大匙屋

健康第一

3回ドカン研究 その後(3)の2 カバネリのダブルアクション  


ヒズ・ガール・フライデー His Girl Friday (1940) 米

以前紹介した「無法松の一生」が1943年公開だったので
この「ヒズ・ガール・フライデー」がそのさらに3年前ということになります。

扉を開けて記者室に入るヒロイン・ヒルディのうんざりするような心情、この強調がカットの肝です。
ACつなぎですが明らかに遅延させており、手前のテーブルにつく男の顔の向きなど一致してません。
でも観客はこのつなぎ方でも、まず気にならないと思う。つなぎが透明化されています。

アクションが大筋で一致してさえいれば、他が違っていようと、どれだけタイミングがズレていようと
観客は同じ一回のアクションの反復、リピートだと判断するわけです。
(=マッチ・オン・アクション Match on Action)

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鋼鉄城のカバネリ http://kabaneri.com/

カバネリでは微妙なタイミングによるACつなぎの遅延が散見される。
ダブルアクションまで行かないような、でも違和感も残らない、むしろ気持ちいい、
各話演出は毎回違いますが進撃スタッフ=荒木組に何らかのコンセンサスがあるのでしょう。


#02
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#03
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#04
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#06
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ついでにトリプルアクションも紹介しとく

#04
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#01
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この作品は、生駒がカバネリになった時点で彼の人生が大きく開けており
すぐに周囲に受け入れられ、仲間や理解者も増え、英雄化して、
そのくせカバネリには弱点らしい弱点もなく、横への広がりが望めなくなっちゃいました。
「絵がとっても綺麗なアクションアニメ」で終わってしまいそう。

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category: 3回ドカン

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3回ドカン研究 その後(3)の1  


Things to Come (1936) - Trailer
(⇒YouTube)

コメ欄で教えてもらった情報(アニオタさん)
古典イギリス映画「来るべき世界」トレイラー (1936年)の3回ドカン

探してみたら本編がdmmにあったんで視聴してみたんですが――

本編に大型掘削機械で地下都市を建設する特撮シーンはあるものの、
上記トレイラーに使用された同一素材・フッテージは本編には使われていませんでした。
どうやら予告編として編集した別テイクの素材がモンタージュ的に3回ドカンになったようです。
狙ったわけではないとしたら、面白い現象ですね。

80年前、1936年(昭和11年)の視点から100年先までの人類の未来を予見する古典SF作品で、
特撮技術やプロジェクタ合成、未来世界の豊かなイマジネーションに目を見張ります。↓

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ナバロンの要塞 (1961)

コメ欄で教えてもらった情報(アニオタさん)
巨砲崩落シーン、これは完璧なマルチカム、トリプルアクションですね。4台かな。
特撮に関して言えばこれはこれでよくできてるけど(視覚効果ビル・ウォリントン、「レイダース」等)、
同年に円谷の作った「太平洋の嵐」のほうが圧倒的と僕は思います。

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category: 3回ドカン

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歪曲収差とボリューム歪像  

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くまみこ #01

ちょっと面白い絵ですね。背景が奥に向かって収縮していく。
構造としてはドリーズームに近いというか、同じような着想であると思うけど
レイヤー別にレンズ補正をかける表現は最近わりと見かけます。
このカットの場合はおそらくメッシュワープorパペットピンツール
天井や壁面に直線を多用し、それが引っ張られるように反っていくことで
画角の変化が強調されています。ピンクッション、歪曲収差ですね。



くまみこ #06

これはまち以外に球面エフェクトなのかな。
これもディストーションを強調するために板間の線がうまく利用されている。


というわけで今回は、歪曲収差とボリューム歪像について見ていきます。

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とくに難しい話ではないです。カメラについてるレンズは平面ではなく曲面なので
レンズを通過すると光は屈折します。

この屈折によっていろいろ面倒なことが起きるのが「収差」なんですが
このうち「歪曲収差」は「直線が曲がるよ」という話です。
「ボリューム歪像」は「レンズのはしっこで絵がぐにょーんと伸びるよ」という話です。
そして、この2つは同時には発生しません。

うちはアニメ関連ブログなので写真やレンズ関係の詳しい内容は省きますが、
とりあえず今はそれだけ頭に入れておけばいいと思います。
まあ現象として同時に発生しないものとはいえ、別に発生しても構わないですよね。絵として面白ければ。


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写真の世界では、この収差をおさえるために高価なレンズを使ったり工夫したりする、
しかしアニメーションの場合は往々にして収差を利用した面白い絵が求められたりするわけです。


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けいおん!!#10(2010)/けいおん!#12(2009)

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Re:ゼロから始める異世界生活 #01(2016)

線や絵が曲がってる面白さっていうのはやっぱり独特な味わいがありますよね。



おおかみかくし (2010) OP

このOPは前半でレンズディストーションを多用してます。




勇午~交渉人 #05 (2004)

これはちょっと特殊
後方の白い壁面の湾曲と、外縁の黒=収縮色で錯視が生じ、全体が歪んでいるように「見える」


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Gangsta. #03 (2015)

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Charlotte #02/#13 (2015)

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六花の勇者 #05 (2015)

垂直な線の曲がり方に注目してください


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カードキャプターさくら #56 (1999)

これ超うまいですね



ヒャッコ (2008) OP




ドアスコープ、魚眼

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天体のメソッド #04 (2014)

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N・H・Kにようこそ! #02 (2006)

これも上手いですね。左腕橈骨筋とか。
この顔の大小、ドアスコープでなければ作れない絵だなあ。
魚眼は厳密には収差とは違うんですが、まあ同じ扱いでいいかなと



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ファイトだ!!ピュー太 #10 (1968)

飛び降りの記事で紹介したピュー太にも全周魚眼の絵が出てくる
50年前なんですごいとしか言いようがないんですが、ただ

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http://abby257.jimdo.com/

魚眼の場合、視心(中心点)を通る直線だけはどんな方向でも曲がらないという特性がありますんで
そういう意味では正しい絵ではないことになる。
まあこれもアニメの絵ですから、面白ければ全部オッケーです







約1ヶ月かかりましたが退院いたしました。ご心配をおかけしました。
またよろしくおねがいします。病み上がりなんで、ぼちぼちとやっていきます。


category: アニメ

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