大匙屋

健康第一

咲-Saki- レイアウトにおける優位性表現  

咲-Saki- 第15話「魔物」
脚本:浦畑達彦/絵コンテ:渡邊哲哉/演出:渡邊哲哉

インターハイ県予選決勝、大将戦
東一局で嶺上開花(リンシャンカイホウ)を上がる宮永咲
花を背負った正面からのカットで
左から右に風が流れている点に注目。



ここで、なぜ風は「右から左へ」ではなく
「左から右へ」流れるのか?

歌舞伎の用語だが舞台演劇から映画、アニメのレイアウトまで
向かって右側を「上手(かみて)」といい
向かって左側を「下手(しもて)」と呼ぶ。
通常左よりも右、下手よりも上手のほうが上位とされる。

ガンダムだろうとドラゴンボールだろうと
強い奴はたいてい画面の右側から登場し、左側にいる敵を倒す。
バトルシーンのレイアウトにおいて、
この鉄則が破られることはめったになく
位置関係によって先の展開が読めたりする場合さえある。

宮永咲が上がった瞬間に風が右へ流れるのは、
下手から上手へ向かって、強い運気が流れ込んでいる様子を
表現したものであると思われる。

これらを踏まえて闘牌シーンの位置関係を見てみよう。


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いきなりの嶺上開花に戦慄する鶴賀学園と風越女子高
ここで構図が斜めってるのは、動的なカメラワークで
リズム感を演出する意図もあるが
身長差のある鶴賀学園・加治木ゆみが宮永咲に対し
下手・上手の位置関係で目線の高さを合わせることで
加治木ゆみの動揺/不安定な心情を強調する狙いがある。(ダッチアングル)
このストレスの堆積が、後半加治木の槍槓(チャンカン)へと繋がっていく。

これに連続するのが下のカット

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上と同様に斜めの構図だが、役を上がった上手の宮永咲に対し
動揺する側(加治木ゆみ・池田華菜)が必ず傾斜の下方に位置している。
俯瞰で卓上の緑を強調することで人物間に効果的に空間を作り出す。
このときカメラはゆっくりとパンしており
視聴者が各人の表情・動作を確認しようとするとき、
必ず視線がゆるやかな下降線を辿るよう下手の人物が配置され、
自動的に彼女たちの状況にネガティブな印象を受けることになる。
逆に優位に立つ宮永咲の位置を見る場合必ず視線は上昇する。
これにより視聴者はレイアウトの意味を本能的に受け取り
この場の雰囲気を瞬間的に理解することになる。


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東二局
倍満黙テンで高揚する風越女子・池田華菜
上昇の気運を掴もうとしている雰囲気を強調するため
下手から上手へ向かっていくレイアウト


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それを意に介さず勢いに乗る宮永咲
真横からのカットは上手位置で安定している。
この時点で鶴賀学園・加治木ゆみは宮永を警戒している。


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宮永咲、2連続嶺上開花
広角による構図で場を支配する運気を強調。
完全にペースを掌握しているかに見えるが
この時、1回目に吹いていた風は吹いていない。


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(上)下手で敗北感に打ちひしがれる風越女子・池田華菜
正直このカットでの咲のうしろの花はやり過ぎかもしれない。
(下)圧倒される鶴賀学園・加治木ゆみ
レイアウト上は加治木が咲に対して上手となるが
動揺を表現するため咲の肩より下に目線を配置。


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東二局一本場
ここでイマジナリーラインが若干変化する。
鶴賀学園・加治木ゆみは下手に甘んじつつ、
何とかして咲の勢いを止めたいと考える。
一計を案じる瞬間、上手の咲より高い位置に目線が置かれる。


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狙い済ました槍槓(チャンカン)で下から上へのティルト
間隙を突き、優勢に立った加治木ゆみは
ここで初めて上手で表現される。


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3連続嶺上開花を阻止された上に槍槓に振り込んだ咲は
ここで初めて下手に立つ。
表情には動揺がみられ、場の流れが変わる。


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状況としてはまだ咲が若干優位だが
得意の必殺技である嶺上開花を阻止されたことで
咲のダメージは小さくはない。
咲を上手に配置しつつ、後方でそれを加治木が見下ろしている。
咲の勢いを止められたことで少なからず安堵しているが
加治木にとって現時点で本当に倒したい相手は対面の怪物・天江衣。


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そしてその天江衣が覚醒する次週予告シーン。
上手に位置する強者・天江衣がついに化け
下手の咲がそれを動揺しつつ見上げる構図。
これは次週も見逃がせないと思わせる良カット。

席割りで天江衣が咲の上家に位置するため
構図は衣が上手、咲が下手に固定しがちになると思うが
展開上は今後2人の一騎打ちになっていくことが予想されるので
どういったレイアウトを見せてくれるのかが楽しみなところ。



麻雀というのは狭いテーブルを囲んで4人で戦うゲームで
動きがあるのは基本的に胸から上だけ、
アニメ表現にはあまり向いていない題材といえる。

正直、番組開始前はもっと退屈な、萌えだけの作品になると思っていた。
この難しい題材で、巧みなレイアウトやエフェクト、イメージシーンなどを駆使し
飽きさせない展開を演出し続けているのは立派なことだと思う。

とくに上がり牌や手の構成などをじっくり見せるような真似をせず
こまかく解説やウンチクを語ったりナレーションで場をつなぐこともなく
サクサクと流していく演出は極めてリズミカルで爽快ですらある。
麻雀のルールを知っていようがいまいが、ほとんど関係なく
誰もが楽しめるように作られている点は高く評価したい。

いくつか指摘したい点もあるんだけど、それはまた別項にて。




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category: アニメ

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コメント

おっぱーい女のもよろしくお願いします。

URL | ねおき #-
2009/07/25 04:41 | edit

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