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大匙屋

健康第一のはずが・・・

さよ朝モブシーン、リュート  


■さよならの朝に約束の花をかざろう (2018)
潜伏中の工業地帯の酒場に数名のメザーテ軍人が来店し、空気が悪くなったところで登場する楽師。めまいがするような手間を掛けて描き込まれたモブシーンに描かれる古楽器はハーディガーディ&リュート、バグパイプみたいな音を出すのがハーディガーディでギターみたいなのがリュート、両方をサントラで演奏されてるのが古楽器奏者の久野幹史(くの・まさし)さん

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アニメ作品に呼ばれることも多い方。「ユリシーズ ジャンヌ・ダルクと錬金の騎士」ED (2018)などに参加されている。ユリシーズEDといえば各話ごとに別verが用意された「百年のメラム」だが久野さんの参加曲はおそらく05話ED(第4歌 イナンナ)



「百年のメラム」歌い手rionosさんとはご友人であるらしく、お二人で名曲「Adesso e Fortuna」をやったりされているようだ。
そういえばrionosさんという方は新居昭乃フォロワーっぽい歌声。前述の第四歌イナンナの編曲者である保刈久明さんは新居昭乃さんのスタッフでもある





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■終末のイゼッタ (2016年)
#03Aパート冒頭、ケネンベルク爆撃直前の塹壕の静けさに神の視点をプラスする鳶と印象的なリュート、演奏は古楽器奏者の上野哲生(うえのてつせい)さんという方。



「イゼッタ」劇伴についてはリスアニ未知瑠さんインタビューにおいて上野哲生さんとギタリスト西川進さんのお二人が重要なキーパーソンだったことが語られていますhttps://www.lisani.jp/0000039445/?show_more=1

でこれが上野哲生さんの新しい曲。コレがいいねっていう話だったんだ最初








■耳をすませば (1995年7月)
古楽器が登場するアニメで最も有名なシーンがこれ、とされている。 ツィンク、タンバリン、リコーダー演奏、濱田芳通さん。リュートは竹内太郎さん。ヴィオラ・ダ・ガンバ福沢宏さん。バイオリンは植村薫氏。古楽器界ではいずれ名の通った重鎮ばかり(らしい)
高密度作画ゆえアニメファンはもとより、古楽器奏者でこのシーンを知らない人はいない、と言われている。

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竹内太郎さんは世界屈指のリュート演奏家ナイジェルノースの弟子で現在は英国在住、耳すま当時はまだ30代半ばだったはずだけど25年が経ち、最近の写真を拝見すると↑のキャラクターにものすごく似てきておられます




その竹内太郎さんが「ダウランドはリュート界の手塚治虫」と言っている。そのダウランドの曲などを中心にまとめられた比較的手に入りやすいコンピレーションアルバムがあるんですが、これがリュート入門盤としてオススメ。ルッツ・キルヒホーフの1981年録音盤。Amazon

人生において「音楽が聴きたいのに楽器の音がうるさくてつらい」という謎の状況がままある。チェンバロですらうるさく感じる。そういう時に、リュートというのは最適の楽器です。ということを、知っておいて損はないです。




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■オーディナル・スケール (2017年)

リュートというのは程よく人工遺物感がありファンタジー物と親和性高い
持物として与えるだけでどんなキャラクターも1翻アップ


正直クオリティはピンキリ。アコギの音色を当てるケースも


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■スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました (2020)
吟遊詩人クク、スキファノイア、今までにない、わりと新機軸なリュート解釈でアニメ化も発表されてて楽しみな作品なんだけど多分1クールではこのキャラクターが出てくるところまでいかないだろう。




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category: アニメ

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デッドマンズリーチ Deadman's Reach (2018年)  


■Deadman's Reach (2018年) 監督クエンティン・ヴィアン

前の記事に「アニメ音楽系の話を」とコメントしてくれた方がいて、音楽ネタ何かあるか~と考え始めた矢先に本作「デッドマンズリーチ」が無料公開されたので、早速ですが翻訳してみました。2018年の作品で、各国アニメ祭に出品されてたんですが審査エントリー期間が終わったので公開になったようです。

