大匙屋

健康第一

2007-08 冬アニメ序盤数話(5)破天荒遊戯  

破天荒遊戯 http://hatenkouyugi.com/  

原作は「コミックZERO-SUM」連載中のコミック
単行本は累計100万部売ってるらしいんで、それなりのヒット作ですね。
原作者の遠藤海成さんは女性の方で
今回のアニメでも衣装デザイン(毎回変わる!)や脚本に参加らしい。

監督は「バトシーラー」「天地無用」の高本宣弘
脚本が「GR」の今川泰宏
キャラデ・総作監は「フタコイ」の小林利充

小林利充さんはあまり知られていないかもしれないけどサンライズ出身
80年代富野作品で作監をずっと手がけていた方です。
作画はアホみたいに上手いです。
僕はZガンダムの小林回は北爪回より好きだったりします。

そんなわけで今川泰宏、小林利充と聞けばそれだけで僕は視聴決定なんですが


「破天荒遊戯」
今川脚本だし最初は古代中国が舞台の拳法バトルアクションかと思ったくらいで
なんかタイトルがあんま良くねぇなあと思いつつ・・・


暗い。これは病的なまでに暗い。

物語のベースは近代北欧風ファンタジーですが
何に影響されてここまで陰湿な物語になっちまったんだろう。
ひたすらに画面を覆いつくす厭世観と刹那主義。

主役3人の会話劇としてはテンポも軽快で妙味に溢れますが
エピソードは凄惨で救済のない物語が続きます。
この演出の落差が人気の秘訣なのかしらとも思うけど
ここまで連続で人や子供を死なせる物語は、僕にはちょっと楽しめないです。
普通の感覚ではない気がする。

「ぼくらの」も子供が次々と死んでいく話でしたが、
少なくとも無意味であることの意味を考えさせられる作劇になっていた点で
見る側には救いがあった。

「破天荒遊戯」の場合、死なせ方がなんだか傾向的というか
「こんなんじゃ死んだほうがマシだろ?そう思うだろ?」と言わんばかりの
悲惨な設定で、それは確かに合理的で後腐れもない話だし、
主人公たちにも直接責任はないし、誰も困ることはないんだけど
彼らが「まいっか」という顔で次の旅に出発する切り替えの早さに
嫌悪感を感じてしまう。

現実にはそんなもんかもしれない。
でもエンターテインメントでそれをやる必要があるのだろうか。
子供を死なせないエンドもあるはずなのにそれをやらないのは
物語上死なせる必要があるからですよね。
それが見えてこないんですよ。
実はどっこい生きてました、という破天荒な展開にしたら
なにが壊れるというんだろう?

主人公は立ち寄る町で積極的に人に関わっていくけれど
決して深くは関わらない。
仲間同士でさえ、他人の事情には干渉しない。
「何があっても自己責任」という一種の割り切りの潔さが
現代的でスマートなライフスタイルなのかもしれないけど
ただ身軽でいるための自己弁護のようにも感じてしまいます。

「クソつまらない人生を楽しくする」と言っているけど
じゃあ楽しい人生ってのは、ただ退屈しないだけの人生のことなのかな。
「遊戯」という言葉がしっくりきてしまって、なんだかやりきれない。

それにしてもシゴフミといい、こういう作品が出てくるのって、
いまの時代の空気なんですかね。




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2007-08 冬アニメ序盤数話(4)君が主で執事が俺で  

君が主で執事が俺で http://kimiaru.jp/index.php

脚本には勢いみたいなものも感じるし
それなりに話を引っ張っていくパワーもあると思うけど・・・
何か惜しいな、と思うことしきり。

作中では「みんな濃い人ばっかり」と繰り返し言ってますが
僕には登場人物は皆同じような性格の人に見えます。
「主」「執事」といった設定をきちんと活かすなら
もっと個々の仕草や立ち居振る舞いの差異にメリハリが必要かと。
森羅の出ていないシーンにこそ森羅の絶大な影響があって然るべきです。
その部分が足りないから、人々の中心にいるはずの森羅が空気化しかかってますよね。

