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健康第一

2010秋アニメ 探偵オペラ ミルキィホームズ  

探偵オペラ ミルキィホームズ
http://milky-holmes.com/anime.html

強烈なアートスタイル、というかコッテコテなキャラデザインから
キャラメルに砂糖をまぶしたような物語を想像して警戒していたが
驚いたことに、実はかなりの名作だった。

序盤、とくに第01話の作りは完璧で、ほとんど非の打ち所がない。

まず「1ヶ月前に起きた事件」を説明し
主人公たちのこれまでと、現在置かれている状況をわずか五分で理解させる。

今だ能力が戻らない事実と、それに対する危機意識の欠如、周囲の失望を描き
衆目の下で恥をかかせ、優遇措置を剥奪し、挫折感を与える。

最終的に「鍵はトイズの復活」として制限時間と今後の行動目的を明確にする。

喪失>屈辱>リベンジという、ピクサーにありがちなお手本的脚本の流れ。
カットやセリフに計算し尽されたように意味があり
ほとんど無駄というものがない。
内容自体がシンプルだからという面もあるが、
これほどまとまりの良い第01話というのもなかなか見られないものと思う。


続く第02話で白眉なのは
冤罪を被るコーデリアに退学処分を科そうとするアンリエットに対し
シャロが「何かワケがあるんです。どんなワケかはわかりませんが」と掛け合うシーン。
「わからない? 探偵がそんな言葉を口にするなんて」というセリフで
ああこの物語はそういう展開なんだと、何かスコーンと突き抜けるように理解させる。

その後の捜査展開はヌルいものだが
最終的なアンリエットの裁定はバランス感覚のあるものだし
石流は「面目ない」といった微妙な謝罪をするが
敵味方キャラとして、ここで全面的な和解するわけにはいかないため
滝に打たれることで記号的な反省を強調し、くすぶる不満を相殺してみせる。

それぞれが個別かつ性格設定を反映した理にかなう動きをしたうえで
シナジーを発揮し互いに引き立てあう作劇は見ていてとても美しい。


第10話、試験前に狂ったように遊び倒すミルキィホームズに対する苛立ち。
そして試験後、ついにブチ切れるアンリエットに対して感じるシンパシーときたらもう。

かように視聴者の心理を手玉にとって仕掛けを用意し
狂気にして目的不明なラストバトルを強引に畳み掛けてくる展開も
なぜかこの作品だと許されてしまう。
というより、登場人物の位置関係を完全に掌握しているアンリエットの美学が分かり過ぎる。

だからこそ、さんざん引っ張って解けない謎も、着かない決着も
視聴者にとっては望むところとなる。
ユルく、賑やかにドタバタとやっている日常の完成度があまりに高く、
その居心地が良過ぎてもうちょっとこのままやっててくださいと
誰もが言いたくなるに決まってるのだ。
だからこの作品は、ちょっとズルい。






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