自分でやっといて何なのですが、殊にシャレオツな音楽アニメに対し翻訳とか字幕というのはまことに無粋なもので、レイアウト崩れるし美しくないしで・・・僭越ですが、ご覧になる方は「ただ話の意味を知るため」と割り切っていただいて、僕の翻訳版から何か感銘を受けようとはしないで欲しい。できればRAWで再見を。まあ蛇足ですね。

監督クエンティン・ヴィアン(Quentin Vien)氏はロンドン在住、本職はフレームストア所属のVFXマンで、ファンタビやアベンジャーズ等大作の制作に関わってこられた方。「デッドマンズリーチ」本プロジェクトはキックスターターを通じて資金調達され、ほぼ個人制作で10年がかりで完成にこぎつけられたらしい。資金は足りず、設定本を自費出版した売上で補填しながら大半持ち出しで制作が続けられた。

10分間の自作ショートアニメに数万ドルの資金を投じ、自由に好き勝手に、一切の妥協なく作る。それって、最高の経験じゃないですか。実にうらやましい。

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Zippy Framesの監督インタビューで、引用された劇中歌についてクエンティン・ヴィアンは語っています。「歌詞ってのは歌の魂だと思うんだけど、お客さんは案外それを無視するんだ。僕の映画の中で、歌詞はまるで歌声のように、物語と絡み合ってほしかった。このストーリーが理解できない場合は、曲の歌詞を聞いてほしい。ヒントが得られるはずだから」

そこで今回の翻訳では、(劇中セリフはほとんどないんだけど)、引用された楽曲の歌詞の翻訳をなるべく丁寧に行いました。
以下、少し解説をしていきます。



追記;軽い解説 (2020/08/06)

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冒頭、特徴的な意匠はロンドン地下鉄。この世界最古の地下鉄はサブウェイとは呼ばれず「チューブ」と呼ばれます。円筒形のトンネルに、カマボコ型の車両。主人公ジミーは千鳥足で、駆け込み乗車した瞬間、車両はバスにスイッチする

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ローラからのメッセージ。ジミーが頻繁に電話し、ローラを困らせていたことがわかる

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曲「ONE」 スリードッグナイトの大ヒット曲フォーキーアレンジ。オリジナルはニルソン。あの「without you」のニルソン
1は孤独な数字だよね~という歌詞、一人ぼっちになってしまったジミーは振られた相手ローラに電話しまくってたわけです。

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カフェで長時間にわたり何かしら書き留めるジミー。人力タイムラプス。設定上彼はミュージシャンで、頭に浮かぶ歌詞をメモ帳に書くことで自分と世界のバランスを取ろうとするんだけど、今はローラに振られたせいで、彼女への未練が脳を支配してる状態。
この時のBGMがプレスリーのハートブレイクホテル。ロックンロールのルーツとされる中の一曲。女に振られた男が、ロンリーストリートを一人で歩いてハートブレイクホテルにたどり着くという曲。ここでジミーは「ハートブレイクホテル」のマッチを手にする。

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カフェを出ると、雨はやんでいて、昼間になっていて、店の前は荒野になっている。スニーカーをブーツに着替え、標識に従って砂漠へ。そこでローラの幻影を見る。
BGMはテインテッドラブ。グロリア・ジョーンズ(マークボランの愛人)の1964年のヒット曲、作ったのはエド・コブ。ニューウェーブアレンジのソフトセルのカバーが1981年に大ヒットした。題名は「汚れた愛」という意味だけど、邦題は「汚れなき愛」。マリリンマンソンのカバーもある。

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電話口で溜息を吐くローラ。ジミーは無言電話を掛け続けていたことがここでわかる。ジミーはローラを取り戻すための言葉を探していたんだけど、それを見つけられず苦悩してたわけです。そしてもう電話しないでとメールで釘を刺されてしまった。

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ジミーはローラを取り戻す言葉を失い、頭に浮かぶラブソングの歌詞にすがろうとするんだけど「この歌詞なんか違うわ」みたいなことになって、結局ギターも燃やしてしまう

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I'm So Tiredは1968年のビートルズの曲。インドに渡ったレノンが、オノヨーコが恋しいよつらくて死んじゃうよという内容の曲。オノヨーコも当時はキュートガールだった。

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ブリュードッグ パンク IPA風 (スコットランドのクラフトビール) ビールオタクが一念発起し創業10年で成功を収めた超有名ブランド

