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2016夏アニメ B-PROJECT~鼓動*アンビシャス  

■B-PROJECT~鼓動*アンビシャス http://bpro-anime.com/



なかなか浮上のきっかけをつかめずにいたアイドルグループ「Bプロジェクト」のメンバーたちは自らの存在意義に疑念を持ち始めていたが、新人A&R・澄空つばさと出会い、奮闘する彼女に支えられつつ、幾多の困難やアクシデントを乗り越えて成功への階段を駆け上っていく。

というような話でした。
芸能界もの、男性アイドルものであり同時にお仕事モノでもある作品は過去にもありますが、「A&R」という一般に聞きなれない職能にスポットを当てたところがユニークな部分です。


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作品を見る限り「A&R」というのは芸能事務所ではなくレコード会社に所属し、楽曲制作やプロモーション、現場の雑用まで幅広い業務をこなす融通性のある職業のようです。プロデューサーのように少し上の立場からアイドルを導くのではなく、対等の関係で一緒に汗をかく随伴者・パートナーといったところでしょうか。

#01
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この「対等な関係」の表現について、01話などで顕著ですが、顔見世にあたる序盤においてはつばさの緊張や恐怖を表現するためか、アオリを中心としたアングルショットが多用されるんですが――


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序盤に続くレコーディングシーン、作業の難航とつばさの気づきあたりから目高(アイレベル)のアングル中心に移行し


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作業が終了したあと、つばさの有用性が認められ、レイアウトもフラットなポジションに落ち着く。
作品の独自性であるA&Rとアイドルの独特の関係を強調するためと思われますが、これ以降この作品は俯瞰やアオリよりも横からのショット、目高や水平な構図を多用します。これは様々なアイドル活動やライブシーンなどでも同様で、視聴者は「つばさの目の高さから眺めるBプロ」を中心に見ていくことになります。

カメラワークも女性アイドル物ならはつらつとした躍動感を求められたりするわけですが、男性アイドル物の場合だとキャラクターによって耽美的であったり落ち着いた大人のイメージ、動き回るのもいいけど止めで美麗な絵をじっくり見たいという需要が視聴者側に普通にある。しかし動かなければ動かないで手抜きに見えてしまったりでサジ加減は難しい

#04
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これなど止め絵のパンですが雨粒の多層SLで高速度撮影みたいに仕上げてる、面白いアイデアですよね。
省力的だけど手抜きには見えないところが上手い


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やたらと線が多い。作画は緻密というわけではないのに衣装設定などで複雑なパーツが多く、その上で同時に画面内にひしめく人数とその負担を考慮すると相当がんばってる感じがします。
ただシリーズ後半になるとさすがに一部息切れしてる印象は残りますね。これはムリもない


#04
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#04
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この作画いいなと思って拾った絵が04話に集中してることに後から気づいた。と管理人が申しております


#03
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ああこれはナウシカの地下室・・・





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ストーリーはいわゆる「超展開」や「クソ落ち」の連続です。実況で突っ込みながら見ていくのに最適。
男性アイドル物は端正な美形集団ゆえにギャップを作りやすくギャグにもしやすい。見た目はいなせな若い衆でも中身はキッズアイドルのように純真無垢でシンプル、この作品の場合さらに性急で危なっかしさがあり、これが庇護欲を刺激する。なぜそうなる、といった現実離れの展開も読めない進行として娯楽の一助となり、自然と目を奪う。特に機能はしてないけど妙に物憂い設定を持ち込みたがるのも面白いです。

色々と未解決な問題がありながら、まあいいか楽しかったし、という謎の爽快感があって不思議な作品です。アイドルたちが必要以上につばさにベタベタしないところが好印象です。
売上げも好調のようで、投げた部分があるのは今後の展開として良い方向に働くのかもしれない。もし二期があるのなら平然と元の位置に戻ってる夜叉丸さんが見たい。
この作品に関してはこんなところで。







