大匙屋

健康第一

「けいおん!」は要するにリアクションアニメ  

「全ての物語は主人公が穴に落ちる→穴から這い上がる/穴の底で死ぬという話型で出来ている」(村上龍)

通常アニメのストーリーは「それは一体どんな穴か」ということに
重点的に着目させるわけですが、
「けいおん」の場合は
「主人公たちがどんなふうに穴に落ち、どんな顔で這い上がるか」
が、最も重視されます。


たとえば以下、1期で申し訳ないんですがわかりやすいので
第12話 「軽音!」から


ライブ直前に遅れて到着した平沢 唯に対し
メンバーのリアクション

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落とし穴→唯が風邪でライブができるかわからない
穴から這い上がる→なんとか風邪を克服して遅れて登場→ライブができる

凡百のアニメならこのまま1→2→3でシーン転換が可能です。
しかし「けいおん」の場合は、ここで3の前に
2→2A-B中野梓のリアクションを拾いに行く。


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ひとり年少、未成熟であるがゆえに
安堵、喜び、不満といった感情が他3人ほど手際よく制御できず
(これら感情は他3人がそれぞれ個別に表現している)
うつむいて切歯扼腕する中野梓。

唯がフォローに入り「特別ですよ」
この台詞自体には大した意味はなく
同じような台詞が2期06話でも「今回だけですよ」として使われ
中野梓の「赦し」のパーソナリティ表現となっている。

要するにここでこの個別リアクションをわざわざ拾いにいくのが
「けいおん」演出の大きな特徴。特徴というかキモです。


つまり同一の事象に対して5人なら5人分のリアクションが常に存在し
その中で面白そうなものを拾って見せていくのが「けいおん」の演出。
落ちる穴は本当に何でもよく、穴に落ちたときに
彼女らが一体どういう表情を見せるのかだけが重視されている。

女子高生バンドのアニメでありながら
演奏シーンやライブシーンがなくても誰も不満には思わない。
落ちる穴はそれ以外にもいくらでもあるわけだから。

なので、「けいおんには中身がない、ストーリーがない」という批判は
あまり意味を為さないわけですね。

ホームセンターにおけるツムギのリアクションや
修学旅行で一人だけエンジョイできてない事に自ら気づく澪なども
全部同じです。
我々はただそのリアクションの差異(というか微妙なズラし)を見せられながら
あーいいなー、可愛いなー、今回もブレてないなーと
「安心」しているわけです。

このパターンを踏襲するといくらでも、それこそ無限大に話は作れますが
唯一の問題は、彼女らに季節イベントとして卒業が控えてるってことですかね。




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category: アニメ

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2010冬アニメ れでぃ×ばと!、ダンス イン ザ ヴァンパイアバンド  

れでぃ×ばと! http://ladies-vs-butlers.com/

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主要キャラはこの↑1コマで瞬時に立ちあがるくらいのシンプル設定で
ひな型的なわかりやすさがあるが
唯一、彩京朋美(さいきょうともみ)に関しては
より極端でドラスティクな味付けが必要だったように思う。
要するに腹黒キャラのはずがたいして腹黒くないのが難点。

このせいで彩京朋美をめぐる人間関係の中では
物語がスリリングで予測不可能な方向には加速せず
ボケツッコミや掛け合いの妙もなく、
各キャラが基本設定以上の輝きを見せることもない。
例えばドリルは「何ですってー!」しか言わない。言う機会が与えられない。

自然と各エピソードは小さくまとまることになり
サービスシーンが売りの萌えだけアニメになってしまう。
これは原作の問題なのかもしれないな。
多分彩京は作者に一番愛されているキャラなんだろう。

ジーベック1軍だけあって作画水準は高いが
過激に見えて実はガチガチに保守的なよくある美少女物。
一言で言ってしまえばサビ抜きのクロマグロ、100円寿司。
光やシャワー、水などで特効の桜井英朗さんの仕事が際立つ。



ダンス イン ザ ヴァンパイアバンド http://vampirebund.com/
フレンズは・・・まぁいいけど「ほぉー」で毎回吹く

ふつうの高校生に見える主人公が実は異国の騎士みたいな身分とか
なんでバンドに選ばれたのが日本の東京の埋立地なのとか、
なんで人間のお嬢さんは少年の正体が露見した直後から
当たり前のように普通に接してんのとか
お嬢さんは重要な会見場所にまでお邪魔していいのとか
細かいことはキリがないくらい色々あるんだけど・・・
ジェル塗るのと分娩台のインパクトで全部チャラかもしんないね。
この2つは狂気の沙汰だと思うけど、よくやるわと思った。

執拗なまでの目元アップ、瞳孔ズームとか
演出として意図している部分もあるのかもだけど
所詮リップシンクを省くための誤魔化しに見える。

修正はよく頑張ってるけど、作画は相当しんどそう。
実験的野心に富んだ01話やお馴染の紙芝居のせいで
出来てない部分が悪目立ちする。兼用カットも多い。

現場の力量的に回避せざるをえなかったレイアウトや
アクションが多そうなのも何となくわかるけど
水着回までボロボロなのは正直痛々しかった。
個人的には遠藤麻未さんが現役で嬉しかったけど。

