大匙屋

健康第一

2012夏アニメ 夏雪ランデブー  

■夏雪ランデブー http://natsuyuki.tv/


先に書いておくと、本作に関する僕の論評はフェアではないです。多分。
このシリーズを見てる間中、僕がずっと考えてたのは
「なんで自分はこれを見続けてるんだ?」みたいなことばっかだった。

監督やスタッフの名前は当然知っているし、彼らのこれまでのキャリアには
一定の評価をしているつもりだし、今後もそれは変わらない。

にも関わらず、本作に関してはすっごい気持ち悪い作品だと思ってしまった。
長いことアニメを見続けてきたけど、こんな気持ち悪い作品は初めて見た。
その気持ちがあまりにも新鮮だったので、つい最後まで見てしまったけど
できれば、もう二度と見たくない。

要するに、僕にとってはどうしようもなく生理的に合わない作品だった。
だからこれ以上の論評には意味がないし、
フェアなものにはならないことを付記しておく。



幽霊譚というのは基本的に成仏エンドしかなく
しかも道連れの如何によらず鬱展開が約束されていたりする。
だからこそ悲恋モノには向いているわけだけど。

加えて「この世ならざる」という状態の不気味さも付帯する。
最近だと「黄昏乙女×アムネジア」では状態の不気味さを、
ロマンチックに美化した他の部分と完全に切り分けすることで
勧善懲悪の構造に転化させていた。
方法論としては目新しいものではないけど(*1)
「黄昏乙女×アムネジア」は霊魂の萌え化には成功していた。
類似の構造として「さんかれあ」では「死体の萌え化」が提示されている。
「萌え」とはすなわち「死」からの乖離。
どちらのヒロインも作中、唐突な他者化というオプションで
恐怖の対象に復帰するけども。

まあとにかく「幽霊譚」ってのは意外に自由度が低く
あまりバラエティ豊かな話にはなりにくいってのがひとつ。



そして「夏雪ランデブー」にも萌え要素はある。
#02

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島尾の嫉妬などがその典型で、彼はヒロインに対して父親化しており
本人が必死である分だけ物語は喜劇的な広がりを見せもする。

これだけで済む話なら、ヒロインに霊の加護を理解させ
「今までありがとう。私幸せになります」みたいな終わり方でよかった。
デミムーアの映画みたいな、つまらない終わり方。
でも、そういう父親が娘を嫁に出すような話には当然ならない。


島尾の「体貸してくんない?一回でいいから」という提案を
葉月が受け入れる時点で気持ち悪い。

その意味を考えれば「ヒロインと一回セックスさせて」ということだとすぐにわかる。
葉月は今後ヒロインと100回セックスするために島尾の存在が邪魔で、
島尾を成仏させるためにその提案の意味を承知で受け入れるわけだけど、
どちらもヒロインの都合は考えていない。

でも、男性ならこの提案は誰でも受け入れるんだ。多分。
だって一回だけ黙認すれば、あとは心置きなく100回セックスできると思っちゃうから。
なんかとっても合理的な取引のような気がするから。
だからこそ気持ち悪いんだと思う。

これは実質的に、見知らぬ男に自分の体を提供しただけでなく
最愛の恋人の体も提供してるわけです。
気持ち悪いよね。そう考えると。

で、当然ながら一回では済まないわけで。
立場が入れ替わり、幽霊化させられたうえ、
敵は幽霊歴が長い分だけ葉月より上手で、絵本世界という魂の檻を用意でき、
葉月はそこに閉じ込められてしまう。

もともとヒロインとの最初のデートに
わざわざ元旦那との思い出の場所を選ぶような頭の悪さなので
処置なしである。
絵本世界でのヒロインが島尾本人とも気付かずにピクニック気分。

島尾はといえば「触れる喜び」「花を贈る喜び」「涙する喜び」に感動したあと
「射精する喜び」
そして中の人が自分だと最後まで気付いてもらえないことに失望し、
ヒロインの気を引くために逃亡。

「彼女が一番好きなのは今でも僕のはず」
これも、男性なら誰でもこう考えるんだ。たとえ何年会ってなくても。
客観的に考えると、本当に気持ち悪いんだけど。


自分ではどうにもならない、こうした欲望の部分は
客観的に見るととても気持ち悪いだろうということもわかっていて、
なおかつそれを客観的に見ていることが、やっぱり気持ち悪い。

この作品の気持ち悪さって、そういう二重のものかと思う。





(*1)たとえばピッコロと神様の関係とか。
邪悪な成分を切り離した神様は、その外見がピッコロと同一であるにも関わらず
善い者として見える。
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category: アニメ

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コメント

えらく捻くれた解釈をなさったようで

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2017/03/23 12:38 | edit

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