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咲-Saki- レイアウトにおける優位性表現  

咲-Saki- 第15話「魔物」
脚本:浦畑達彦/絵コンテ:渡邊哲哉/演出:渡邊哲哉

インターハイ県予選決勝、大将戦
東一局で嶺上開花(リンシャンカイホウ)を上がる宮永咲
花を背負った正面からのカットで
左から右に風が流れている点に注目。



ここで、なぜ風は「右から左へ」ではなく
「左から右へ」流れるのか?

歌舞伎の用語だが舞台演劇から映画、アニメのレイアウトまで
向かって右側を「上手(かみて)」といい
向かって左側を「下手(しもて)」と呼ぶ。
通常左よりも右、下手よりも上手のほうが上位とされる。

ガンダムだろうとドラゴンボールだろうと
強い奴はたいてい画面の右側から登場し、左側にいる敵を倒す。
バトルシーンのレイアウトにおいて、
この鉄則が破られることはめったになく
位置関係によって先の展開が読めたりする場合さえある。

宮永咲が上がった瞬間に風が右へ流れるのは、
下手から上手へ向かって、強い運気が流れ込んでいる様子を
表現したものであると思われる。

これらを踏まえて闘牌シーンの位置関係を見てみよう。


090714151921.jpg

いきなりの嶺上開花に戦慄する鶴賀学園と風越女子高
ここで構図が斜めってるのは、動的なカメラワークで
リズム感を演出する意図もあるが
身長差のある鶴賀学園・加治木ゆみが宮永咲に対し
下手・上手の位置関係で目線の高さを合わせることで
加治木ゆみの動揺/不安定な心情を強調する狙いがある。(ダッチアングル)
このストレスの堆積が、後半加治木の槍槓(チャンカン)へと繋がっていく。

これに連続するのが下のカット

090717133921.jpg

上と同様に斜めの構図だが、役を上がった上手の宮永咲に対し
動揺する側(加治木ゆみ・池田華菜)が必ず傾斜の下方に位置している。
俯瞰で卓上の緑を強調することで人物間に効果的に空間を作り出す。
このときカメラはゆっくりとパンしており
視聴者が各人の表情・動作を確認しようとするとき、
必ず視線がゆるやかな下降線を辿るよう下手の人物が配置され、
自動的に彼女たちの状況にネガティブな印象を受けることになる。
逆に優位に立つ宮永咲の位置を見る場合必ず視線は上昇する。
これにより視聴者はレイアウトの意味を本能的に受け取り
この場の雰囲気を瞬間的に理解することになる。


090714145525.jpg

東二局
倍満黙テンで高揚する風越女子・池田華菜
上昇の気運を掴もうとしている雰囲気を強調するため
下手から上手へ向かっていくレイアウト


090714145611.jpg

それを意に介さず勢いに乗る宮永咲
真横からのカットは上手位置で安定している。
この時点で鶴賀学園・加治木ゆみは宮永を警戒している。


090714145652.jpg

宮永咲、2連続嶺上開花
広角による構図で場を支配する運気を強調。
完全にペースを掌握しているかに見えるが
この時、1回目に吹いていた風は吹いていない。


090714145726.jpg
090714145706.jpg

(上)下手で敗北感に打ちひしがれる風越女子・池田華菜
正直このカットでの咲のうしろの花はやり過ぎかもしれない。
(下)圧倒される鶴賀学園・加治木ゆみ
レイアウト上は加治木が咲に対して上手となるが
動揺を表現するため咲の肩より下に目線を配置。


090714145858.jpg

東二局一本場
ここでイマジナリーラインが若干変化する。
鶴賀学園・加治木ゆみは下手に甘んじつつ、
何とかして咲の勢いを止めたいと考える。
一計を案じる瞬間、上手の咲より高い位置に目線が置かれる。


090714150024.jpg

狙い済ました槍槓(チャンカン)で下から上へのティルト
間隙を突き、優勢に立った加治木ゆみは
ここで初めて上手で表現される。


090714150044.jpg

3連続嶺上開花を阻止された上に槍槓に振り込んだ咲は
ここで初めて下手に立つ。
表情には動揺がみられ、場の流れが変わる。


090714150215.jpg

状況としてはまだ咲が若干優位だが
得意の必殺技である嶺上開花を阻止されたことで
咲のダメージは小さくはない。
咲を上手に配置しつつ、後方でそれを加治木が見下ろしている。
咲の勢いを止められたことで少なからず安堵しているが
加治木にとって現時点で本当に倒したい相手は対面の怪物・天江衣。


