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大匙屋

聞かせてもらうぞこの世界の謎を

AUGENBLICKE/a blink of an eye (2018年)  

■AUGENBLICKE - a blink of an eye (2018年) アウゲンブリケ=moments,瞬間

Three perceptions of one truth - hers, his and ours.
「彼女の、彼の、そして我々の、一つの真実に対する三通りの認識。」

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今年3月、ついにWEB公開された「AUGENBLICKE」

監督 キアナ・ナグシネ(Kiana Naghshineh)
1990年生まれのイラン人女性。バーデン・ビュルテンベルク映画大学(ドイツ)をこの短編アニメーション作品で卒業し、2018年にBAFTA(英国アカデミー賞)の学生映画賞を受賞。

「言いたかったのは、被害者を不当に非難する個人的な経験とそれに対する怒りです。性的虐待の場合、責任を負わなければならないのはあくまでも加害者であり、被害者ではないということを示したかった」(監督談)

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監督の実体験に基づいたという4分間の卒業制作アニメーションは、モーフィングによるトランジションを駆使しつつ、エログロ表現やセンセーショナリズムを避け、レイプ犯罪における加害者と被害者のPOVを行き来させることで、観客を逃れることのできない暴力の渦に閉じ込め、心を揺さぶる新しい視点と、文字通りの恐怖を提供する。

重いテーマに対して不謹慎なのだが映像や演出、オバケやブラー作画がどうしようもなくカッコいい。カッコいいと思ってしまい頭を抱えるわけだけれども。

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category: 海外アニメ翻訳

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ロンデル窓(2)  

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■アルテ (2020年) http://arte-anime.com/
ルネッサンス期のイタリアで、貴族出身の若い女性が画業で身を立てるべく職人に弟子入りし、古い伝統や偏見に抗いつつ奮闘する。フィレンツェなど工芸職人の町が舞台とあって背景でロンデル窓を目にするカットも多い。ベネチア編ではロンデル窓に夜カーテンを引くカットもある。
※初期のガラス窓の厚みが、こんなに薄くはないんじゃないか・・・という気がしないでもない

設定は物珍しくて興味深い作品だが、主人公女性のふるまいや描写が僕はどうも苦手。自分の中のミソジニー的感覚をやたら突っつかれる感じ。



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■シュヴァリエ 〜Le Chevalier D'Eon〜 (2006年) https://www.production-ig.co.jp/works/chevalier/

#08女帝謁見前、デオン一行潜伏先のロシアの宿屋のカット。虚実ないまぜの物語だが恐らく1761年前後。後方のガラスをよく見ると波紋やポンテ痕がある。
丸枠のない、四角い格子状のフレームの窓というもの実在したらしいけど資料画像が探し出せなかった。
<後日追記:あった。こんな感じ↓>
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生産体制が整った時期、大きな円盤状に伸ばしたガラスの中央部はポンテ痕や厚みもあり低品質で比較的安価だったらしく、貧乏人のガラスとさえ言われたそうな。劇中の安宿のガラスには丁度良かったものと

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シュヴァリエは、冲方丁という作家が持てる才能の片りんを見せる壮大な歴史ファンタジーの良作。実在した美形の外交官で女装スパイでもあったとされるデオン・ド・ボーモンの遍歴が描かれる。
もうちょっと評価されていい作品



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■アリーテ姫 (2001年) http://arete.kuroburue.com/

片渕作品ということで美設に徹底考証が為されている(ハズ)。原作は英国の女性医学者ダイアナ・コールズによるフェミニズム児童文学で、中世を舞台にした「囚われの姫」の脱出劇といったところ。城にある塔、姫が軟禁状態にある居室にロンデル窓



フェミニズム文学とは言うものの、囚われた姫がどこぞ王子様の救助等を待たず自力で活躍する冒険活劇ということ。
公開当時先駆的な作品だったかもだけど、富の偏在や所得格差が拡大し災害や病気も流行る不安定な現代において、自身の自由獲得こそ至上命題とする姫の考えは今の若年層には受け入れ難く、作中に共感できる登場人物がいない(かもしれない)。
父王も官僚も目茶苦茶だけど、民は別に困ってない、姫だけが不自由な世界だから成立する物語。


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■ ラ・セーヌの星 (1975年) #15

世話になったド・フォルジュ家が断絶となり、セーヌ川の中州・シテ島に戻って花屋を再開するシモーヌ。熱気球兄弟(モンゴルフィエ)やそのパトロンであるド・ロジェ侯爵が集う酒場。1783年設定。現代だとこれに近いランダムな窓枠もあるにはあるが、18世紀当時の技術ではさすがに難しく、町酒場の装飾窓としてコスト的に不釣り合いでファンタジーの範疇か。

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こちらは現代のガラス工芸作家フランク・クロース氏(米国在住)によるもの

