大匙屋

健康第一

2010春アニメ さらい屋五葉  

さらい屋五葉 (12) http://www.goyou-anime.jp/
序盤、政が深遠を覗き込むように弥一に魅了されていく過程で
「そっち側に行くための正当な理由」を
我々も政と一緒に探していることに気づく。
そうして順を追って五葉の面々の過去がメランコリックに語られると
やはり皆それぞれに事情があるんだなと変な納得をさせられる。

唐突に饒舌になる(ように見える)梅。
「五葉が揃う」という意味不明なおたけの言葉。
そしてあっという間に馴染んでいく政。
これら演出はさも当然のような顔をして政を集団に取り込ませていくが
そもそもこの専横的なまでの強引さに我々は不思議と違和感を持たない。
それは我々にとって、彼らが悪事を働くのには「拠所ない事情」が
前提としてあるのが当然で、その本質の部分が語られるまでは
どんな無理も許容しよう、という意識が働くから。
この作品はそういうのをうまいこと逆利用している。

フィクションなのに。
なぜこうも我々は現実のモラルや倫理観に縛られているんだろう。
悪事に荷担するためには相応の理由や暗い過去や重罰が必要であり、
そんな彼らを我々が「許す」ためにさえ何らかの理由が必要だったりする。

そういう前提があるために、実際には我々が渇望しているはずの
「五葉が暗闇で大活躍する単純明快な物語」は
少なくとも1クール内では表現し得ないわけで。
やはりルパンが颯爽と登場した高度成長期などとは違い
今はロマンチックなピカレスクが無批判に成立し得ない時代なのかもな。

なんてことを思ったりしつつ、でも良作でした。

以下野暮なラスト解釈

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category: アニメ

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2010春アニメ 閃光のナイトレイド/真・恋姫†無双~乙女大乱~  

閃光のナイトレイド (12) http://www.1931.tv/
後半の満州編は別作品のように一気に面白くなるが
前半の上海編はやっぱりどこか退屈だった。
どうも序盤の掴みに失敗してる感が否めない。
決定的に欠けていたのは要するに「ランセルノプト光」だと思う。

固有名詞やら状況やら目的やらを順を追って説明しないのなら
最低限、いま何が起きてるのかはわかりやすくしたほうがいい気がした。
具体的には「超能力スイッチオーン」みたいな。全身オーラとかでもいい。
「ここがひとつの見せ場です」みたいな部分を
もっと絵的にケレン味たっぷりに押したほうが良かったんじゃないか。
もちろん敢えて抑制的に仕上げてるんだろうけど、意図は伝わってこない。

複雑に入り組んだ事情や背景を台詞で回すのもいいが
絵で見て直感的にわかるベタな部分がもう少し必要だと思う。
それがアニメの力ってもんじゃないの。


真・恋姫†無双~乙女大乱~ (12) http://www.mmv.co.jp/special/shinkoihime/
シリーズの中では一番いい出来だったように思うけど
売り上げ的には苦戦してるようですね。
第3期ともなるとさすがに飽きて離れていく人はいても
新規の視聴者は減っていくのかも。
よほどのヒット作シリーズでない限り、ほかに見るものは沢山ありますしね。

前半のクエスト展開と後半の太平要術関連が内容的に乖離していて
序盤の宝剣などの伏線が今いち活きてない気はしたけど
物語自体は細部までわりとよく練れていたと思う。
宝剣はクエストの報酬として何進から授かるとかで良かったんじゃ。
あと、董卓を捕らわれの姫にするというアイデアは
原作準拠なのか知らないけど、ちょっと普通思いつかないような
すごい発想だと感心しました。

膨大な数の登場人物はとてもじゃないけど顔と名前の区別がつかず
とくに僕のような生半な視聴者の手に負えるものではないですが
人数が多い分、属人的な要素も薄味なので充分許容範囲です。
これはファンサービス的側面もあるけど、コアなファンなら
逆に不満に感じる部分かもしれない。

槍や長巻といった長モノのアクションはアニメではめったに見られないので
今回のシリーズはそういった部分にも力が入っていて非常に良かった。

蛇足ながら恋姫といいつつ恋愛要素は皆無なので
ED歌詞がラブソング調だと妙に違和感があります。



category: アニメ

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2010春アニメ 荒川UB、キスシス、一騎当千、B型H系、AB  

荒川アンダー ザ ブリッジ (13) http://www.starchild.co.jp/special/arakawa_ub/
基本構造はAngelBeatsとほぼ同じ。
異世界に迷い込んでエキセントリックな仲間たちと交流しつつ
価値観のギャップで笑いを取ったり空白の青春を取り戻す、一種の「嫁入り」物。

