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健康第一

ブルー&オレンジのカラーグレーディング  

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■幼女戦記 http://youjo-senki.jp/ 2017

巨大で特徴的な目のデザインや、アンバランスなほどでかい頭部は幼女っぽさを強調するためと思われます。ふつうに制服や軍服を着せると、背が低くても大人っぽく見えてしまいますからね。目線がわかりやすくて極端な身長差を表現できるメリットも大きい。

物語は大筋で昨今流行りの転生モノのようですが、原作者の方がハーツオブアイアンの重度マニアらしく、戦略的な面白さなども加味されるようなので今後の展開に期待しております。
ただ残念ですが「チタイ戦闘」「チタイ防御」という語句は重要なのに一般の人には通じないでしょう。

ところで、僕が面白いなあと思って見てるのは青とオレンジの使い方です。

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綺麗ですよね、青。あとオレンジ。いろんなところに茶色が配置されてますね。青とオレンジで補色関係、ダイアード・コンプリメント。夕焼けの絵がキレイなのはまあ普通のことなんですが、茶色も色相上でオレンジの仲間です。オレンジ色の明度と彩度を落としていくと茶色になります。


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室内やキャンプ地など、ランプや焚火はともかく薄暗い場所でオレンジや茶色が綺麗に発色することは普通はないですよね。茶色との補色関係によって青が映え、映えた青によって肌の色のオレンジが映える。2010年あたりからハリウッドで大流行してるブルー&オレンジ(またはティール&オレンジ)というカラーグレーディングがここ数年日本アニメにも本格的に浸透してきてる感じかなと思ってるんですが、実際どうなんでしょう。






順を追って説明すると、昔は「カラコレ」(カラーコレクション)という言葉がありました。「色補正」のことです。簡単に言うと、撮影した映画のフィルムの色味を変える手作業ですね。昼間に撮影した映像を夜の色味に変更したり、想像はつくと思います。
これが最近になってデジタル編集の時代になり、できることの幅が広がりました。ピンポイントで一部の色を変調したり、天候や光源に関わらず全体のトーンを統一したり、映像素材についたあらゆる色を自在にマネジメントできるようになった、これが今日ではカラーグレーディングと呼ばれます。

映画やドラマに一番使われる色はなにか?――これはもう、人間の、俳優の肌の色ですよね。つまり肌色、オレンジ色、茶色などです。では、この肌の色が一番映える背景の色は?とくれば、これはオレンジの補色である青になる。じゃあもう、青とオレンジばっかで映画作っちゃえばいんじゃね? というシンプルな発想がハリウッドに爆誕し、これが流行ったわけです。ティール&オレンジ。



Transformers: Revenge of the Fallen (2009)


トランスフォーマー2はこの話題で必ず引き合いに出される極端な例なんですが、そう言われて見てみると、確かに青系とオレンジ系の色ばっかりやな、という感じがすると思う。
まあほかにもいろいろですが、これもよく見る画像

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ティール&オレンジ(青とオレンジ)が2010年前後からハリウッドで異常に流行ったよ、ていうか正直今だに流行ってるよという点だけここで押さえてください。
そして当然ながらこういう現象はいろんなところに波及します。


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つい最近のゲームにもブルーとオレンジ





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日本アニメには複数ヒロインがよくあって、各ヒロインに髪色やパーソナルカラーがあり、並び立つヒロイン同士ですから補色関係であるオレンジと青の組み合わせもかなりあります。女の子が複数いたら1人は柔和な性格、ナチュラルなベージュの髪にすることが多いので、すると必然的に青や紫の色が相手役に選ばれます。戦う美少女なら青とピンクの組み合わせも多いですが、日常話なら半ば固定的といってもいい。
キャラクターの髪色等でしっかり画面にメリハリがつく、なのでキャラクターと美術のカラーグレーディングという発想はそこまで重視されてこなかったし、浸透もしてなかったと思うんですよ。早くからカラーグレーディングに取り組んだ作品って、キャシャーンSins(2008年)等あるにはあったんですが。