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シモーヌの花屋にも同様の窓があり、やはり劇中における一種の乙女チック装飾デザインのようだ。
こっちは円形が途中でカットされたりしている。



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■円卓の騎士物語 燃えろアーサー (1979年) #01

ログレス七王国の諸侯が集うアーサー(ペンドラゴン)三歳の誕生日、キャメロット城。城内には何故か壮麗なステンドグラスがある。丸いガラスはロンデルと思われるが、通常大聖堂などで見られるステンドグラスというものはほぼ11世紀くらいに出来たもので、ロンデルの製法「クラウン法」は7世紀にシリア人が発明したと語り継がれており、ともにアーサー王伝説の年代(5世紀ごろ?)と一致しない。雰囲気演出と思われる。

中世ヨーロッパ物は当時なじみが無く人気低迷したらしいけど今見ると普通に面白かったりする。リメイクしたらどうか。


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■まんが世界昔ばなし (1976年) #36「ファウスト」

石組みの壁にロンデル窓は前述のアリーテ姫の塔の部屋に近いイメージか。ファウスト博士の居室は装いや調度品等からドラクロワが19世紀に描いた挿画などを参考にしたものと思われるが、博士の頭どう見てもニット帽
そして確認できた範囲では、これが日本アニメにロンデル窓が登場した最古の事例。

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これがドラクロワの挿画。ちょっと見づらいが、ファウストの背後にロンデル窓が見えると思う

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ゲーテの「ファウスト」は、散々引用されまくるネタだけど、今や原典に当たる機会は少ないかもしれない。手塚や水木といったレジェンドにも絶大な影響を与えている有名作品です。
Gyaoで見よう https://gyao.yahoo.co.jp/store/episode/A041871071999H01

ていうかこういう「まんが世界昔ばなし」などの膨大なシリーズ、思い立った時にスグ見たいけど金を出すほどでもなかったりするし、こういう作品こそサブスクですぐ見られるようにして欲しいですヨネ。2本立てで30分番組だったのに1本ずつ金を取るなんて阿漕で馬鹿げてる。

舞台は15世紀ごろのドイツ、老境の学者ファウスト博士の望みを悪魔メフィストフェレスが叶えるという物語です。「メフィストフェレス」は青エクや悪魔くんなどでお馴染みですね。もともと暗黒魔王ダーブラみたいなルックスのメフィストにシルクハット正装させたのは水木先生なので、青エクは悪魔くんの影響下にあると言えるかも。

そしてファウスト博士が悪魔に魂を売ってでも叶えたい望みは「世界のことを何もかも全部知りたい、でも人生が足りない」
ここからの引用で暴風竜ヴェルドラの「何でも知りたがるスキル」が「ファウスト」という名前に進化したりするわけです。

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■転生したらスライムだった件 (71話)

category: アニメ

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ロンデル窓(1)  

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一般家庭の窓にガラスが使われ始めたのはルネッサンス期(14~16世紀)ごろと言われている。
「クラウン法」と呼ばれるこの当時の製法は、吹棹(ふきさお)で成形したガラスを再加熱し、遠心力で平らに伸ばしてカット、鉛やセラミックの窓枠に嵌めていく。初期は幅10㎝~15㎝程度のものしか作れなかった。この製法で作られたガラスをクラウンガラス、若しくはロンデルと呼び、このガラスを利用した窓をロンデル窓と呼んだりする。

※rondel=英語で円形[円盤状]の物、の意。仏語のロンド(rondeau)に由来

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ルネッサンス期以前の民家の窓はどうなっていたのかというと、吹きさらしだったらしい。だから鎧戸が発達した。治安も悪かった。
「無職転生」の異世界に正確な時代設定が明示されてるわけではないが、文明レベルの目安としては平ガラスの大量生産が端緒に付いたあたりと予測することが可能だろう。農村の一軒家でもガラスの窓が割られない程度に治安レベルがあり、布のカーテンはまだ普及していない。



■無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ (2021年) https://mushokutensei.jp/

この作品のために制作会社スタジオバインドを設立したという本気っぷりが随所に輝く大作。数年に渡る継続的な展開が予想される。

大規模災害により大勢が人生を狂わされるという日本人の琴線に触れるプロット、エゴイズムや欠点をムキ出しにしてぶつかり合う泥臭い人間関係など異色の切り口が際立ち目が離せない展開が続く。丁寧な中世風描写も緻密な世界観の構築に一役買っている。

なろう系の異世界転生モノということで、基本的には「傷ついた孤独な魂」がどう癒されていくかの過程を見ていくものと思われるが、大筋ではボレアス家再興が主要ミッションとなっていくだろう。エリス嬢は最終的にロアの地に縛られるのでルディとは不縁となるだろうが、メインヒロインが誰になるのか現時点ではわからない。


category: アニメ

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