朱子回もどうせなら終盤でやって、それまで朱子のドス黒い部分を
たくさん描かないと、生い立ちの設定が消化不良になるような。
あらゆる条件下で主人公にストレスを与えうる折角の美味しいキャラが
早々にいなくなってしまい、ただのサービスカット要員に格下げになってます。
朱子と主人公の衝突で、主人公と他キャラとの接点も自然に拡大していくと思うんですよ。
そういう方向に朱子というキャラを活かさないのはあまりにも惜しい。

全員で食卓を囲むのも、絵的には和やかでホームドラマ色は強まりますが
食事シーンは労使関係を記号的に表現する好機ですから
これを捨てるのは対価として釣り合わないし、もったいない気がします。
もっとも、これはあとで森羅の性質を表現するための伏線である可能性もありますが。

さらに細かい部分まで突っ込むと、例えば紅茶を飲むシーンなら
作法としてティーカップを持ったら片方の手でちゃんと皿を持つ。
その何気ない仕草のひとつひとつがキャラクターの内面を「説明する」わけですが
そういった部分があまり丁寧に作りこまれていないのが残念。

言葉遣いが出鱈目なのも惜しいというか、今のままでは台無しに近い。
敬語ってのは便利で、ちゃんと使うことによって人間関係のバランスから
その人の性格や素養、育った環境や人間性、社会的な立場からその時の感情まで
多くの部分を自動的に説明できてしまう。
だから敬語が上手に使えていないと、その分を説明する余分な尺でソンをする。
同じ意味で「たどたどしい敬語」や「使いこなせていない敬語」も
かなり使えるアイテムなわけですが
脚本家がそれを理解したうえでやってないと意味がありません。


総合的にはいまのところ「普通の人が作った作品」といった感じです。
遠慮がちながらジャニーズネタをやり切った度胸などは賞賛に値しますが。

でも、後半に大化けする潜在力もあるように感じるんですよね・・・
どうなるでしょうか。




category: アニメ

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2007-08 冬アニメ序盤数話(3)シゴフミ  

シゴフミ http://www.shigofumi.com/

監督は「ナデシコ」「ステルヴィア」の佐藤龍雄
脚本はギアスの大河内一楼、この人は面白い本書きますねぇ
キャラ原案は「キノの旅」の黒星紅白
音楽は七瀬光、これは伊藤真澄さんのPNです。
伊藤真澄さんの名前を知らなくても彼女の仕事を何一つ聞いたことがない人は
多分日本にはいないでしょう。
あのひたすらに美しい「灰羽連盟」のEDを歌ってたのもこの方ですね。
制作はJCスタッフ

死後の世界から届けられる手紙・シゴフミの配達人フミカと
シゴフミの受取人となった人々の姿を描くという異色シリーズだそうです。



えーと、いきなり個人的な話になって恐縮なんですが
僕は車で夜道を走っていて猫を轢いたことがありましてね。

深夜、横浜の瀬谷のあたりで一人道に迷って住宅街を最徐行してたんですが
真っ暗な夜道で、突然ライトの前を何かが横切ったかと思うと
次の瞬間ゴリッというなんとも言えない音と感触がして
あ、猫か何かを轢いたかなってのがすぐわかりました。

この時僕は一瞬車を降りて確認しようかとも思ったんですが、
正直言うと怖くてダメでしたね。そのまま逃げました。
だから轢いたのが猫だったのか、本当は狸とかだったのかもわからないし
本当に轢いてしまったのかどうかさえわからない。なにしろ未確認ですから。

あの時は生き物を殺してしまったとか罪悪感とかそういうのとも違って
ただその轢死体となったであろうモノを見るのが怖かった。単純に怖かったんです。
もう10年くらい経ちますが、あの音も感触も、あの瞬間に味わった恐怖も
今だに忘れることができない。

だからというわけではないんですが・・・
轢き逃げ犯などが捕まったあと新聞やテレビなどで
「怖くなって逃げてしまった」との供述をしてるのをよく見かけますよね。
(当然のことながら、轢き逃げは決して許されることではないのですが)
僕には怖くなって逃げてしまう気持ちも少しだけわかるような気がするわけです。

万が一そういう状況になったとき、自分は本当に逃げないでいられるんだろうか?
あの夜猫を轢いて以来、僕はずっと自問自答していたりします。
まあ、そのおかげでずっと安全運転ができてますが。


