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2012秋アニメ となりの怪物くん  

■となりの怪物くん http://www.tk-anime.info/

少女マンガ原作ということで
円盤を巻あたり五千本売ろうといった脂ぎった企画ではなくて
とりあえず中期的にリクープできればそれでよく
むしろ原作マンガの海外展開まで視野に入れた
予算二億程度の中小規模の企画であろうと思われます。
監督が音響を兼任しておられる点からも低予算なのは明らか。

そう割り切ると、プロモーションにしては非常によく出来ている、
かなり丁寧に作ってある作品であると見ることもできます。
よく知りませんが「このマンガがすごい」的なもので上位ランクされた原作らしいので
ある程度期待しても大丈夫というのも好材料です。
まあ、その原作のほうがまだ未完らしいので
どうやったってお話は丸投げになっちゃいますけどね。


簡単に言ってしまえば
サヴァンの少年とガリ勉美少女の
未熟で不器用な恋物語。
http://www.b-ch.com/ttl/index.php?ttl_c=3455&mvc=2_0_189013_1_0_0

いわゆる萌えアニメとの相違点として、同じ色恋メインの物語でも
より恋のありように重点が置かれるところが少女マンガならではですが、
こと人格設定に関して丁寧な作り込みが散見されます。


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主人公シズクは他人に心を閉ざし、感情表現も最低限しかない自己完結型で
相手役の男子との恋愛よりも勉強のほうを優先しようとする。

勉強を「音楽」やら「スポーツ」やらに置き換えてみれば
そういう熱中の仕方をするタイプなのだと理解できなくもないのですが
一体なぜそこまで?というほどの異常なこだわりようで、
勉強に関してほとんど強迫観念のようなものを抱え込んでいる。

これに関して明確な理由説明がない代わりに
作品は彼女と父親との関係に何度かスポットを当てています。


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主にコメディリリーフとして登場する父親は
状況の深刻さに反してユーモラスな父娘関係として描かれますが
ふがいない父親に代わって家族を精神的に支えるため、
主人公シズクは高い自己評価を維持しなければならない立場にあります。

彼女の人格面、感情の抑制と鈍麻は
幼少時からの父権的権威の喪失、母親の不在によるところが大きい。
彼女は明らかに両親からの評価や干渉に飢えた時期があって、
家族や周囲との対話の中に自己の価値をうまく見出せず、
何事にも感情を抑制してしまうため、強い刺激にしか反応しない。
そこで相手役のハル=怪物、に反応してしまうのは
理に適っているといえる。

本質的には「勉強嫌い」なシズクは、努力なしに「彼女の理想的自己」を実現している
ハルに対して畏敬の念を抱き、同一化したいと望んでいる。
だから彼女は、ハルからの「シズクはすげえな」「シズクがいてよかった」といった
存在価値を無条件に肯定してくれる言葉に極端に弱い。

その一方で家族を支えるため、またハルと対等であるために
高い自己評価を維持しなければならないことが
勉強への強迫観念になってるわけです。


こうした設定の合理的な作りこみは、実際には作品の面白さと直接無関係ですが
作家の高い力量が測られ、作品への信頼感を高めてくれますね。


その他、夏目さん

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彼女の愛くるしさ、
そして彼女の抱える切実なまでの友情への飢餓感は
時折、胸を締めつけてくるほどのものがあります。
シズクが人を求めない代わりに武装し続けた失敗者であるなら
彼女は人を求めて武装解除し続けた失敗者。
これはもう、作品を見てもらったほうがいい。なかなかいないほどの良キャラです。
CVは種﨑敦美さん、メインキャストへの抜擢はこの役が最初のようですが
よい仕事をしています。

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