大匙屋

健康第一

2012夏アニメ ココロコネクト  

■ココロコネクト http://www.kokoro-connect.com/
★★ほしふたつ

ちゃんと、というのも変ですけど
登場人物にとって最悪の展開が視聴者にとって最高の展開、
というのが僕の考え方でして、この作品はちゃんとそうなってるのがイイです。

「彼ら」は誰でもない。そこらへんにいそうな高校生。
特技や特徴があるでもなく、金があるでもなく、
背格好も身体能力も普通で、知性も考え方も年相応。

そんな彼らの中にある、誰もが持ってるようなごく当たり前の性質の一部分を
任意に切り取ってぐーんと拡大して思いっきり増幅して、
互いにザクザク傷つけあって関係を深め合う、というのがコンセプトですね。

「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」で誰の絵なんだかわからないキャラデザをしてた赤井俊文が、
「誰でもない」高校生を描くこの作品に、堀口絵のクリンナップとして関わるという
奇妙な巡り合わせも面白い。

作画レベルは全体的に高くはないです。
しかしシナリオのほう、とくに中~終盤に至る部分は抜群に面白かった。


「カコランダム」にあたる第13話までは
「友達とは時に傷つけ合うものである」的な話の中でも
何だかんだで仲良し同士は気を遣い合っていて、本気で傷つけ合ってはいないよね。
これを言ったらおしまいだろ、的なところまでは踏み込まないよね。
そういう意味ではヌルい展開だけど、これはテレビアニメだから
そこまで要求するのは無理がある、うんうんそれはわかってる、と思いながら
見ていたわけです。

14話以降、いい意味で裏切られましたね。
何度も壊れかけては修復していた友情をひっくり返し
無関係な周囲まで巻き込んで人間関係を崩壊させ
成立すると思われたカップリングまで叩き壊してみせたのは見事です。
これはやられたと思いました。これで星ふたつが決定してしまいました。
僕が張本勲なら「天晴」と叫んだでありましょう。



11~13話の時間退行の章は
前二章と違い、主人公たちに得るものが無かったように感じたので
何でだろうと思ったのですが、
これってあとから考えると、丸々14~17話の伏線になっていたわけです。
とくに13話

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「お母さんを守るの。私がうまくやるとお父さんは機嫌がいいから」

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「思い出した」

このとき伊織は、時間退行の副作用によって
ずっと探していた過去の自分、本当の人格を思い出してるわけですね。
二番目の父親を懐柔するために人格を作り上げた自分は
本当はどんな人間であったのか。これをすべて思い出した。

それが、今まで演じてきた自分の理想とはかけ離れたものであったがゆえに
「人として存在」するための足場すら怪しくなってくる。(→02話)
この不安が#13最後の独白に繋がる。

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「いい奴なのだけれど、私は本当に八重樫太一のことが好きなのだろうか」

恋愛劇を演じるように、共演者は自分が演じた人格に恋をして、
自分もまた相手に恋をする演技をしていたようなものではないか?
それと一体何が違うというのか?
このことに気づいてしまうと、もうどうにもならない。


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「もう今さらどうにもならないってわかってるんでしょう? 永瀬さん」
「なにが」
「あなたがこれからどうにかしようと思ってることですよ」

探していたものを見つけてしまい、一度同一化が起きてしまえば
確かにどうにもならないわけです。
ジョハリの窓、「公開された自己」が拡大すれば
伊織の自己開示は逆に遠のいていきます。

そして物語は14話~感情伝導編に突入し
伊織が壊れていく。


#14
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部室にて
期せずして稲葉から伊織に直接伝わってしまう言葉。
また、このあと伊織から青木に直接伝えられる言葉。
ここの内容を伏せてるのは上手いですね。

まさにここで伝えられるのは、人には言えないような言葉。
これを言ったらおしまいだろ、的な言葉であろうことは想像がつく。
形にせず状況だけを表現してみせるのはアニメならではの演出の妙でしょうね。


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感情伝導によって構成される、二人にとって最後で、偽りのない言語空間。


これも各章にいえることですが
毎度フウセンカズラによって課せられる条件を
巧みに利用する形で円滑にコミュニケーションが図られるところも
好感度が高いです。

いやあ、いいもん見せてもらいました。


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