大匙屋

健康第一

廃部・廃校回避のプロット  

逆境ナイン/島本和彦



帰属共同体の廃絶や存続問題に主眼を置く構成は
統一も規律もなく寄り集まった群衆に一定の秩序をもたらし、
多士済済の精鋭部隊たるべく成長をうながします。

これがまた、むかしからある構成なんですが最近また増えている。
今のところ、この類型でもっとも成功したのがラブライブ
ここ数年で思いつくままに挙げてみると


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■ラブライブ! (2013)
生徒数減による廃校が決定、これを阻止するためスクールアイドルとなって学校宣伝
これは終盤で当初目的を一方的に消失させ、「それでも私が歌う理由」の部分に
主人公を追い込んでいく構成が鮮やかだった。でも2期は蛇足。


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■ガールズ&パンツァー (2012)
実績ない学園艦をコスト削減のため統廃合、戦車道全国大会で優勝しなければ廃校。
実はこの作品の廃校設定は主人公の動機に直接関与してない特殊例。
主人公の流儀や過去の挫折、姉・実家との関係に決着ついておらず、僕は良作とは思ってない


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■TARI TARI (2012)
急に発表された廃校計画を機に、学園祭強行開催する主人公合唱部と、反目していた声楽部が和合
和合というか声楽部と教頭が完全にフリーライド


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■恋と選挙とチョコレート (2012)
次期生徒会長候補が実績のない部を廃部にすると表明、食品研究会が存続の危機に


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■イナズマイレブン (2008)
部員7人の弱小クラブ、部費が無駄だから廃部決定、しかし40年無敗の「帝国学園」に勝てたら存続
初回だけの各話プロット

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■ROBOTICS;NOTES (2012)
ロボ部の高額な活動費要求に教頭が激怒。全国優勝できなければ廃部


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■俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる (2013)
風紀上好ましくないので廃部、各話プロット


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■ハナヤマタ (2014)
正式な顧問が見つからないと規定により廃部


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■ガンダムビルドファイターズトライ (2015)
同じような部が2つあるのはおかしいので統合、バトルして勝てば存続


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■食戟のソーマ (2015)
食戟(料理対決)で勝ったら丼部存続、負けたら廃部&退学、各話プロット




この「寄せ集め集団がうまくまとまる」感が非常に使い勝手が良いということなのでしょう。
とりどりの個性派キャラクター群が問題解決に向けて一丸となる、
うまくまとまるというより、イヤでもまとまる。まとまらざるを得ない。

で、今期においてもこうした構成の作品がすでに3点、さすがに多過ぎる
今さらラブライブやガルパンの商業的成功に範を取るわけでもないだろうけど
安易とは言わないまでも、ああ来たなという感じは毎回する。

つまり「来年から本気出す」といってる連中に今すぐ本気を出させる、
そういったシチュエーションを使いたい作品がたくさんあるわりに
登場人物に動機をもたらす新たなアイデアは生まれていないということ


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■Classroom☆Crisis (2015)
上司「コストに見合わない。部署ごと廃止」→「見てろ、ぎゃふんと言わせてやる」


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■空戦魔導士候補生の教官 (2015)
上司「ランキング戦全敗の落ちこぼれ小隊イラネ。チーム解散」→「見てろ、ぎゃふんと言わせてやる」


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■アイドルマスター シンデレラガールズ (2015)
上司「なんか気に食わないので全プロジェクト解散」→「見てろ、ぎゃふんと言わせてやる」


※デレマスは特に、常務のやり方の一体何が問題なのかがわかりにくい。
裏を返せば、彼女は仇敵にはなりきれていない







廃部・廃校回避のプロット、冒頭に「昔からある構成」と書いたけどいつ頃からあるのか?
僕の記憶する限りでは1970年の「赤き血のイレブン」の時すでに登場している


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「赤き血のイレブン」 梶原一騎+園田光慶/ 少年画報社 1970年

松木監督率いる新生サッカー部に
PTA会長青田が解散を迫る


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同作品はアニメ化もされ人気を博しているが、アニメでは大幅な内容改変がなされ、
PTA会長ももう少し気のいいオヤジに変更されていた。
原作にある廃部プロットがアニメ版にもあったかどうか、記憶がはっきりしない。
下の画像はYouTubeにあった外語吹き替え版から


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いずれにせよ業績低迷などを理由に上が廃部を迫る、というプロットは
遅くとも45年前、梶原一騎の時代からすでにあって
今現在も続いている、ということはおわかりいただけると思う


もっとも、帰属共同体の廃絶・存続というテーマは
もとを正せば赤穂事件などに題材を得たであろうことは想像に難くない。


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愉楽を極めての落魄、そして雪辱といった流れが
日本人の美意識に強烈に作用するからこそ
繰り返しに耐える鉄板ネタとして受け継がれてきたのでしょう。
おそらくこれからも、この類型が消え去っていくことは無いと思う。


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category: アニメ

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2015夏アニメのカメラワークいくつか  


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■六花の勇者 #03

これ今期ベストショットですねえ。TB→じわTU→QTU→じわパン
奥行き表現、反応速度と身体能力、そしてムキだしの闘志と冷静なまなざし
このカットは登場人物のうちフレミーでなければ成立しないカット、そこが優れてる

この作品は妙なカメラワークが多くて、見てて楽しいですね。

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■六花の勇者 #01

女のエキセントリックな素顔と男の純情な一面が画面にあふれる。
この牢獄シーンは良く出来ていて、ナッシェタニアがアドレットの表情を引き出し
観客の目をひきつけながら世界設定の説明まで一気にやってしまう
びっくりするような、格子抜けで行き来するカメラ。この発想がすごい
普通だと↓こういうフシギな絵になる