090714150314.jpg

そしてその天江衣が覚醒する次週予告シーン。
上手に位置する強者・天江衣がついに化け
下手の咲がそれを動揺しつつ見上げる構図。
これは次週も見逃がせないと思わせる良カット。

席割りで天江衣が咲の上家に位置するため
構図は衣が上手、咲が下手に固定しがちになると思うが
展開上は今後2人の一騎打ちになっていくことが予想されるので
どういったレイアウトを見せてくれるのかが楽しみなところ。



麻雀というのは狭いテーブルを囲んで4人で戦うゲームで
動きがあるのは基本的に胸から上だけ、
アニメ表現にはあまり向いていない題材といえる。

正直、番組開始前はもっと退屈な、萌えだけの作品になると思っていた。
この難しい題材で、巧みなレイアウトやエフェクト、イメージシーンなどを駆使し
飽きさせない展開を演出し続けているのは立派なことだと思う。

とくに上がり牌や手の構成などをじっくり見せるような真似をせず
こまかく解説やウンチクを語ったりナレーションで場をつなぐこともなく
サクサクと流していく演出は極めてリズミカルで爽快ですらある。
麻雀のルールを知っていようがいまいが、ほとんど関係なく
誰もが楽しめるように作られている点は高く評価したい。

いくつか指摘したい点もあるんだけど、それはまた別項にて。




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「宇宙をかける少女」が描くべきだったもの  

ハコ人間とは結局終身雇用制のようなもので
魂をアウトソーシングして安寧を得るシステムであり
それが究極的な合理化社会のあり方であると
少なくともネルヴァルは確信していたはずだ。

それに対し「自己を実現する」というパラダイムシフトを
突きつけてきたのがレオパルドであり、
「自分にしか出来ない何か」を捜し求めていたのが秋葉であり、
それが「宇宙をかける少女」という存在の意味であるべきだ。

この構造は言ってみれば80年代的なもので・・・

終身雇用が成長を支え経済大国へとのし上がってはみたものの、
会社勤めで一生社会の歯車となる人生を嫌い、
「自分の意志で就職しない」フリーターというものが登場し
いわゆる自分探しといった個人主義が礼賛される時代が到来。

そうこうしているうちにバブルが崩壊し、利益確保のために
企業は非正規雇用を進めるようになった。
外圧で雇用規制も緩和された。
いつかは就職しようと思っていたフリーターはここでハシゴを外された。
しかし今更あせってもしかたないので「ナンバーワンじゃなくて
オンリーワンになればいいのさ~」とか呑気に歌っていた。

状況はどんどん悪くなる。雇用制度は崩壊し、失業率も増大し続ける。
今となっては選択の余地すらなく、非正規雇用以外に生きる道は
ない人だっている。

そこで「いいや、フリーターでいいんだよ」と自信を持って言い切れるもの、
今の世の中に、説得力を持ったサジェッションを展開することができたなら
この「宇宙をかける少女」は神作品となり得ただろうし
視聴者はそれこそを期待していたはずだ。

「ハコ人間」という価値観を一蹴できる「何か」。
具体的な意味は謎だけど、「宇宙をかける少女」という作中キーワードは
きっとブレイクスルーを目指しているに違いないと
誰もが理解していたはずだ。


しかし残念ながら物語は、この命題に解を与えることを避け
自我を暴走させた友人を少女が救うストーリーへと変化した。

最終局面で風音がどういう絵を描いていたのか、
そもそも「宇宙をかける少女」とは何なのか、
どうすればラスボスとしてのネルヴァルを倒せたのか、
そういう問題がすべて流動的になって
「人類のあるべき未来を切り拓く」はずの物語から
いじけて引きこもった友達を蹴っ飛ばして
現実にひき戻す決着となった。

それなら確かに等身大の秋葉にも出来そうな気はする。が、
物語としての煮え切らなさはどうしても残り続ける。

友人を救うことは本来、素の秋葉にも出来るはずなのだ。
宇宙をかける少女・秋葉にしかできないことを我々に見せる、
その命題から制作陣は逃げた。




http://www.sorakake.net/


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