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常春の都クエルナ・バカに向かう女と、それを見送る男。常春であるから、まあ別れた女が新たな恋をするのに最適な場所に向かって行くということで男はキレている。ローラとの関係をイメージしたカットと思われる。クエルナバカという地名はクレしんの映画でも使われたメキシコの都市の名前

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ロンリーストリートを一人で歩いてハートブレイクホテルに向かう死者。なぜかメキシコが彼の心の風景なので、心のメキシコ人である。心のメキシコ人なのでガイコツは花柄の「カラベラ」である。

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ハートブレイクホテルに到着し風呂に入る。エッチなお姉さん登場。BGMはモリコーネ風。このお姉さんはローラ似だがローラではなく、「モリコーネのBGMはエロチックだよな~。ここでエッチなお姉さんが登場して欲しいよな~」という魂のリクエストにお応えして登場する。ちなみにこの曲のオーダーについて監督は「エンニオ・モリコーネがレッドツェペリンと共演した時のような曲」(前述のインタビュー記事)

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コメ欄でカフィさんが指摘してくれた、マーティ・マクフライのポーズ。これは要するに「夢オチです」の合図。mcfly sleeping position

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ジミーはローラひと筋で入れ墨まで彫ったのに、よくわからない想像上のエッチなお姉さんでちょろく癒されてしまい俺の股間がデロリアンだったせいで軽い自己嫌悪に。手に取ったテキーラをゴミ箱へ。アルコール依存から回復

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エンディング曲は「Play Tha Game」これはクイーンの名曲(曲は本当に素晴らしいのだがPVがクソださい)。 監督がつべで発見して赤いパーカーに惚れたという、ナタリー・ドーンによるフォーキーアレンジ。フレットノイズが心地いい。ナタリー・ドーンはアメリカ在住シンガー。ビヨンセの「シングル・レディズ」をカバーしてたカップルのビデオを見たことある人もいると思う。監督クエンティン・ヴィアンにとって、このナタリードーンを聞かせたいがための11分だったと言っても過言ではあるまい。

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ヒゲも剃って社会復帰。左腕が見えるカットで刺青が見えたり消えたりするので、演出もっとちゃんとやれよと思っちゃう。勝手に意味が生じるからね。

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新調されたメモ帳。表紙はデッドマンズリーチ。

序盤に出てきたat both endsというカフェの壁にもRaven's Brewのポスターが貼ってある。つまりジミーにとってのこれは戻るべき日常ということ。アラスカにあるRaven's Brew Coffee, Inc.という会社で作っているダークロースト「デッドマンズ・リーチ」はあまりの美味さに死者も手を伸ばすという触れ込みで好事家に大変な人気の代物。一応アマでも買えるが12オンスで4900円という、ちょっと簡単には手が出ないお高さで僕もまだ未体験。でも飲んだ人はみんな美味いって書いてる。一度挑戦してみなければなるまい・・・


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category: 海外アニメ翻訳

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吉徳レムが苦手です?  

DM

(要約)
> 喜徳レムが話題ですが、着物姿など原作の世界観や文脈を無視したフィギュア展開が    
> 最近多くて苦手です。不真面目、拝金主義な感じがしてしまいます


とのご意見。僕には無い発想だったので少し驚いたんですが、そういう感じ方をする若い人は多いんでしょうか?
コスプレフィギュアなんて前からあるような気がしますが、どうなのかな。ていうか喜徳レムって何?と思って

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これか。すっごいなこりゃ。吉徳ってあの人形屋さんの吉徳が作ってるんですね。
これ振袖も芸術的だけどそもそもの立ち姿のバランス素晴らしい・・・

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値段高杉わらた。このクオリティなら仕方ない。日本人形なんて普通に買ってもトンでもない値段しますからね。ていうかコロナで10万円給付されるわけだから実質34.000円で買えるじゃないですか。これは買いでしょう。僕そういえばsaitomのステラ欲しくてずっと悩んでるんですよ。全然関係なかったですね。

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こういう着物姿のスケールフィギュア、調べたらフリューが最近よく出してるんですね。

