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ゴブラン2019 Déjeuner sur l’herbe  



Déjeuner sur l’herbe (草上の昼食)
Directors: Jules BOURGES, Jocelyn CHARLES, Nathan HARBONN VIAUD, Pierre ROUGEMONT

優秀な科学者だったエティエンヌ氏の固い信念と輝ける人生のすべては、湖畔のピクニック中に起きた邂逅によって一瞬で崩壊してしまった――という物語でした。

2019ゴブラン卒制日本語訳3本目はユニークなキャラデザインとアートスタイルで注目されているこの一本。タイトルのDéjeuner sur l’herbe には「草上の昼食」という和訳をつけましたがこれはエドゥアール・マネの有名な絵画ネタに則したもの。より分かり易くタイトルを訳すなら「湖畔のピクニック」といった感じになると思う。マネの「草上の昼食」は西洋絵画史に燦然と足跡を残す名作でたくさんのアーティストが同タイトルでオマージュ作品を作っています。今回の映像作品の原文タイトルも、当然それに連なる文脈で用意されたものであるはずです。

わずか7分の間に取り組まれる壮大なテーマ、即ち神はいるか?人生の意味とは何か?そのトイレの落書きは本当にどういう意味か?この複雑で微妙ないくつかの問い掛けに加えて、前述した通り、リアル寄りの目鼻にアンバランスなほど巨大な頭部を擁する特異なキャラデザインやディザリング影による質感など既存の欧州アニメにもディズニーにも日本アニメにも似ていない玄人はだしのアートスタイルが、学生の作品では通常見られない成熟度として評価されているようです。

まぁ顔でかいので微妙な表情芝居を付けやすそうだなっていう感じがするのと、僕などは世代的に山上たつひこ作品を読み込んでいるせいか、このキャラデザインに対して外人さんたちが喜んでいるほど新鮮な驚きは僕にはなかったです。むしろどこかノスタルジックな印象さえ受けました。

あとこの作品、翻訳が難しかった・・・。かなり意訳でゴマかしました。


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category: 海外アニメ翻訳

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ゴブラン2019 In Orbit  


In Orbit (2019)
Director: Soham CHAKRABORTY, Hanxu CHEN, Meton JOFFILY, Justin POLLEY, Julia TROUVÉ


遠い未来。ソニアは勤務する宇宙ステーションから新しいステーションに移ろうとしています。うまく行っているように見えますが、彼女の心はどこか虚ろで、過去の出来事に支配されています。

これは罪悪感やトラウマと向き合う物語でした。辛い出来事を思い出すのがイヤで、ココを離れたくて転属を願い出たソニア。周囲の人は「自分を責める必要はない」と言うけれど、実はあの時、最善を尽くしたわけではなかった。あの時あの一瞬に臆した自分、本当は救えたかもしれないのに躊躇した自分、酸欠の恐怖に捉われて命綱を手離せなかった本当の自分が延々といまを縛り続ける。それはきっとこれからもずっと自分に付き纏う。ソニアは「彼女」に会いに行くことで、ようやく過去と向き合う最初の一歩を踏み出すことができたわけです。

外人さんのを中心に感想をあちこち見て回ったんですが、アートスタイルやコンセプトなども含めて2017年の「Quand J’ai Remplacé Camille」を思い出すという方がけっこういました。ゴブランOBでもある次世代バンドデシネ作家バスティアン・ヴィヴェスからの影響を指摘する方も。このアートスタイルが新しい学校の伝統となりつつあるのかも?しれません。

3:30~のフリップショット/トランジション良いですね
印象的なレイアウトもあちこちに。


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category: 海外アニメ翻訳

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ゴブラン2019 Protocole Sandwich  



今年も毎週木曜日に全11作品が順次公開中のゴブラン卒制からいくつか。
Valerie Bousquie、Josephine Meis、Antoine Vignon、Benjamin Warnitz、「Protocole Sandwich」(2019)

レンジャー部隊「プロトコル・サンドイッチ」は砂漠にあるアンテナ塔周辺の疑わしい活動を日々監視する。彼らは扇風機のようなハンドヘルド型ガンを使用し、現実世界のグリッチを払拭する。また現場で対処しきれない物件を特別な「箱」によって封印・回収する。
ある日の昼食中に、レンジャーの1人が稼働停止したアンテナ周辺で妨害行為のように見える何かを発見する。そこに現れた見知らぬ男と口論の末この世界の不安定な構造と偽装の真実、その一端に触れるに至ったレンジャーにはもはや、これまでマジメに取り組んできた仕事や世界そのものが信じるに値するものと感じることができなくなってしまっていた・・・という物語。

壮大な近未来SFの一部分を切り取ったかのようなスマートで洗練された一篇。タンタンを思わせるコミックストリップスタイルの親しみやすいアニメーションを駆使しつつクライマックスには色とイメージのゴージャスでサイケデリックなグリッチエフェクトで振り切ったじょう乱、そして一人現場に残され佇む男を距離を取って見つめるカメラ。これらすべてが停滞する欧米社会を側面から支え続けるコンフォーミズムへのささやかな皮肉として機能しています。


category: 海外アニメ翻訳

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