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2016夏アニメ ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン  

■ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン http://alderamin.net/




高等士官試験を受験しに行く途中で船が遭難したイクタ・ソローク一行は、なぜか同船に乗っていたお姫様を行きがかり上助け、英雄として帝国軍に迎えられる。女好きで怠け者だが知略に長けるイクタは本心では軍人になることを望んでいなかったが、渋々入った士官学校でもあっという間に頭角を現していく。


というような話でした。わりと硬派な、ヤンキーシリアス異世界物です。
恋愛/エロ/ギャグ要素はほとんど見当たらず、戦記として愚直に丁寧に作ってあるせいかビデオ売上は苦戦を強いられているようです。真面目に良作を作ってはこける、媚びや商売気のない、いつものマッドハウス。

グロ表現はないけど派手に血しぶきが上がり、次々と人がぶっ殺されていく描写はハードで迫力があります。舞台は中世の西洋風。魔法の代わりに一人一体の「精霊」と呼ばれるマスコット的存在が用意され、火や風といった属性別にエネルギー源のような役割を担うところが独自性。ただこの精霊の設定は、何かと便利という以外に、まだ本格的に機能してるようには見えないです。これからなんですかね。


タイトルにある「ねじ巻き」「天鏡」「アルデラミン」はよく意味がわからない。アルデラミンはこの世界の神様か宗教の名前らしいけど本編には深く関わらなかった。どういうわけか癖がついてアルデ・ミランと読んでしまう。ごく短い次回予告にはタイトルコールがなく、CM以外で題名を聞く機会が無いせいかもしれない。
次回予告のWeb限定公開は戦略的な理由だろうけど、当作品のように意味不明な題名を客に覚えさせる必要がある場合、効果が薄い気がするがどうか。


#04
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ところで#04の皇女拉致事件の演出は、すばらしく良いと思いました。特に姫殿下の表情が良い。
このシーンについて、いろんな感想サイトを読んでみると大抵「イクタとヤトリの固い絆を見せられて嫉妬」とか「ケアを後回しにされた上にイクタにからかわれて泣き出した」的なことが書いてあって、多分それは正解なんだろうし、原作もそういう描写になってるんだと思う。
でもここで見せられる演出は、意味的にもうちょっと複雑です。


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状況から言うと、この一件で姫様は赤っ恥をかいたわけです。
(1)側近に裏切られたということは、人望がなく部下を見る目もない能無しである。
(2)イクタへの傾慕が周囲にバレバレで、それをまんまと利用された、公私区別できない子供である。
(3)側近に裏切られた以上、忠義を示す他の部下たちのことも今後は信用できない、信用されない。

つまり姫様は丸裸にされた。だから顔を上げられない。ここで優しくされたり慰められたら余計惨め、部下に同情される無能上司になってしまう。「一体どうすんだこれ」という状況で、こうなってしまうともう、誰も声を掛けられない。ヤトリでさえも。


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だからここでイクタが姫様をからかうように絡んでいくのは、彼の機転であり配慮と言える。姫様を放置して後回しした理屈にも通じる。姫様はそれを毅然と𠮟りつけて胸を張れば体裁は保てたわけだけど、泣き叫んだせいで年相応の隙を全面に晒し、かえって周囲は人心地つけたわけです。
緊張する場に安堵と緩和をもたらして、うまくまとめた。姫様や各人の微妙な表情からそれがわかる。これは演出家が上手いと思いますよ。原作とは違う解釈だろうけど、ここは恐らく原作を越えている。


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シリーズ後半を丸々使った北域動乱は、陰惨で殺伐とした暗い話が延々続きます。凄いと思います。コメディパートもないし、貴重な和み要素である姫様さえ退場させる展開に当たっては、なんとストイックなのだろうと感心します。おいそれと売ってたまるかという気概を感じます。
この作品の場合もっと軽妙な部分を強調してもいい気がするけど、生真面目な制作風土だからこうなるのか


