大匙屋

健康第一

インベントリーPOV  

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TABOO-TATTOO タブー・タトゥー #01

インヴェントリーPOV  (Inventory Point Of View)
武器や小道具、手や腕などがフレーム端に見切れる。POV(主観視点)のバリエーションのひとつ。
FPSの画面が代表的な例です。視点の保持者が何をしようとしてるかが具体的になり、
臨場感が高度化します。


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最初のタブータトゥのgifではよく見るとカメラが女の後頭部をなめており厳密なPOVではないのですが
そもそもPOVというのは現実ではありえない神の視点であり、
POV風であればPOVであると理解していいと僕は思ってます。


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タブータトゥーでは客観視点から主観視点への移行がよくあって発想が面白いです。
まあ序盤の謎背動の数々は出来よりも必然性に欠けて印象が薄いところが多いですけど。


僕はこのインベントリーPOVがけっこう好きで、どの作品でもチェックしてるんですよ。
今回はこれをいくつか紹介してみたい。





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Charlotte (2015) OP

何かに手を伸ばすのはOPEDでよく扱われるモチーフで毎回楽しませてくれます。


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アウトブレイクカンパニー (2013) OP

光源の移動に対応した影の変化が美しい、瞳のハイライトの動きも
手を繋いでいると受け取る人が多いですが実際はミュセルがカメラを持ってぐるぐる回ってる絵


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ご注文はうさぎですか?? (2015) #03

リゼのリアクションを拾いにいくためのPOV
オブジェクトのボケ具合で遠近感が巧く出てる


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僕だけがいない街 (2016) #06

「指で作るフレーム」もよく扱われるモチーフ


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だがしかし (2016) #04/このすば (2016) #08


インベントリーPOVは特定ジャンルにおいて日本アニメが世界で一番採用するフレーミングです。
というわけでその特定ジャンルもいくつか






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彼女×彼女×彼女 (2010) #02

当時えらい斬新な絵に感じたなあ


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妹ぱらだいす! 2 ~お兄ちゃん、もっとしようよっ~ (2012)

インベントリーPOVに関してはむらかみてるあき監督が最強と思う


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ランス01 光をもとめて THE ANIMATION (2016) #03

今年一番狂気を感じたのがこれ







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TABOO-TATTOO タブー・タトゥー http://tabootattoo-anime.com/


短慮で直情径行な少年はまあいいとして、彼を導く大人の不在が作品の質を落としてると思う。
善悪の判断を中学生に丸投げするとか、周囲の大人が責任を放棄してるんですよ。
これだと少年の成長に時間かかる、だから成長要素がなにか必要で、
そのために身近な人が死ぬしかなくなる。結果ああなった。
ていうか明らかに物語は08話に向かって行ってた。わざとらしく、あからさまに。

バイオレンス描写を逃げてないのは良いと思いますよ。
でも07話までは上記の理由で退屈だし、台詞や口上もかっこよくないし、
そもそも主人公がなぜバカみたいに死地に首つっこんでいくのか理解できないです。
仕切り直しで09話からが本番スタートだと期待しています。


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酒井和男演出、スプリット編集  

ラブライブ!サンシャイン!! http://www.lovelive-anime.jp/uranohoshi/

#02
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今回はサンシャイン02話Aパートの生徒会室/下校風景のクロスカッティングを見ていきます。
ここでは酒井コンテによるスプリット編集の妙味が炸裂しています。
(以下キャプチャ画像の字幕はそれっぽく付け足しました)


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ミューズの名前を間違えるチカちゃんにいらだつ生徒会長ダイヤ。
カモメ咆哮マッチでコミカルに落とし、大喝によるヘイトをかわす。

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ここがLカット、すっごいうまいですよねこれ。ちょっと感心してしまう。


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激昂するダイヤ、僕らはここで初めてミューズを心から愛してやまないダイヤに出会う。


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色をなすダイヤに圧倒されるチカからのJカット。曜と下校途中(多分バス停)、花丸に声を掛けるチカ。
木のうしろにルビーを発見したところで先入観たっぷりダイヤの皮肉Jカット。


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ダイヤ暴走開始、ミューズクイズスタート
ダイヤLカット、ポップキャンディーでルビー釣り