で、結局何が言いたいかというとシゴフミ第01話についてですが
翔太を刺してしまう綾瀬の行動って
「轢いてしまった後の恐怖」に近いんじゃないかと思うんですね。

内心蔑んでいた相手が自分にとって致命的な秘密を握っている。
その状況だと、僕ならチキンなので一目散に逃げますが
綾瀬はただ単純に怖いから刺してしまう。
この「怖い」という感覚を理解できない人だと
綾瀬の行動は支離滅裂で意味不明に見えるかもしれないですね。

ただ、刺したあとのあの綾瀬の表情は、数日考えたけど僕にも理解できない。
彼女は確かに狂気の笑みを浮かべていたけれど
この場合、本当なら綾瀬は当面の脅威の排除に成功したわけで
冷静に淡々と翔太の死亡確認をするような表情を
するべきなんじゃないかと、僕は自分の頭では思うんですが・・・
まあ、僕の場合は実際に刺したことがないのでこのメンタリティはわからない。
演出の桜美かつしさんは刺したことがある人なのかもしれないですが。


あと第03話はちょっと早すぎたろという気もしなくもない。
作品の持つ死生観そのものが第03話で少し揺らいでいる気がします。
もう少しあとのほうがシリーズ構成上効果的だったのではないですかね。

今回のはレビューになってないかもしれないな。
とりあえず今日のところはこのへんで。






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2007-08 冬アニメ序盤数話(2)H2O/ガンダム00/true tears  

H2O ~FOOTPRINTS IN THE SAND~ http://anime.webnt.jp/h2o/

第01話を見ると、冒頭から強烈なシーンだったり興味深い設定が満載で
これはひょっとして期待できるかも、と一瞬思うのですが
あらゆる期待は第02話以降、ことごとく裏切られる気がします。

実をいうと花田十輝という脚本家については
これまでも僕の中でそれほど高評価ではなかったのですが・・・
ことにこの作品の脚本に関しては(まだ放映途中なので本当は何とも言えないのですが)
実は既に破綻しちゃってるんじゃないだろうか?


小日向家がかつて村から搾取していたような話も出るけれど
神楽家が今だに滅んだ小日向家を恨み続ける理由も見つからないし
過去から現在にいたる両家の関係もよくわかりません。
「小日向家とは何だったか」という具体的な表現が省略されているから
わかりにくいんですかね。

神楽姉妹が入れ替わる合理的な理由もとくにないように思えます。
神楽家当主がパラノイアであることが本質的な問題であるなら
彼は妄想以外の部分ではあらゆる局面において完璧な人格者である必要があるし
もしそうならひなたのほたる化宣言が級友に受け入れられる理由がありません。

同調圧力の強烈な山間の村落が舞台とはいえ、
現在における深刻な状況を描くことに捕われ過ぎているせいか
登場人物たちに確固とした人格というか最低限の主体性が認められない。

過去にいろいろとひどいことがあって現在こうなっている、
そういう物語にしたいという雰囲気だけは伝わってくるのですが
こういった人間関係には膨大な恨みや情念が堆積してしかるべきなのに、
多くの問題は、刺さったトゲを抜くようにささやかな行動によって処理され
「なんだ、それだけのことだったの?」という印象だけを残して終了する。

要するに、驚くほどとんとん拍子に話は進んでいるかのように見えますが
実際には多くの重要な要素を置き去りにして一足飛びに進行しています。
この勢いならクライマックスで神楽家当主が巨大化し村を襲う展開になったとしても
多分僕は驚かないと思う。



機動戦士ガンダム00 http://www.gundam00.net/

もともとはハイポリティックスなど国際関係論を
ガンダム世界でリアルにやりたかったのだと思うのですが
結局トリニティというわかりやすい悪党を唐突に導入し人気声優を起用
どう見てもあからさまなテコ入れです。
初期設定で用意した数々の「敵キャラ」の見せ場と適切な退場時期を見誤りましたね。
おそらくシリーズ終了までに全部は回収できないと思います。