お客さんはイクタとヤトリのコンビが壮大な何かを成し遂げるところを期待するんじゃないか。でも期待に反してヤトリの扱いは少なくなっていきます。各話終盤のナレーションも不自然なほどイクタ個人の未来についてしか語らないし、騎士団はいずれ瓦解し、姫様とイクタ以外は全員死ぬとかもあるのかもしれません。
たらればの話してもしょうがないけど、ヤトリを男性にした友情物であったほうが作品としては受けたんじゃないのかな。


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「約束された敗北へと向かう」と言うけど、普通に善政で国を立て直せばいいのにと思うのはダメか。
難しい方法、人が多く死にそうな方法を何故わざわざ選ぶのだろう






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俯瞰のレイアウトが、なんというかダサい。やたら広大な土地を山や緑が取り囲む盆地みたいな地形が大杉
何が起きているのかを理解させやすくしたいのかもしれないけど、ださい。

#09
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あとカラカルムがサフィーダ中将の暗殺にこだわった理由が謎だった
命懸けで襲ってくるけど、別に意味なかった




#09
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ナナクダルのアクションはちょっと面白かった、ここはSEもよかった
山岳民族でバイキングみたいなヘルメット被ってるのも奇妙でよかった


#04
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コヤスの歩き
影とか丁寧やなと思った、よくみたらCGだった

category: アニメ

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ヴァシリーサ・ミクーリチナ(1975)  



■ヴァシリーサ・ミクーリチナ (1975)

名匠ロマン・ダヴィドフによる1975年ソビエト作品。
例によって日本語版がないので自作。ソースは一応DVDだけどVHS以下の画質でした。色調がんばっていじったけどこれが限界です。

物語はロシアの民衆口承による英雄叙事詩「ブィリーナ」の一篇
「スターヴル・ゴディーノヴィチ (Ставр Годинович)」

舞台は12世紀、キエフ大公ヴラディーミル・モノマーフに投獄された商人スターブルの物語ですが、主人公はスターブル本人ではなく、その妻ヴァシリーサ。夫の窮地を救う良妻という万国共通の民話的モチーフ。わずか17分の小品ですが、これが結構出来が良くて面白いんですよ。是非ご覧になってください。
あと通報しないでください。


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category: アニメ

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2016夏アニメ リライフ  

■ReLIFE リライフ http://relife-anime.com/




破滅的な人間関係に疲れて離職しフリーター生活を送る主人公・海崎新太(27歳)の前に「リライフ研究所」職員と称する男が現れ、17歳の高校生として一年間高校生活を送る社会復帰プログラムを提案。当初は生活費の支給や就職斡旋の特典に釣られた新太だったが、不器用で率直でひたむきな高校生たちと触れ合いながら、意欲的で充実した日々を取り戻していく。

というような話でした。原作は累計140万部を売る人気コミックとのこと。


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日常系学園コメディかと思いきや、わりとシリアス展開ありの純情青春物でした。出てくる生徒たちも総じて善良で非ヤンキーな感じ。モデルとなってる高校は毎年ニ十数名の東大合格者を輩出している九州トップクラスの進学校らしく、ゆえに作中で学年上位の成績である主要登場人物たちもそれなりに優等生で、新太が赤点ばかりというのもむべなるかな。


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大筋は、未熟な嫉妬心から生じる軋轢や閉塞を主人公が経験とコミュ力で解決に導くというもの。といっても主人公は役に立ってるんだか立ってないんだかわからないけど結局彼がいてうまくいくみたいな美味しいポジションにいて間接的に働く、キューピッドのような役割です。初心で素直なクラスメイトたちが主人公と交流して行動選択に影響を受け、友人になったり、恋が芽生えたり。中身が年上の偽高校生なので出てくる言葉が説教臭くならないよう、出過ぎないよう、注意深く演出している雰囲気は感じます。


