大匙屋

健康第一

2010夏アニメ 屍鬼  

屍鬼
http://www.okiagari.net/

いやーこれは面白かった。
善悪の問題や極限状態での行動心理なんかについては
どうでもいいことなので、考えたいように考えればいいと思います。

主要な登場人物は、機能不全家庭に起因するトラウマから
周辺世界との距離をうまく取れないでいる人たち。
出てくる人間がキチガイばっかりだと、無条件に面白いです。

尾崎敏夫、村人を救えない罪悪感から自罰的、自己破壊的に問題解決に没頭する
室井静信、自己の価値観や人生目標と周囲の期待との狭間で苦悩し続ける
村迫正雄、パーソナリティ障害、自己の否定的側面をすべて他人のせいにする
清水恵、田舎に依存しつつ失望し、理想郷(マズロー的な)としての都会に幻想を抱く
結城夏野 革新的な親の都合に振り回された経験から自立を強く望んでいる
桐敷沙子 屍鬼化によって唐突にすべてを失ったまま、承認を求め続ける

要するにこれはパンデミックホラーの形式を借りた自己愛と滅びの物語です。
自分の意志で屍鬼化を拒否する国広律子の存在が唯一の救い。

そして生きるために殺すことを自発的に選択した多くの村人屍鬼と
何も分からぬまま幸福の絶頂から屍鬼に落とされた沙子は異質な存在。
その沙子を静信が救うという結末は、実は正しい。

仏僧である静信が心を落ち着ける場所が寺の本堂ではなく旧教会である点。
そしてその場所で静信を癒すのが神仏ではなく沙子である点。

静信にとって沙子はセラピストに親への思慕が転移した存在であり
兼正地下室の隠棲から山中を逃亡する間は憐憫による行動だが
旧教会に至る人狼化した局面ではある種の確信に満ち溢れている。
これは寺の襲撃で実母を惨殺された事実と無関係ではない。
結果として大川を殺したあと、静信は合掌もしない。
そして信仰に殉じようとする沙子に静信は告げる。
神は見守ってなどいないのだと。
この突き抜け感はグーですよ。事の善悪に捕らわれていると、見えませんが。

物足りなかったのは、
室井父の行動目的が伝承として村にある起き上がり伝説に絡まなかったことと、
桐敷正志郎が何故屍鬼と生活していたのか、この点の説明が無かったこと。
これらは屍鬼と人間の共存の可能性に含みを持たせることになり
作品理解の妨げとなるだろう。

奇抜なキャラデザインは膨大な登場人物を逐次判別するのに一役買っている。
恵ちゃんや正雄くんの大活躍を堪能するだけでも、見る価値は十分アリです。

ダイナマイトは水に濡れて湿気てるだろとかツッコミどころも多いし
人間の醜さとかに拘泥する演出意図が見え隠れして野暮ったい部分もあったので
一度原作を読んでみたいと思いました。
こんな風に思う作品も久しぶりです。



余談ですが辰巳役の高木渉さんはいい声優ですね。
なんか往年のはせさん治さんを思い出す声質。





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category: アニメ

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コメント

こんにちは

更新スピードが上がったなー,と思っていたら,昨年のアニメについての評論ですね。
お忙しいのでしょう。
ボクも更新がんばります。

URL | Q-works #-
2011/08/28 12:45 | edit

世間から三シーズンくらい遅れてますねー

URL | 管理人 #pBoZlR9Y
2011/08/28 16:08 | edit

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