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この二場面パラレル進行にどういう意図があるのかをだんだんと考え始めるわけなんですが――
これはただ単に前後で起きたことを並べてあるわけではなく、
チカちゃんは可愛らしい後輩2人と戯れながら、頭の中ではダイヤとの対話が大きな比重を占めている
という複雑な状況の表現だと思うんですよ。

一方ダイヤはチカちゃんのスクールアイドル部設立を強硬に否定しつつ、
ミューズの話になると夢中になって周囲が見えなくなる意外な一面を露呈させる。


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校内放送のスイッチが入ってしまうのはダイヤにとって卒爾というかスキのようなもので、
叫べば叫ぶほどダイヤは恥をかくことになり、これもコミカルに落とすヘイト中和システムですね。
どこか手落ちがあって完璧じゃないから人間味が強調され、ダイヤは視聴者に嫌われずに済む。

ラブライブという作品には変に冷笑的だったり失敗を茶化したりするキャラクターは出てこないので
この場合いたたまれない気分になるのは実は視聴者だけなのですが


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従ってルビーに刺さるのもこのセリフだけです。
自らのスクールアイドルへのあこがれや嗜好をもはや姉と共有できない現実への失望


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下校シーンにおいて1年生はダイヤとチカの間に昼間何があったかを放送でだいたい把握している。
→というより、1年生も事情を把握していたのだということが経過とともにわかるという構造。
これが明らかになった瞬間に、チカの抱える問題、ダイヤの抱える問題、ルビーの抱える問題が
全部リンクするわけです。これが二場面パラレル進行で描かれる主な理由ですね。

ルビーは<姉の頑迷を嘆く>というより、
<好きなものを否定するしかない姉は矛盾に苦しんでいるはずだ>と考える。
姉が苦しければ自分も苦しい。
そして花丸はそれとなくルビーの心情を察する表情を見せると。

個別に見ていくとそれなりにごちゃごちゃと入り組んで絡まり合った状況なんですが
シリーズ序盤において重要な各キャラクターのパーソナリティをそれぞれに引き出しつつ、
パラレル進行とスプリット編集で混乱も退屈もなく流麗にまとまってるこの4分弱で約80カット。






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酒井和男コンテによるスプリット編集はキャプテン・アース #06 (2014) Bパートでも見られます。
ちょうど今回取り上げたサンシャイン#02と同じ二場面パラレル進行。興味のある方は是非




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スプリット編集とは何か  




スプリット編集(Split Edit)とは、映像と音声それぞれの開始点or終了点を別にして編集することです。
よく例に出されるのが上の「卒業」(1967)のJカット。

ミセスロビンソンとベッドで抱き合うベンジャミン、そこに突然ベンの父ちゃんが声を掛けたように見えて
観客はどきっとさせられる。
すると即座にシーンが切り替わり、父との会話はプールでの出来事だったとわかる。
緊張感から解放され安堵する観客は、そうと気づかないうちに映画に没入させられている。

次カットにくるはずの音声が前のカットに先行してかぶさってくるのを「Jカット」と言います。
逆に、次カットに切り替わっても前のカットの音声が続くのを「Lカット」と言います。
スプリット編集はだいたいこの2つに大別されます。


なぜこれを「Jカット」「Lカット」と呼ぶのか、実は僕も詳細を記した資料・文献を見たことがありません。
まあたぶんノンリニア編集(PC編集)の時代になってから、Final Cut Proなどのソフト上で編集するときに

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音声トラックをL字にずらす、J字にずらす的意味合いで命名されたんじゃないかな?と勝手に思ってます。
あとのカットの音声が前のカットにかぶさってくればJカット
次のカットになっても前のカットの音声がかぶさってればLカット


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どうも、これを文章で説明するのはつらいな。
マンガだとこんな感じです。


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↑最後のコマで、シーンが切り変わっても前のシーンの音声が続いてる、要するにこれが「Lカット」です。



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↑2頁目で、次シーンの音声が先行して入ってくる、これが「Jカット」。


だいたいわかってもらえますかね。
これを踏まえ、酒井和男さん演出のスプリット編集についてを次回で。



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