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狩生レナと日代の和解は、もともと直接対話しさえすればかなりの部分の誤解は解ける案件だったのですが、たぶん新太が環境を作っていなければしこりの解消はできてもその上で友人関係の構築には至らない。
この文脈を用意するのが新太の役割なのだけど、すごく説明しづらく、伝えにくい部分です。でもこの作品のキモは多分そういうところにある。

一見すると「リライフ計画」の設定があまり活きてないように見えてしまう、ただの普通の高校生日記に見えてしまうので注意が必要ですね。


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ただこの作家さんは、込み入った状況を作るのはうまいけど、そこから問題解決に向けた説得するのがあまり上手くない。05話や10話でなぜ狩生レナが説得されたのか、集中して会話を聞いていてもよくわからない。戸松遥の迫真の演技に引っ張られるので「まあそういうものか」と納得してしまうけど。

「自分を落とすな、負け犬になるな、狩生は成長している」というのが05話の新太の主張なんだけど、狩生が成長してるって何故新太が言い切れるんだろう?と思う。それなのに狩生は「そうか私成長してたんだ」って泣き出すから、見ているこっちは困惑するしかない。

恐らくこの作家さんは説得されたいわけじゃなくて心情吐露に重点を置いてる方なんですよ。すべてを吐き出させて欲しい、話を聞いてほしい、そして頭ぽんぽんされたい、それが作者さんにとって重要なんだと思う。
原作はまだ未完のようですが、ともすれば見ている側の価値観が揺らぐような衝撃をこの作品が与えてくれることはこの先もないでしょう。
作中の大抵の事象は観客にとっても想定内で、だらだらと(言い方悪くてゴメン)調和に向かって行くと思う。






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版元がLINEの会社なのは関係ないかもしれないけど作中にはアプリが頻出します。アプリを使用したトランジションまで用意してあった。高校生って今はもう電話しない、メールもしなくて、こうやってショートメッセージを送り合うのが普通なんですかね。
演出の在り方が激変しつつあるなぁ。






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手の作画あちこちで綺麗なのがありました


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歩き、後ろ姿、2コマ


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スープの揺れ、ボトルの水






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背景パブロ。パブロはやっぱりいい。
今秋はフリップフラッパーズも始まりますね。楽しみです。





category: アニメ

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2016夏アニメ クオリディア・コード  

■クオリディア・コード http://qualidea.jp/
★ほしひとつ




人類を半滅させた謎の生命体「アンノウン」襲来から30年、冷凍睡眠から目覚めた子供たちはアンノウンに対抗しうる力=「セカイ」と呼ばれる超能力を獲得していた。東京湾沿岸の3拠点を中心に集められた子供たちによる拠点防衛&人類反抗作戦が開始される。戦争と、ランク付けによる厳しい競争にさらされる子供たちの前で、この世界に隠された真実が明らかになっていく。


というような話でした。能力をわざわざ「セカイ」と呼称する音感センスが悪手な気がします。

原作は当代人気ラノベ作家3人による合作とのこと。舞台となる東京、千葉、神奈川の3拠点がそれぞれに担当分けされており、各拠点別に中心となる担当キャラクターがいて、その肉付け/描き分け、各個性の際立ち方は他作品に類を見ないほど鮮やかなもので、それが作品全体の大きな魅力になっていますね。面白い試みだと思います。幹事役が優れてるんでしょうかね。

といっても個性と個性が激しくぶつかり合うわけではなく、華のある東京陣営が早期に機能不全に陥るので、地味目な千葉陣営に出番が増え、結果バランスが取れて見えるという面はある。


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石川由依という声優がうまくなったというか、妙にこなれたというか
このカナリアというデレ役がやれるなら今どきの娘役は何でもやれそうな感じはします。
ディアネイラ様なんかの、ちょっと不器用な演技をしていた初期のほうが謎の品格があって僕は好きでした。