胆力と儚さ、脆さを併せ持つ悠木碧の演技が最大の見所かなあ。
姫の幼児体型、盟約、三氏族の設定や整合性などはよくできてる。
伏線配置も効果的なので終盤は盛り上がる。愁嘆場も悪くない。
群集が姫のカリスマにかしずくシーンなどが
記号的な意味で必要だったと思う。

詮無いことだがもう少し制作に余力があればと痛惜。




category: アニメ

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2010冬アニメ ソ・ラ・ノ・ヲ・ト  

粛々と・・・



ソ・ラ・ノ・ヲ・ト (13) http://sorawoto.com/
キャラデザインとかはとりあえず触れないでおく。

カメラワークについて、峡谷や高層建造物などでティルト(上下)が多く
パン(左右)は比較的少ない。
音が空に遠く鳴り響いていく情景を描くのに、
パンなしでは空間的な広がりを表現しにくいと思うけど
これは予算的な関係なのだろうか。
作画的にもあちこちで相当ギリギリな印象を受ける。

音が広がり、どこに反響して、誰に届き、その時その人は何をしていて、
届いた音から一体何を感じ取るのか。
それがこの物語のひとつの見せ場のはず。

そういう意味で第09話の台風のエピソードはとても良かった。
部隊の繋がりや絆と呼ぶべきもの、それぞれの役割が表現できている。
ラッパ手が役に立ったのも実質ここだけ。

カナタがラッパで「意味」を伝達し
作戦行動が円滑に進む、という類型で
あと1話でもいいのでエピソードが必要だったように思う。


ラッパで進軍が止まるか?と問えば
そりゃあ止まることだってあるかもしれない。
でも「止まるかもしれないなあ」と思わせる前フリは足りてない気がする。

アメージンググレイスとイリアのつながりなどを
あの戦場にいる全員がもともと前提として理解しているとか、
長引く講和会議で厭戦気分が蔓延した軍の士気低下をもっと強調し
イリアは軍属だけど思想的に徹底した平和主義者だったことにするとか、
まぁそのへんは行間を読む形で補足できる範囲なんだけど
端折らないほうがいい部分でもあると思う。

クライマックスはもっと全員ボロボロで泥臭い仕上がりでもよかった。
第07話、第11話に関しては演出/レイアウトも良かった。


蛇足ながら、何故か小林ゆうの声は
少し張るだけで必要以上にブチ切れているように聞こえる。





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あと、第09話のこの光、超キレイですよね。
人物と調度品なんかの陰影のバランスは悪いけど。


category: アニメ

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2010冬アニメ おおかみかくし、おまもりひまり  

順番にぼちぼちと・・・



おおかみかくし (12)http://www.tbs.co.jp/anime/okami/
これはあんまりいい出来じゃないな。残念だけど。
序盤から何かヘンだなおかしいなと思わせつつ
ジワジワ行きたい気持ちはわかるが、テンポ悪い。
中盤までの半ば強引なひっぱり方を見て、ああこれは説明する気がないか
説明するほどの内容がないんだなと大筋で理解できてしまう。

資料館で数え歌を調べただけで拉致されるとかねーよ。
「あなたは化物なんかじゃない」という台詞も浮いている。
チューしたら何がどうなってしまうのかが今いち伝わってこないので
神人側が何をしたいのかがわからない。
小笠原がアウトで五十鈴がセーフという判定も釈然としない。

そもそも、どんなダメ主人公だろうと
童貞を捨てる瞬間というか、最低限の見せ場が
用意されてないと物語としては成立しないように思う。

賢木と葛西、重次と重三などは同一人物でもよかった。
むしろ重三は存命させないと物語が完結さえしない。

作画的に、せっかくの大鎌の質量をほとんど活かしてない。
壁を壊すとか電柱を切断するとか、そういうベタな演出でも
あったほうがよかったように思うけど、局の規制なんだろうか。
4話アバンの炎も謎だった。火葬場かな。
あと、ED曲のほうがOP向きのような。OP曲はつまらない。

いずれにせよ竜騎士ブランド地に堕ちたり。次作に期待。



おまもりひまり (12)http://anime.webnt.jp/omahima/
ベタ展開の序盤以降、光渡し~クエス周辺は手堅く作りこまれていた。
尻みたいな乳とかサービスカットのてんこ盛に食傷気味になるが
和服の酷さを除けば作画はわりと高水準、総作監がかなり頑張ってる感じ。
良くも悪くも、コンサバティブな作品。
重箱の隅を突くように見ても何一つ楽しめないだろう。

おっぱいアニメにしては、アクションも健闘してると思う。
ただ演出としては攻撃パターンがやや単調なのが残念。

基本的にバトルか秋波を送るかの繰り返しで
種まき即刈り取りみたいな慌ただしさがある。
尺があれば日常パートはもっと膨らんだのだろうけど
結果的に学園転入とかもあまり意味はなかった。
シズクの帰属組織とかも放置されており勿体無い。

ハリセン役の凛子はともかく、茶碗がレギュラーに必要なのか?と思ったが

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これだ。この瞬間のためにこの娘はいたのだ。これはグーです。
衣服がもっとズタズタで痛みが伝わる作画なら尚良かった。




category: アニメ

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