大匙屋

健康第一

2010秋アニメ それでも町は廻っている  

それでも町は廻っている
http://www.tbs.co.jp/anime/soremachi/

なんかレビューがとても難しい作品。
とりあえず視聴体験で起きたことを順次説明していくと、


①主演声優、小見川千明の声質がとにかく強烈。

②①があまりに強烈で、序盤の内容がほとんど頭に入らない。これは無理。

③必死に我慢しつつ第03話まで見て、教師の顔芸で初めて少し笑う

④いつの間にか小見川の声に慣れ、それなりに楽しく見れていることに気づく

⑤もう一度、第01話に戻ってみる。不思議と普通に見れる。やはり慣れたらしい。

⑥顔芸やシュールなギャグと喫茶店再建などの人情話で展開していくのかな?

⑦なんか宇宙人とかタイムトラベラーとか出てくる。

⑧最終話、いい話でちょっと感動。いったい何だったんだ。


展開がほぼ予測できないという点で、飽きがくることはまったくなかった。
ギャグアニメとして見るには、笑いどころは少ないように思う。
視聴者に媚びを売るような萌え要素もなく、ニヨニヨすることもない。
比較的アナクロなボケとツッコミのスタイル。ひなびた喫茶店の雰囲気にはよく合う。
眼鏡の娘がやたら肢体を強調してくる。彼女がエロ要員を兼ねているらしい。

面白いのかつまらないのかと問われれば、どうなんだろう?
答えるのが難しい。

では続きがあったら見たいだろうか?と問われれば
それは多分、もっと見たいと思うのではないだろうか。
その理由が、何故か判然としないのだけど。


どういうところにこの作品の最大の魅力があるのか、というのが
今ひとつ明確に捉えきれないところが歯がゆい。

なんというか、とらえどころのない、どこへ向かってるかはわからない「郷愁」が
この作品に満ちていて、それが人を惹きつけるような気がする。
正直なところ、以下の説明にあまり自信はない。


まず、萌え系部活アニメなどにみられる「ユルさ」とは少し違う「寛容さ」が
この作品世界にはある。

形式的なグリーティングやマニュアル化された応対作法もない。
水を頼んだらカツカレーが出てくるような喫茶店。
ホトリやたっつんは客を面白がらせるために悪戯したりもする。
当然ながら店には常連以外は寄りつかないし、売り上げも伸びない。

しかし、経営者である婆ちゃんによってたいていのことは許容されている。
婆ちゃんには店の経営を度外視しているような節さえあるが、
彼女はホトリを幼い頃から孫同然に溺愛していて、
成長し、もう泣きながら帰ってくることのなくなったホトリを
もうしばらくの間そばで見守っていたいというのが
婆ちゃんの目的のように見える。

婆ちゃんがホトリに対して寛容であるため、ホトリが起点となって話が展開しやすく
また話は深刻な方向へはほとんど向かわない。

「あんなのでも、いつかは嫁に行ってしまう」と八百屋がこぼすように
ホトリのおかげで、町がいつも賑やかなのが大人たちの共通認識。

大人たちは子供のボケにツッコミつつ、バカをやれば叱り、おおらかに見守っていて、
高度経済成長期以降に消滅したはずの「地域社会」がこの商店街には存続している。
それは通俗性が排除されたシャフト的空間の中ではあるが、
地域の大人たちがちゃんと大人を演じていることが、この作品のひとつの特徴。

大人たちは子供のようには決して振舞わない。
だから子供たちの世界は大人たちの世界とどこか断絶している。
そのおかげで深夜の外出はコンビニに行くだけで冒険なのだし、
夜中に寝床を抜け出してコインランドリーで食ううどんは死ぬほど美味い。
その体験を共有したホトリと紺先輩とはとても仲良くなれる。
学校をサボって歩く遠くの昼間の町並みは、どこか見知らぬ「別の世界」であり
退屈な学校生活に縛られて、それを今まで知らずにいたことは「悔しい」。

そうした体験の新鮮さがもたらす感動は、僕らがすでにどこかで失ってきた、
そして恐らくは二度と手に入れることのないものだ。
取り戻したい世界が失われたことをめぐる感情。
つまりそれが、この作品を覆い尽くすノスタルジアの正体だろう。


問題はそれが小見川千明の声とセットになっていることだ。
彼女の声質に抵抗を感じると、作品の魅力の部分にたどり着くのが多分難しい。
しかし彼女の強い個性なしには、この作品は成立しないように思う。


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