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2007年度作品について僕が思うこと(1)  

2007年度は「作画崩壊」と「放送自粛」の年だった。

低予算と制作スケジュールの前倒しによる粗製濫造で
作画品質の極端な低下がいたるところで起こり、
間の悪いことに地上波デジタル放送の本格的開始によって
視聴者による品質の判定がよりシビアになり、
それが発達したネットコミュニティによって
さらなる吟味と情報の錯綜を招き、
結果として放送後DVD化され発売された作品は
売れるものと売れないものの二極化が鮮明になった。
また、あらゆる意味において表現の過激化が進行し
作品によって放送局が放送を控える風潮も顕著になってきた。
今年に限ってはこれをひとつの話題性として商業利用できた部分もあるが
そんなことが将来的にも可能とは思えない。
派手な内容で一時的な興味を引くことはできても、
そういった作品は最終的に大衆からはそっぽを向かれることになる気がする。


そんな2007年の日本アニメを象徴する作品は
「魔法少女リリカルなのはStrikerS」「らき☆すた」
の2作品であると思う。

前者はある種の就職ドラマであり、また非常にわかりやすい勧善懲悪物であり、
チームを主体とするカタログ的な青春群像劇である。
ニコニコ動画にアップされて大量視聴され、コアなアニメマニアから
比較的ライトな視聴者層まで巻き込んで
「大勢でワイワイ見ながら楽しむアニメ」として絶大な支持を得た。
もともと長期シリーズであり、設定の整合性に難のある部分も多々あるし
作画レベルも極端にひどいものだったが
逆にそういった要素もネット上でネタ化され話題の一部となり、
「作品について語り合える部分」を数多く提供できた点が
一歩抜きん出た本質的な理由であるように思う。

違法アップロードなどの問題もありネット上での視聴形態には
議論の余地がまだまだあるが、
ビジネススタイルとしてひとつの新しい可能性を体現した作品かもしれない。
主役級を演じた斎藤千和という声優は絶叫させたら天下一品で、
彼女もこの作品で完全にステップアップした。
http://www.nanoha.com/


後者「らき☆すた」に関しては、正直言うとよくわからない。
全26話を2話ずつ収録したDVDは全13巻、一話単価3000円超えと比較的高価だが
現在10巻目で累計30万本を超える勢いで売れ続けているそうだ。
同じ京都アニメ制作による「涼宮ハルヒ」の出荷合計が35万本というから
このままいけば「らき☆すた」はその売り上げを軽く超えるだろう。
関連グッズやCDなども軒並み売れ続けているらしい。
「そこまで凄い作品だろうか?」と思う人は案外多いのではないだろうか?
この作品の何がそこまで人を惹きつけるのかという部分が
今だに僕にはうまく分析できていないのだが、おそらく「見る人を選ばない」
という「気楽さ」が最大の魅力ではないかと思う。
ハードなSFでもなく、アクションや萌え志向でもなく、性的な表現もないが
「深夜になんとなくでもアニメを見るような人」ならば
一切の準備も必要なしに受け入れてくれる寛容さ、安心感がこの作品にはある。
1話や2話抜かしても話がわからなくなるようなシリーズ物ではないし
サザエさん的な「ながら視聴」も可能であり、そうかと思えば
コアなオタクにも訴求力のあるサブカルネタが満載で、
ありとあらゆる視聴スタイルに柔軟に対応できるのが強みだろう。
いろんなタイプの人が見るから、いろんな人が買う。
図式としては単純明快だが、これができるアニメはそう多くない。
http://www.lucky-ch.com/


2007年、かの「エヴァンゲリオン」までもがリメイクされ
しかもそれが意外にもそれなりのヒットを記録している、ということは
実際エヴァンゲリオンを過去の遺物として忘却の彼方に連れ去るほどの
インパクトを提供できた作品が、今年も存在しなかったということだと思う。

「リリカルなのはStS」と「らき☆すた」という両者から見えてくるのは
「見る者に覚悟を強いるような作品はいまは受けない」という事実である。
ヘヴィで鬱な展開や、めんどうな伏線回収、複雑怪奇な設定、
そういった作品は2007年度にも数多く作られはしたが
商業的には軒並みコケている。
もちろん商業的な失敗が作品的な失敗と同義であるはずもないが、
商業的な成功作品をわざわざ「作品的失敗作」と評する向きもない。

SFを作ればSFファンはそれを吟味・選別するし
萌えアニメを作れば潰しあいになる。
ロボットアニメはロボット好きしか見ないし
鬱アニメや爽快感のないアニメは途中で投げ出す人が出てくる。

基本的な構造はわかりやすく、精神的ストレスを与えず、爽快で、
より多くの人が安心して視聴できる、見る者を選ばない作品。
いまのような粗製濫造の時代に売れるのは、
結局そういう、エンタの原点に立ち返ったようなシンプルな作品なのかもしれない。



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