命を救われた恩を返すためにニノの恋人となった時点で
主人公の行動目的の大半は達成されている。
なので、奇妙な仲間たちとある程度打ち解けてしまうと
もう話が膨らまない。

舞台も川と河川敷だけなので絵ヅラが変化に乏しく
タイポグラフィなどのシャフト的遊びがなければ間がもたない。

充実した主人公が何かを獲得・達成していく物語ではなく
マイナスの主人公が人並みの幸せを再発見していく物語のほうが
今は求められてるんだろうか?
僕はもうそういうのはお腹いっぱいです。


kiss×sis (12) http://www.starchild.co.jp/special/kiss_sis/
弟が抵抗したりツン要素を発揮しないなら
ただのしょうもないエロアニメです。
基本設定に「縛り」が欠落してるのは長期連載向け企画でなかったせいだろうけど
そういう部分で自然な改変を盛り込めないなら無理をしないほうがいいです。
ぶっちゃけどんどんダメになっていってます。


B型H系 (12) http://www.bgata-hkei.com/
主人公の造形が極端に地味で説得力に欠けるのに
勢いでゴリ押しできてしまうのは田村ゆかりの力だなあ。

この田村ゆかりという声優は化け物だと思う。
どんなキャラクターでも彼女が声をあてるだけで
初期設定以上の存在感を容易く作り上げてしまう。

もっと品のないものを想像してたけど
思った以上に純情なラブコメで、中身もよく出来ており楽しめました。
売れなかったのは単純に絵柄のせいだと思います。


一騎当千 XTREME XECUTOR (12) http://www.ikkitousen.com/
序盤に仮面の男が出てきた時点で雑魚臭ぷんぷんで
4期まできておきながら天下三分の計はそのままかと落胆した。
タイトルのカッコ良さだけならナンバーワンだと思う。

バトル作画には目を見張るものが多々あり
失礼ながら同シリーズにそぐわない、良い出来だった。
個人的には夏侯淵の出番がなくて残念。


Angel Beats! (13) http://www.angelbeats.jp/
いろいろあるけど、
「これから来る奴らが心配だから残らない?」って提案するのが
音無じゃなくて奏のほうであるべきだったんじゃないか。



category: アニメ

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2010春アニメ 薄桜鬼  

薄桜鬼 (12) http://www.geneonuniversal.jp/rondorobe/anime/hakuoki/

ビデオソフトがかなり売れてるらしい。
OPアニメの制作スタッフに並んでる名前が豪華で笑ったが
これだけのメンバーを揃えたならもうちょっと…とか
思ってしまうのは僕だけだろうか。


多少各人の行動原理が曖昧だったり短慮・軽率だったりするのは
もっとひどい作品が世の中にはいくらでもあるし
特にこれはセラムアニメだしで目をつぶるとして、
1つだけ、どうしても気になったのは以下
第08話「あさきゆめみし」

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雑巾掛けした手で手ぬぐい奪って殿方の頭に触れ

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高所に棒立ちで相手を見下ろしながら会話ってのはダメだ。
たとえ心安い相手だとしても敬意を欠いてる。
階段を下りるなり座るなりすれば済むことなんだけど。


その後第10話「絆のゆくえ」

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ここの入退室の作法などはよくできてて
退室時、いったん座って跪座の姿勢のまま膝行とか

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入室時障子の目線の高さに手を掛け少しだけ開く所作とか
(これはノックの代わり、和室作法での「これから障子を開ける」合図)
茶道などで用いられる正式なものではなく
嫌味のない、あくまで略式の作法である点が
女性らしい上品で細やかな心配りや
育ちの良さを表現できてる。多少あざとくもあるけど。
ただこれだと前述した08話との整合性は取れてない。
10話の演出はアクションも含めて終始すばらしい出来なだけに
08話は残念。

10話演出の木村延景さんは東映出身で、要注目の演出家。


第05話「相克せし刃」
21354887_01.jpg

タライの中の徳利や水面のゆらぎ。
右はしの徳利の影とかもよくできてる。
これ以前、熱燗をつける鍋の沸騰なども丁寧に描かれていた。
こういう絵作りを見てると上手さはともかく
現場で誠実な仕事が成されているのがわかり
作品への好感度が上がる。すごくがんばってますね。


「薄桜鬼」全体については分割2期ということでまたいずれ。



category: アニメ

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2010冬アニメ デュラララ!!/はなまる幼稚園/他  

もう秋アニメの話題が出てるというのに昨冬アニメについて・・・
っていうか忙しくてなかなか見れないんですよ。勘弁してください。


デュラララ!! (24) http://durarara.com/
10話における収束感と盛り上がりは良かった。
しかし、よく出来てるのは10~11話までだと思う。