彩色がデジタル化して、アニメの色がビビッドになってイントーンでギラギラ発色し始めて、ちょっと調整していこうみたいな流れになって昨今のパステルカラー日常系アニメができていったりしたわけですが、一方でもっと世界観や空気感まで統一していこう、アニメだけど重厚感のある背景や、逆に重い話だけど軽やかな雰囲気を出したり、トータルでもっとフィルムの色をコントロールしましょうといった新しい流れが続々出てきてる、というのが今の状況です。冒頭の幼女戦記もそうですね。この傾向はよい方向に加速していくと僕は思います。もちろん試行錯誤の中から、まったく新しい別の発想が生まれてくる可能性もあるわけで、大いに期待していいと思いますね


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この作品もそうですね。キャラクター同士も茶と青で対応しているし、美術もブルー&オレンジ
爆発エフェクトがオレンジ色ですので、それが映える背景が選ばれるのは本来必然


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青エクは今期5年ぶりの2期だけど、新旧キービジュアルを並べると色使いが根本的に違うのがわかる
トーン統一の多色配色から、ブルー&オレンジになっている





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■プラスティック・メモリーズ (2014)

さまざまな色で一見とっ散らかっているように見えて実は合理的な配色。
ブルー&オレンジのカラー配置、随所に
以下OPも徹底してる






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2016秋アニメ ステラのまほう  

■ステラのまほう http://magicofstella.com/

高校新入学の本田珠輝(ほんだ・たまき)は同人ゲームを制作する「SNS部」と出会い、絵描き担当の不足を知り、自分にもできることがあると感じて入部を決意。絵を描く技術に不安はあるものの、個性豊かな先輩たちとともに、集団作業のゲーム作りにまい進する。文化系部活もの。

原作は芳文社雑誌連載中の人気漫画、派手さはないが起伏はそれなりにある日常系、志茂文彦さん構成らしくお話は手堅く安定しています。2016年は「New Game!」のヒットがありました、この作品も同系統のライトトーンな金魚鉢かと思いきや、僕にとって意外だった、良かったのはその美術と色彩でした。今回はそっち方面の話をしようと思います。

#01
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冒頭部。床面と立ち上がりのエメラルドグリーンの差し色。これ面白い発想ですよね。
エメラルドグリーンというか、ターコイズブルーというべきか色の名前はややこしいんでアレなんですが
伝統的家屋の趣と、不思議な透明感が同居している奇妙な印象

#02
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ここもそう。つまり赤みやオレンジ系の背景にスカートの色がぽつんとあると浮いちゃうんで、差し色でバランスを取る感じ。キルシュマンの法則というのがありましてね、色対比の効果が大きくなり過ぎてしまう、それを回避するためだと思います。それにしてもこの緑の色使いは大胆というか攻めてますね。本来ないはずの光源だけど違和感ないのが凄い。床や制服の黄色がうまく中間にはさまるからですね。


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そう思って見てみると、美設さんが描いたと思われるキーになるロケーションには要所に差し色として緑青が配置されていて、制服スカートを履いた女子がそこを通ることを想定しているのがわかります。キャラクターが全体的にソフトなトーンなので美術はさらにライトに仕上げる必要がある、そこで立ち絵をなじませ落ち着かせるためにこういう工夫を随所でしているわけです。それに加えて何でもない日常的な場所にすら透明感をともなう明るさがプラスされる。

もちろん川面監督の指示によるものと思われますが、美監さんのセンスと色彩設計さんとのコンビネーションあればこそですね。過剰に高密度でない背景だとこういうことが自在にできるのがいい。これは、京アニやサンライズにはできないことなんですよ。ジブリにもできない、新海さんにもできないことをこの作品はやっている。

美設はクレジットないので美術監督さんが兼ねていると思う、その美術監督は、僕はよく知らなかったけど谷川広倫さんという方(アトリエブーカ)、そういえばブーカの責任者である金子英俊さん(この方は大ベテラン、凄腕)もさりげない差し色で効果の最大化するのを得意としている。でもここまで大胆なのは見た覚えがないな





