大匙屋

健康第一

「うそつきパラドクス」を読む  

夏アニメも始まりましたし
今回はちょっと趣向を変えてというか
コミックの紹介を…

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うそつきパラドクス
http://www.younganimal.com/magazine/list/usotuki/index.html

以前人に勧められていたものですが
完結したと聞いたので最近になって読んでみた。
いや、これは良かったです。

僕は普段尼でしか買い物しませんが、
これは思わず最新刊を買いに近場の書店に走りました。
尼に注文するのももどかしい。こんなオッサンにすら、そうさせるだけの何かがあった。
第09巻で完結、第10巻は番外編集のようです。

はっきり言ってポルノコミックであります。
しかしエロ漫画というほど純エロに特化したものではなく
あくまでも人や情の機微がメインに描かれており
たまーにこういう作品に出会うと、改めて漫画文化の懐の深さのようなものを感じますね。
業の深さかもしれませんが。


リーマン主人公が彼氏持ちの同僚女性とねんごろになり
三角関係に突入していくというラブストーリーです。
タイトルにあるように、嘘というのがひとつのキーワードとなっていて
登場人物たちの選択に時に共感したり、おおむね首を傾げたりしながら
嘘と折り重なる恋愛模様を見ていくという筋立てです。

このヒロインの純情ビッチはモノローグを一切語りません。
その代わりに彼女には多彩な表情が用意され、その姿が情緒たっぷりに描かれる。
彼女の本心はどこにあるのかを探ろうとして、絵をじっくりと「見させられて」しまう。
この作品特有の巧妙なギミックです。

絵柄はアナクロ。僕の印象では星里もちる風。
親しみやすく読みやすいが強烈なクセや個性はなく天下を取れるような絵ではない。
おっぱいへの偏執的なこだわりも好みを分ける。
プロップや衣装デザインはかなりひどく、お世辞にも上手いとは言えない。
しかし演出と構成の巧みさ、その表現の豊かさだけで
グイグイと物語世界に引き込んでくる力強さがあります。

とくに第07巻の出来は神懸り的。
一例を挙げてみると

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台詞なしでも二人の微妙な関係や心情、距離感といったものが
ビシバシ伝わってくると思いませんか。

これをざっくり説明すると
主人公との不貞関係を断ち、本来の彼氏のプロポーズを受け入れたヒロインが
社内の廊下ですれ違いざま、主人公の姿を目で追ってしまったことで
ひた隠しにしていた未練を見透かされるというシーンです。

ここに至るまで、ヒロインが婚約した彼氏の前で幸せそうに振舞うシーンを
延々見せられるので、彼女が本当のところ主人公をどう思っているのかは一切わからない。
逆にこのシーンが挟まることで、彼氏の前で心の底から笑っているように見えた彼女の印象が
実は初めから本音を隠し、嘘をついていたのではないかという疑念に変わる。

つまり、こうやって読者を騙しにくるわけです。
こういうところが実にうまい。
まぁこのシーンは終盤で一部言及されて台無しになるんですけど。

8巻以降の異常な展開は好みが分かれるかもしれませんが
泥沼のような膠着や無意味な駆け引きのループに陥るよりはぜんぜんまし。
人生とは一体何ぞやといった下らない欝展開に発展しないのも良い。
このあたりのバランス感覚は制作者側が単独作業でない、合作の利点かと。

NTRに耐性のない方には注意が必要ですが
キュンキュンしたい方や、何か知らんが毎日がしんどい方
そういや最近恋してないなという方に強力におすすめ。
明日が来るのが少しだけ楽しみになったりしますよ。
ポルノですけど。


 
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category: 雑感

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コメント

こっちが最初のコメントでしたか(笑)

いやあ、連投すみません(笑)、大匙さん。

実は大匙さんのコメントは「9巻解説」の部分しか読んでなくて
こちらのコメントを今初めて読みました💦

私も中年ですが、日頃日本という国の漫画文化への才能の集中を
まあ不思議にも誇りにも(実はやや残念にも)感じていたのですが
この漫画はその誇りの部分を刺激するなって思ってましたので
同じような感想を持たれていたのですね。嬉しくなった次第です。

ポルノですけどね(笑)

URL | 夜空 #-
2016/02/06 18:02 | edit

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