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2012夏アニメ 織田信奈の野望  

■織田信奈の野望 http://odanobuna.com/

戦国時代にタイムスリップしてみたら織田信長が美少女だったという話。
主人公が戦国シミュレーションゲームで鍛えた知略で
天下統一をサポート/プロデュースしていく面白さがあります。

冒頭のナレーションで
「時は戦国。群雄割拠する武将たちは戦いに明け暮れておりました」とありますが
群雄割拠する武将たちって日本語ヘンですよね。まあいいですけど。


アニメでは大筋で史実に沿いつつ
桶狭間から美濃攻略、そして上洛、金ヶ崎の撤退のあと
姉川の戦いはすっ飛ばして比叡山までが描かれます。


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基本は「姫武将」なるものが多く登場する萌えアニメなのに
やたら死体がゴロゴロ出てくるのがすげえなと思いながら見ていました。

萌えと死は互いに相反するものでありますから
これはひとつのチャレンジであると考えることもできましょう。
視聴者にドン引きされてしまう危険性をはらみますし。

なんでここまでやるのかなあと考えてたんですが
まあ乱世である現状への客観的な視点を視聴者と共有するためかなと。

たとえ萌えアニメでも、劇中にて戦国武将を描く以上
戦場にて人を切り捨てる場面とか描かざるをえないわけで。
信奈が何もしなかったら人がバタバタ死んでいく、という場面を見せることで
信奈に大義――というより免罪符を与えてるわけですね。

ただ、萌えキャラというのは死から遠い場所にいる存在ですので
もし死ぬとしたら、それなりの段取りや大きな尺を要することになるため
何が起ころうと姫武将キャラはまず死なない、とわかっているわけで。

劇中で死ぬキャラと死なないキャラが判別できてしまうというのは
進行上、多少の問題があるような気がします。


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「信奈は天才」「織田信奈は特別」と何度も登場人物に言わせますが
信奈が具体的にどう凄いのかはあまり描かれていません。
このあたりは「ヒロインは織田信長の女体化である」という前提に頼りすぎかも。

戦闘能力がズバ抜けてるわけでもない、知略に優れたキャラは半兵衛など他にいる、
大勢の部下からの人望なら五右衛門も持っている、
おおらかさと寛容さはあれど、結果だけ見れば判断ミスも多い。
極論すると、信奈には可愛さだけしかない。
他の姫武将との違いは「大きな夢を持っている」という漠然としたヒロイン特性だけ。

視聴者が一番期待するのは、他のキャラや作品とは決定的に違う
「この作品にしかない凄さ」「織田信奈にしかない圧倒的な何か」ではないかと。
そこを描けていないのは、この作品の大きな弱点と言えるでしょう。

相良良晴が未来で得た知識を物語にもたらせばもたらすほど
信奈の存在は「普通化」し「平凡化」していく。これがこの作品の抱えるジレンマです。

「歴史が少しずつ狂い始める」というところまでは描けていた。
信奈の存在は、それをさらに超克していかなければならない。
相良のカンニングのせいで狂ってしまった歴史をさらに天才の発想で狂わせて、
信奈が「さらにその先の未来」を力づくで強引に切り開いていく。
我々が見たかったものって、そういうものじゃないかな。


当初は、信奈をあえて感情の揺れ動く普通の女の子として描くことで
比叡山では彼女を狂気に走らせる、その時のギャップを強調したいってことかな?とか
思ってたんですが、結局そういう話でもなかったようですね。
まあ可愛きゃいいんですけど。



あとは、終盤の比叡山戦に関して――
まあ最後だし、ここで見せ場を作って盛り上げないと、という感じなのでしょうが
ちょっとこれは構成的にも強引過ぎるというか。

関白の突然のご乱心が何もかもブチ壊してるように思いますが
敵側は恐ろしく自信たっぷりだったわりに速攻で自壊してますし
そもそも朝倉などが一緒に立てこもる理由も最初からないように感じますし
もうちょっと合理的な筋立てにならんかったものか。
ここは何をしたいのか、意味がわからないです。
それなりに盛り上がってるので、これでもいいのかもしれませんが。



その他――

#11
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京における信奈の居城ですが、これは現存しない二条城ということだと思います。
このふすまの書は判読できるところから解読すると


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天高淮泗白 料子趣修程
汲水疑山動 揚帆覚岸行

となり、これは唐の詩人・曹松の律詩「秋日送方干遊上元」であろうと。

で、「曹松」という人は「一将功成って万骨枯る」という漢詩/格言で大変有名です。
一人の将の成功の影には、大勢の下っぱの犠牲があるという意味です。
「己亥歳」の一節で、曹松ならばむしろこっちのほうが有名なのですが、
こちらにすると、意味のうえであまりに織田信長公にドンピシャなので
曹松にちなんだまま、違う詩にしたということなのだろうと。

遠くに行ってしまう友を見送る詩です。
ふすまの向こうで死線をさまよう一人の将、という状況に沿っているわけですね。
なかなか凝った趣向です。
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