余談ですが序盤~終盤に至るまでカナリアは壱弥の実姉だと僕は思い込んでいて「近親愛か~踏み込むなあ」と勝手に感心していました。なんで苗字が違うんだろうとか思っていました。


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作画ちょっと有名になっちゃったけど、まああまり言うてやるなというか。
制作スタッフは悔しいでしょうね。あちこちで間に合ってなかったし、コンテ演出含め、あそこまでいくと言及してもしょうがない。ただ総集編などにせず毎回放送に漕ぎつけたのは誠実で良かったと僕は思いますよ。良い作品だっただけに、本当に残念ですけど。


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クライマックスが王道的な07話と居直るような急展開を見せる08話、この後半の求心力と終盤に向かう静かな盛り上がりは嫌いじゃないです。この作品では大人が大人として注意深く振る舞う。世代間にはいつも断絶があって、その描出は冷静で抑制的です。大人は子供の話を聞かない、そんな大人に子供は頼ろうとしない。
というところで以下ネタバレに踏み込みます





#11 #12
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人類側の勝利で一応まとまっているんですけど、これって何もかもアイリの描いた絵図の通りですよね。したがって山場には悲壮感もヒロイズムもない。よくできましたという調子で舞姫が頭を撫でられて終わり。

要するにこれはよくある大人が子供に尻ぬぐいをさせる物語ではない。
「大人が作ってしまったどうにもならない不幸な状況」を子供たちが未知の可能性で打破する、という話ではない。大人が大人として落とし前をつける、当然の責任を取るという話です。

僕はそれはあまりに普通のことじゃないのか?娯楽として成立するのか?という気持ちなんだけども、実際に人気作家が3人集まってこういう結末ができあがるということは、「ちゃんと責任を取る大人」というものがいま現実から乖離している、理想形になってるということだと思うんですよ。

僕は大人の一人としてその事実に忸怩たるものを感じるというか軽く絶望するわけだけれど、最後に粘り腰で頑張ってみせるグトクの姿など見てもどうやらこの作品は、大人に対して本来の責任を取る大人の姿を示せと繰り返し訴えてるように見えてきます。


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なのでグトクが最後にアオイを保護するのは、これはこれでやっぱり正しいんですよ。そう簡単に頭が切り替わらないアオイというのは他の子供たちに比べて浮いていて、でもそういう子供ってのはやっぱり必ずいるはずで、そこを放置して自己満足で死なずにちゃんと保護してあげるのもまた大人としての責任なわけです。

急いで大人になる必要はない、焦って理解する必要もない。
親殺しの成長物語ではないこの作品は終始こういう姿勢が貫かれていて、言い訳や弁明もないし、必要以上の説明も為されない。ある意味突き放すような、大人の語り口。ジュブナイルとは本来このスタンスで構わないわけで、視聴者年齢によって印象もまた大きく左右される、こういう作品は最近無かったなと僕は感じます。今回をつけたのはその一点が理由です。


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まあ問題点を挙げるとするなら、アオイと明日葉の間には別に因縁は無かったなというところですかね。
「あなたが嫌いでした」というほど二人は作中で関与していなかったように見える。だから最後にこの二人が戦うことにドラマ的な必然性は感じない。見せ場になっていないし、興味をそそられない。


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ゆえに、「管理局が崩れる」という話を兄から聞いて、下で伸びているアオイを救出にいかないのはさすがに明日葉が冷淡じゃないかなと思ってしまう。地下で凍ってる数万の子供たちを救出する時間はあったわけで。
これ解決は難しいけど、アオイと明日葉を戦わせるんなら、アオイはもっとブチ切れさせるべきで、KOするんじゃなくてそのへんから飛び降りさせるとか、明日葉が何をどうしてもアオイを助けられない、そんな状況にまで置く必要があったと思う。




というわけでお久しぶりです。またぼちぼち更新していきます。よろしくね。




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