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■オーバーロード #03

吹っ飛ばされた首のPOV
切りかかるときの回り込みも綺麗だけど剣先の動きにはキレが足りない気がする
スローなのか、ノーマルスピードなのか、若干中途半端な感じ
あとこの人は進行において重要な人物かと思ったんでこの展開は意外だった



■オーバーロード #04

騎馬隊の壮大な旋回
こういうのをアルスラーン戦記に期待してた
よく見るとパースとかは、まあ


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■がっこうぐらし #01

背動、追い越し→回り込み
最近ときどき見ますね、こういうカット
記憶に残ってるのはガリレイドンナの01話

がっこうぐらし、あちこちで話題になってて成功しそうで何よりです。
あの先生はユキにしか見えてないってことなんですかね。



■だんちがい #03

寝返りの短いフォローパン
このgifだとよくわからないんですが、乳房の重さ表現すごい
あと寝息立ててるこの動きはどうやって描いてるんだこれ
普通に描いてるのかな。なんかパーツごとに切り分けてるような不思議な動かし方


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■GATE #03

この回り込みで戦闘時における潮目の変化が表現されてます。ここから流れが変わる。
回り込みは同顔で微妙な心境変化・決意やひらめきを表現できますがこれも効果的な使用例です。
いま何が起きていて、自分が何をすべきなのか即座に判断できるっていう、
この女の子の聡明さやパーソナリティも同時に表現されてます。


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■ケイオスドラゴン #01

監督・松根マサトってびっくりした。
ビジュアルエフェクトとかじゃなくて、いきなり監督か。
いや松根マサトさんの才能は評価してるつもりですが
この作品は彼のキャリアや得意分野に比して雰囲気が重すぎませんかね。



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■GOD EATER #02.#03

この作品の特徴は色トレスと二号カゲ、微速度撮影風撮影ってことになるのかな。
やらおんが叩いてるらしいけど、新しいことや難しいことに挑戦するのは無条件で応援しますよ



■Charlotte #02

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■Gangsta #03

さとう陽さんの演出回。全編ホレボレします。
言わないけど拒絶して距離取ってる男と、近づきたいけど近づき方がわからない女がいるっていう
窮屈なその空気感というのか、そういうものが。
カメラワーク的には天井ファン越しのフカンとか、窓を印象付ける通り抜けTUとか

category: アニメ

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冥王星アニメ その2  

前回コメ欄で指摘を受けた件について詳細
雷欧さんという、オールドスクールに大変お詳しい方の紹介で
宇宙戦艦ヤマト以前にも存在したアニメの冥王星描写についていくつか。



■鉄腕アトム  第14話「人工太陽」1963年04月02日 (演出/石井元明)
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かつて御茶ノ水博士が開発した人工太陽、遠い天体の開拓に使おうとしていたが
開発が中断していた、それが悪の手に渡ってしまった、という話。
「冥王星のような、太陽からうんと遠い星を開拓するために、太陽の代わりに照らす人工の太陽」
という説明とともに挿入されるカット。このカットは冥王星と断言はされていないが
文脈から、冥王星をイメージしたものではあると思う。

天文ファンであった手塚は
子供の頃「子供の科学」「科学画報」の愛読者であったと自著に記している
国内でも科学雑誌は戦前から数多く発行されており
そういった雑誌書籍の挿画を頼りに少年手塚の宇宙イメージも膨らんでいったはず


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戦前戦後を通じてセンカ紙の科学雑誌は大人向け・子供向け問わず発行され続け
それが農村の子供達の精神を太陽系の果てまで連れて行った。
戦後復興、1955年の火星大接近、57年のスプートニクショック、
映画「宇宙大戦争」、そしてアポロ計画。
「ああこれからは宇宙の時代なんだ、工業と科学技術の時代なんだ」
誰もがそんなふうに、やがてくる未来に胸を躍らせていた。
50~60年代というのは子供達にとってそういう時代だった。(実父談


■宇宙エース (1965年、タツノコプロ)
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#26 「X13号ステーション」 1965年10月30日 (脚本/天馬正人、演出/笹川浩)

少年エースの両親を探す宇宙の旅。窮地にあるスミス博士一家を救うため、
エース一行の宇宙船は冥王星の衛星軌道上にあるX13号ステーションに向かう。

ということで、これが現時点で確認できる、日本アニメに登場した最古の「冥王星」


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#27 「殴り込みエース」 1965年11月06日 (脚本/鳥海尽三、草川隆、演出/西田淳、竜の子プロ演出部)

続く27話では冥王星のもう少し詳細な描き込み。
コメ欄にあったとおり、Bパートにおいて星姿のカットが別の星でリサイクルされており、混乱を招く。
それにしてもこのアサリちゃんというヒロイン、特異なデザインだが結構可愛い。




■宇宙少年ソラン (1965年 TCJ)
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#83 「サイボーグ事件」 1966年11月29日
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六年前、冥王星探検への出発にあたりサイボーグ手術を受けた探検家ガロスと仲間達。
しかし冥王星での突発的な事故によりミッションは中止、探検隊は帰還したが、
彼らの体内にある内燃機関が暴走、すべてを焼き尽くす火炎放射能力が人類の脅威となる、という話。
ちなみにガロス役は小林清志さんだった


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冥王星、星姿は出てこないが地表面のイメージ。
ロケットが多段式なのはアポロ計画の影響だろう。分離しないなら意味はないけど。

モノクロ作品のせいもあり、地表面は火星や金星などの漫画的イメージと大差ないように見える。
出色なのは「冥王星は極寒なので人は生存できない、だからサイボーグ化が必要だった」という論理の部分。
現代につながる冥王星イメージの起首がすでにここにあった。と言えなくもない。


category: アニメ

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