沢城みゆきの達者な演技が過剰表現すぎて鼻につく部分があり
これはこのキャラクター解釈で本当にいいんだろうかと感じ続けもしたけど
顔や表情がないせいで声の演技をオーバーにせざるを得なかったのかもしれないな。
人間臭さをことさら強調することで罪歌との差別化をする必要があったのかも。

当初「普通の世界にデュラハンがいる違和感」がどう解消されてくのかを見ていたが
そこに罪歌が現れることで結局水木ワールドみたいなノリになった。
何が起きてもおかしくない、つまりここは普通の世界ではない。
これが悪いとは言わないが、このせいでミカドをはじめ
「普通の人々」はどうしても影が薄くなってしまう。
とくになかなかコミットしないミカドは存在感なし。
具体的には22話(メガネ救出回)を出すのが遅いと思う。
個人主義者に思われたおっぱいメガネの行動力発揮もなんだか唐突な気がする。
メガネは「正気を保ってるので精一杯」の人なんだと思ってたんだけど
違うのかな。

最終的に門田一派が乗り込んで即潰せるのなら
クライマックスまで抗菌賊関連をひっぱった意味はどれほどあっただろうか。
あそこにミカドやセルティ、メガネが登場した意味もあまりない。

個人的には、最後にメガネがイザヤに挑むのであれば
紀田に加えミカドが大怪我なりしていないと動機が薄いように思った。


それにしても何なんだこりゃと思ってたら
どうも原作小説の序盤部分だけを忠実にアニメ化したものらしい。
多少の消化不良や伏線未回収は致し方ないといったところか。
いまどきそういう部分に不満を抱いても仕方がない。

脚本の高木登さんにはかなり期待してるんだけど・・・
花田先生と同じで、制約の多い構成には向いてないのかもしれない。


バカとテストと召喚獣 (13) http://bakatest.com/
06話プール回の出来がいい。

成績が悪いのとバカなのとはちょっと違うよね。
努力しだいでどうにかなってしまう、そういう結末で良かったのだろうか。

このまま何も起こらず、人間関係も何一つ進展なり変化せずに
終わるのかなあと思ってたら2期があるらしい。
正直、最初バカにしてたけどそこそこ面白かった。


ひだまりスケッチ×☆☆☆ (12) http://www.tbs.co.jp/anime/hidamari/
内容はまぁ今更どうでもいいが
EDのギターとストリングスのアンサンブルはすげえ
これはOAverではわかりにくいので
できればCDなりで聴くべきです。





はなまる幼稚園 (12) http://starchild.co.jp/special/hanamaru/
賢しい計算を排除した「純粋さ」がもたらす正論が
薄汚れた大人の価値観を圧倒する展開なんかを期待するのだが…
はなまるの舞台・世界観はあくまで幼稚園という「職場」であり
構造は動物園と同じ。

たとえば「トトロ」なんかとの大きな違いがそこ。
サツキとメイの前に世界は誕生し大きく広がっていくが
杏たちは既存の価値観の世界に放り込まれて早く成長したいと願うだけ。
適応しようとはするが、何も発見しないし産み出しもしない。
トトロが「大人から見た子供の世界」であるなら
はなまるは「オタから見た子供の世界」かもしれない。

ギャグ物として見るには狂気成分が足りず
日常ものとして見るには人物像が幼稚で退屈すぎる。
まぁ幼稚園児に幼稚だと言うのも変だけど
サブキャラとしての子供は魅力的なのに
メインに据えるとこうも退屈なものかと思った。
幼児にできることは限られているからかもしれない。
想像もつかないようなことをしでかすのが
本来子供キャラの面白さのはずなんだけど。

このアニメが日常モノとして成立しないのは
色恋などの情念を中心的に扱ってるから。
その割に好意に基づく人間関係が完全に硬直して動かないので
展開も変化に乏しく、スリルや吸引力もない。
土田と山本先生をさっさとくっつけちゃって
杏に嫉妬・横恋慕させる展開にしたほうが良くならないか?

「好きっていう気持ちは何より強い」というのは
一貫性のあるテーマとして意味的には悪くないけど
ほかにもっとうまい言い回しはなかったかな。
ここをワンフレーズでがっちり掴めていれば
ラストの杏の判断・行動もより印象的になったと思う。

作画は高レベル、音楽も良かった。
OPの転調も面白いけど
転調しすぎて逆にメロが記憶に残りにくい。
OP主題歌ってのは作品のサウンドアイコンなので
あまり奇をてらわないほうがよかったかも。


*****
冬アニメについてはこのへんで・・・
ようやく春アニメに取り掛かります。

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