フリュー株式会社は元々医療精密器具メーカーのオムロンが立ち上げた異色の会社で、ほぼ他社のマーチャンダイズで食ってたんですが数年前からアニメ製作にも参入してくれるようになって、まあアニメファンやオタクにとってはアニメにお金を出してくれるありがたい企業なわけです。出資はしてくれるんだけど今いちヒット作に恵まれてなくて最近「ゆるキャン」でやっと一山当てた感じかなと。長かったです。

ずっとプライズの景品を作ったりはしてたんですが何年か前からスケールフィギュアにも参入して、なにぶん後発なんで着物姿とかで特色を出そうとしてるんだと思います。吉徳とコラボってのはさすがに驚きましたが。でも吉徳もたしか竹谷隆之さんとバットマン作ったりしてたはず。



えーと話を戻しますが、原作ストーリーを無視したフィギュア商品の展開が拝金的で苦手、というご意見でしたね。
まずですね、こういう着物姿のフィギュアを誰が買うのか?売れるのか?という話なんですが、これはもう確実に買う人がいます。メーカーの予定してる数は全部売れるはずです。(まあ受注生産なんですけど)

あなたのように、ふだんフィギュアをあまり買わない人は、こういうものにはまず手を出しません。「こんなの原作にないじゃん」と思ってしまう時点で、実はあなたはふるい落とされています。

ふだんからフィギュアを買いまくる人は、自室のフィギュアケースには既にレムのフィギュアがどっさり並んでるんですよ。それぞれポーズこそ違いますが、だいたい同じ格好で同じくらいのクオリティで、狭い棚に所狭しとズラリ並べられています。そういうお客さんにとっていつものレムじゃないレムフィギュアはまさに垂涎です。素人が買わない、だからこそ玄人が大喜びで、目の色変えて買うわけです。これを手に入れた満足感はとてつもないです。ちょっと考えられないくらいの充実感です。買ったその日から人生が変わる。想像もつかないと思いますけど、ライフスタイルが変わるんですよ、手元に好きな一品があると。


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あとこれね。賢孫のシシリーのフィギュアなんですが、バスタオル一枚の大変色っぽい一品。

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シシリーはこういう帽子を被ってるんですけど、アートの世界ではこのシシリーの帽子のような、そのキャラを特徴づける固有アイテムを「アトリビュート」といいます。
この帽子があると、この水色髪の女の子が確実にシシリーだとわかる、特定できるアイテムというわけです。上の「湯上りver」フィギュアでは、せっかくバスタオル一枚の色っぽい姿形なのに、わざわざこの帽子を被らせてる。ハッキリ言って少々間抜けな造形です。でもこの帽子を被らせないと、それがシシリーだということが誰にもわからない。そもそものキャラクター造形が弱いからなんですよ。

いいですか、ここを間違えてはいけない。良いとか悪いとかではなく、強いか弱いかで言うと弱い、ということです。この女の子は帽子を脱いで装いを変えると、とたんに特徴が失われて、もう誰だか容易にはわからない、これが事実なんです。だからシシリーを使った「着物バージョン」のフィギュアなどは、作りたくても作れない。

一方で、リゼロのレムはどうでしょう?紅魔族のめぐみんは?詩羽センパイは?‎セイバーは?結城明日奈は?
これらは皆、アトリビュート無しでも成立するほど基本造形に超パワーを持ってるわけです。そういうキャラクターは限られている。限られたキャラクターにしか成し得ない、許されないのがコスプレフィギュア。そういう優れた造形を作ったデザイナーは称賛されるべき。もちろん原形師も、メーカーさんもですが。

コスプレフィギュアを出せてる時点でかなりの強キャラ。その中でも、吉徳とコラボが可能なキャラなんて滅多に誕生するもんじゃないです。こういう企画にお目に掛かれる機会自体がそうあるとも思えません。そう考えると、出せるんだったら出せばいいと僕は思う。


僕は賢孫大好きでね、ユーリ・カールトンを応援したいんだけどフィギュアなんて出ないんですよ。応援したいのにグッズが出ない歯がゆさはわかってもらえると思います。着物姿が原作にないから一体どうだというのでしょう。昨今は総身霊衣なんていう無茶設定のせいで余計に何でもアリです。せっかく色んなフィギュアが出せてる優れた作品なのに、そのフィギュアが許せないって、それはないでしょって僕は言いたいわけです。






category: アニメ

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