裏番組でMAJOR第四期が始まったのがテコ入れの原因でしょうね。
視聴率的には依然5%前後で推移していますが
(ガンダムSEEDは平均7%、鋼錬、DESTINYは6~8%)
(BLOOD+、地球へはともに3%前後)
TBSの土6アニメ枠がこのシリーズをもって終了するらしいですし
右肩下がりの惨敗だけは何としても回避したいということでしょう。



true tears http://www.truetears.jp/

PAワークスの記念すべき元請進出作品
監督はスタジオディーン創設期を支えたベテランの西村純二さん。
脚本は「こどものじかん」「スケッチブック」の岡田麿里さん、オリジナル脚本は初か?
韓国スタッフで演出原画動画仕上げまでやってる回が何回かあるんですが
全然違和感がなくて、向こうのレベルも上がってきてるなーという感じ。
キャラデの関口可奈味さんは以前IGにいた人だったかな。
総作監もやってますが、相当頑張ってると思います。
美術も綺麗だし、音楽もいい。いろんな部分がうまいこと噛みあってるんでしょうね。

石動だの黒部だのという苗字もOPの立山連峰が示すとおり富山県の地名で
作品がそのままPAワークスのプロモーションにもなってますね。
でも残念ながら富山の地上波では放送されていないらしいのですが。


不確実な情報について確信を得ることを避けたいがために
眞一郎は父に直接事実関係を問い質すことができず
比呂美への思慕を封印して乃絵との関係を構築しようとするあたりが
なんともリアルですね。
父親は眞一郎の夢の唯一の理解者である以上
眞一郎は父を嫌いにはなりたくない。
このへんの微妙な設定の施し方は実に上手いと思います。
本当にこれでいいんだろうか?という恐れと不安、そして期待感を
視聴者と主人公が共有できるというのは実は結構凄いことです。
ここまでは見事と言うしかない。これはお勧めです。




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2007-08 冬アニメ序盤数話 ロザリオとバンパイア/狼と香辛料  

とりあえず2品


ロザリオとバンパイア http://www.rosa-vam.com/
作画レベルはわりと高めですが、演出のテンポやレイアウトが今いちです。
福田道生さんのコンテ回はいい出来なのですが。

「裏モカ」の魅力が足りないのが致命的と思います。
最大の見せ場として成立していないです。
だから視聴者の一番の関心がそこへ向かず、話もだらけてしまいますね。

たとえば「らんま1/2」は「男の子が女の子に変身する話」ですが
これが逆に「女の子が男の子に変身する話」だったら
あんなに大ヒットはしなかったと思うんです。
一番可愛らしい「女らんま」が一定の条件でしか出現しないからこそ
視聴者の興味はそこへ向かう。「いつらんまが出現するか」が焦点となり、
自然と脚本にもメリハリが出ます。
しかし「ロザバン」では、カタルシスに欠ける裏モカよりも
通常の可愛らしいモカのほうが魅力がある。
だから話が勢いよく動かないわけです。

にもかかわらずパンチラなどのサービスカットは全体的に過剰傾向にあり、
制作側が力点を置きたい部分がはっきりと見えてこない。
稲垣隆行さんは「砂ぼうず」や「こはるびより」を担当した新進監督ですが
間違った方向に進んでいると思いますね。


狼と香辛料 http://www.spicy-wolf.com/
原作は100万部売ったライトノベルだそうで、期待して見ました。
中世ファンタジー小説に魔法や剣ではなく経済を導入した、というのが売りらしい。
監督はmoeの変身三部作などを担当した萌え職人・高橋丈夫さん。
たしかに基礎的な為替の話とかが出てきますが
まあそれはエッセンスで、基本的には街道物というかオチ物ですかね。

これはでも、1クールでは無理があるというか、非常にもったいない話です。
ロレンスが何故ホロを拾って道連れにする気になったのか、
ロレンスは何故据え膳のクロエに手を出せなかったのか、
「食い扶持は自分で稼げ」という言葉の意味するものは何か、
そのへんの奥深いところまで描くことが出来れていば、大変な名作に
なるかもしれないのにと思いますね。まあ、仕方がないことですが。

あとキャラデは黒田和也さんですが、なんか目元のタッチが変わりましたか。
以前より色気が全面に出てる気がしますが、作品のせいでしょうか。

追記
ED曲「リンゴ日和」の作詞担当 Chris Mosdell (クリス・モズデル)は
我々YMO世代にはとても懐かしい名前です。
And then whistle round the world というあたりが、いかにもって感じです。
でもきっと彼はこの歌詞も数十分で書き上げたはずです。




時間がない。続きはまた


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