと受止めることができるのかが関心事となることで
この大きすぎるテーマをエンタテイメントの一部として消化できるわけです。

だからここで混乱や力みのない八軒の表情が見られたことで
思わず安堵するのは僕ら視聴者のほうだったりする。


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曾祖母の言を踏まえバイト代の使途にひそかに注目していたはずの御影は
この精算におおむねポジティブな評価をしてる様子

八軒の表情と、この御影の反応をもって
「この取引は間違いなく利得的なのだ」というイメージが視聴者に植えつけられる。

特別な何かが起きてるわけでもないし、アクションシーンがあるわけでもない。
それなのに視聴者の感情にはシーンごとに小波が立てられる。
「安心」を人質に取った、見事な視聴者コントロールだと思います。
演出とはかくあるべし。という感じで。

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