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次に色指定の話です。色彩設計は重冨英里さんという方、「のうりん」や「田中君~けだるげ」などライトトーン使いで、川面監督が重用している方ですね。もともとシルバーリンクの仕上げさんなのかな。

本田たまきを始めとして各キャラクターにパーソナルカラーが設定されていて、それはOPなどを見ればわかるようになっていますね。本田たまきの場合は黄緑色。

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色分析してカラーバーをつけてみたんでわかりやすいと思う。(よく考えたらつけなくてもわかるなこれ)
絵師初心者としての緑、田舎町在住の緑、畳の色や、抹茶の色などがたまきの緑を象徴してますね。
ピンクのリボンはアクセントカラーで対照色。主人公が緑の子ってけっこう少ないです。


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他のメンバーはこんな感じ。関先輩とユミネは少し被ってるけどユミネはSNS部員ではないので。暖色系は擁護者、寒色系は指導者に割り当てられてるようです。テルは紫色

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この画像だと黒が強いんですけどね。この黒はテルの持つリドル(謎)の部分なんだろう
OPは松根マサトさんのテクニックについても触れたいとこだけど、長くなるのでもういいや。

各メンバーの個人色を12色相環に当てはめるとこう。これだと今イチよくわからないですが

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村上先輩を中心に据えるとこう↓なって、部員同士でわりとバランスのよい配置になってる

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ここにテル先輩を加えると

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こういうのをヘクサード配色といいまして、左上の緑青の部分が空席なんで、たぶんここには将来このカラーを個人色とする新キャラが入るんじゃないかな?

※こういう配色自体が優れているという意味ではないですよ。この作品では調和やバランス重視を選択したということで。
PCCSなんか無視して巧みに外していくのもまた色彩設計さんのテクニックです。誤解なきよう


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このテルとたまきの関係ですが、緑に対して紫は補色とか反対色とか言ったりする、ようするに反対側になる色なわけです。テルはたまきが迷ったり困ったときなどに現れ助言を与えたり、逆に混乱を与えたりする役。テルが現れる時はたまきにとって不利な環境であったり不都合な状況であることが多い。つまり紫色はたまきにとって「アウェイの色」ということになる。

#04
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この紫色がテル空間

#06
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同人ゲーム即売会の会場なんかもアウェイですね。この各話は徹底していて、同人好きのお姉さんがたまきに声を掛けてくるところとかは紫のテル空間なんだけど、関先輩やユミネと話しているカットでは紫の比率が下がった色使いやアングルになっている。わざわざクロスをピンク色にしているのも、アウェイ感を中和するために計算してやっていると思う。


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10話で部室を飛び出してからPCを落とし、テルと会い、村上先輩に謝罪するため尾行する一連もテル空間
ここは美術も気合入ってた、空を覆うように屹立する木立でたまきの感じる息苦しさをさらに強調する
#10
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紫はアウェイの色であり試練の色でもあるわけです。この色のカットを乗り越えるたびに、たまきが少しずつ成長する。視聴者はそういう印象を言葉やストーリー以外の部分で、色のイメージから受け取っている。


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もちろんすべての紫がアウェイを意味しているわけではないです。紫は制服の黄色に対しても対照色なので、生徒が遠くに立っていてもよく映える、だから校舎の廊下は紫色に指定されている。紫がすなわちアウェイなのではなく、アウェイ的状況が紫であるということです。まあ、わかると思いますが


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制服の黄色が映えるための廊下なら青系色でもいいんですが、部室の床がピンクなんで廊下が隣色の紫になるんですね。暖色は先輩たちのカラー、先輩たちがいる大切な場所、ホームの色というわけです。






ところで

#06
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この手前の青いテーブル(クロス)かなりの存在感があって、向こう側の関とたまきがいるピンクのクロスとの対比で奥行感を作ってると思うんだけど、カラーバーで見ると青系色の比率って15%もないんですよね。色って奥が深いですね

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あけましておめでとうございます。
今年もボチボチでやっていきます。






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